ブラザー、新ブランド「プリビオ」発表――「マイミーオ」を捨てた理由と意気込み:存在感を高め、国内“第3の選択肢”に
ブラザーは、インクジェットプリンタの新製品発表と同時に、新ブランド「プリビオ」を立ち上げた。製品発表会では、ブランド名を新調した経緯や、ブランド名に込める思いが語られた。
「総合プリンタメーカーとして戦う準備が整った」
ブラザー販売は8月23日、インクジェットプリンタの2012年秋冬モデルを発表した。主な製品仕様と価格は既報の通りで、こちらの記事を参照していただきたい。
新製品とともに、ブラザーはインクジェットプリンタ製品の新ブランド「プリビオ」を立ち上げも発表した。同日行われた製品発表会では、プラザー販売 代表取締役社長 片山俊介氏が、新ブランド立ち上げの経緯や、ブランド名の意味を説明した。
同社のコンシューマー向けインクジェットプリンタ製品は、これまで「マイミーオ」というブランド名で約10年間(初代製品「MFC-100」は2003年2月に発売)販売してきた。なぜ、今ブランド名を新調するのか。
「従来マイミーオはFAX機能を搭載した多機能インクジェットプリンタとして、家庭用FAXからの買い換えを狙ってきたが、2011年9月には、新プリントエンジンを搭載し、プリンタ機能を充実させる方向にシフトした。この結果、一定のシェアも獲得でき、総合プリンタメーカーとして戦う準備が整った」(片山氏)ためだという。
通信機能を押しだし、FAX付き複合機のイメージが強い「マイミーオ」というブランドを捨てることで、プリンタメーカーとしてのイメージを浸透させるという。「プリビオ(PRIVIO)」という言葉は「PRINT」と「INNOVATION」の2語を組み合わせた造語だ。同社が今までにない発想や、新しい技術を積極的に取り入れ、プリンタの革新的な価値を創造するという意味を込めた。
その目玉として発表した製品が、「DCP-J4210N」と「MFC-J4510N」だ。これらの製品は、A4用紙を横送りで印刷する機構により、奥行き290ミリというコンパクトなボディを実現し、A3用紙の印刷にも対応する。ユーザー調査の結果、机の上に置きやすいということで、奥行きが短い製品に対するニーズが高いと判断し、横送りで印刷する製品の開発が決まった。「強力なコンセプトを持つ2製品を開発したことも、ブランド名変更の一因」(ブラザー販売 マーケティング推進部長 大澤敏明氏)という。
続いて、新製品の紹介をブラザー販売 取締役の三島勉氏が行った。プリビオは、印刷枚数が比較的少ない家庭向けの製品を「BASIC」シリーズ、印刷枚数が多いビジネス向けの製品を「WORKS」シリーズ、そして両者の中間に位置し、多くの新技術を取り入れた高機能な製品を「NEO」シリーズと名付けて展開する。BASICシリーズとWORKSシリーズは、それぞれ旧マイミーオ、ジャスティオの後継という位置付けだ。
「DCP-J4210N」と「MFC-J4510N」はハイエンドモデルのNEOシリーズに含まれる。この2製品の特徴として「サイズ」「スピード」「画質」「消費電力」「ユーザーインタフェース」の5つを挙げた。
まずは、奥行き290ミリというコンパクトサイズのボディと横送りの印刷機構について。紙は繊維に沿って曲がるため、横向きで印刷すると用紙が曲がりやすいという課題があったが、印刷時に用紙を波状にたわませることで、紙に剛性を持たせるという工夫で解決した。
消費電力については、待機電力を下げる機能「グリーンスタンバイ」を用意する。電源オン時にコンデンサに蓄電し、電源オフ時のタイマー制御にコンデンサに蓄電した電気を利用することで、待機電力を約0.04ワットに抑えることに成功した。
このほか、ノズルの数を増やし、大きなインクヘッドを採用したことで、画質や印刷速度が向上。タッチ/フリック操作に対応したディスプレイを採用したことで、ユーザーが直感的に操作ができるようにした。
2011年度に引き続き、2012年度もブラザーはインクジェットプリンタ市場での存在感を高め、シェアを獲得するという姿勢は変わらない。2012年度の販売台数目標は65万台、インクジェットプリンタ市場全体で15%以上のシェア獲得を図る考えだ。
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