国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出事業
民間事業者の選定結果(「きぼう」利用初の民間開放)について
平成30年5月29日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川宏/以下、「JAXA」)は、「きぼう」からの超小型衛星放出サービスの事業者の選定について、平成30年2月23日より公募型企画競争を実施し、厳正なる評価の結果、Space BD株式会社並びに三井物産株式会社を選定致しましたので、お知らせいたします。
JAXAでは「きぼう利用戦略」(平成29年8月第2版制定)に基づき、「きぼう」の利用事業について、民間等による事業自立化(民間への開放)を目指しております。今回、その第一弾として、超小型衛星放出事業の事業者を選定しました。
ISSにおいて、「きぼう」だけが持つ強みであるロボットアーム及びエアロックの両機能を活かす独創的な超小型衛星ミッションの実施を目指し、JAXAは2012年に超小型衛星放出機構(J-SSOD)を開発しました。2018年5月末日時点において、米国への放出機会の提供を含め、「きぼう」から200機以上の超小型衛星を放出しています。
超小型衛星の市場は今後も世界的な拡大が見込まれています。これまで、JAXA単独での有償利用サービスを提供してまいりましたが、今後は、今回選定した民間事業者ならではのアイデアにより、国内外に広く独自のサービスを提供することで、更なる超小型衛星放出の利用需要を拡大し、「きぼう」を含む地球低軌道利用の発展につなげてまいります。
事業者選定にあたり外部委員として参画いただいた3名の方々からのコメント
(1)竹森祐樹 外部委員(日本政策投資銀行 航空宇宙室長)
JAXA初の挑戦に敬意を表したい。今回の審査において、宇宙に直接関係の無かった分野の事業者をも巻き込み、新たな価値を創造しようという提案者の強い熱意に触れ、「きぼう」を活用した持続性ある新たなビジネスが構築されることを確信した。事業者が自立したビジネスを確立するまで、JAXAはその保持する経験を提供することで成功に導いてほしい。
(2)青木英剛 外部委員(グローバル・ブレイン株式会社 宇宙エバンジェリスト)
今後、低軌道の宇宙活動は民間事業者への開放と移管が加速していきます。そのような中、本取り組みはJAXAとして重要な第一歩になると同時に、宇宙ビジネスに興味のある民間企業にとっても大きなマイルストーンになります。今回選定された事業者については、宇宙業界への新規参入者として、これまでにないアイデアと実行力で、新しい需要を開拓していかれることを期待します。
(3)中本喜博 外部委員((公財)鳥取県産業振興機構 再生担当マネージャ(JAXA客員))
始まりは超小型衛星の放出だが、5年後10年後の低軌道活動を一変させる、とても大きな一歩となるでしょう。ビジネスには技術とアイデアの両輪が必要ですが、そのアイデアを今回選定された二つの事業者が競い合い磨くことで、更なる宇宙の可能性を広げてくれるものと確信します。また今後も続くJAXA事業の民間開放が、宇宙という新しいフロンティアを得た企業のイノベーションを加速させてくれることを期待します。