子育て中の親には一人の時間も必要だと言うと、必ず返って来る反応に「子供との時間は今しかない」というものがある。
確かに小さい時期はあっという間に過ぎる。
生まれて数週間、数か月の頃なんて大袈裟じゃなく一日で顔つきが変わるし、子供は毎日のように昨日できなかったことが今日できるようになるものだ。
子供を見ていると本当に飽きないし、感動するし、楽しくて目が離せない。
しかし同時に毎日続く子育てには疲れることだってある。
「子育てが大変だ」「子育てが疲れる」と言うと楽しめていないとか、親としての自覚がないとか鬼の首を取ったように叩いてくる人が湧いて来るけれど、楽しい時があれば疲れたな、自分の時間が欲しいなと思う時もあって当然ですよ。
子育てだって仕事と一緒で疲れて当然、疲れて良いんです。
楽しいのも辛いのも今しかない
そして「子供との時間は今しかない」という主張について言いたいのですが、子供との時間が今しかない=親が辛いのも今しかないんです。
子供との時間が今しかないのは本当によくわかります。
我が家の長女はもう4年生。
夏休みといっても朝ごはんを自分で食べたらすぐに友達と遊びに出かけ、一日中帰ってこない日も珍しくない。ご飯もカフェも買い物も友達と行くし、徐々に親よりも友達と過ごす時間の方が増えていっています。
そんなときに楽になったなあという気持ちと同時に、まだ小さくて手をつないでいた頃の長女の姿を嫌でも思い出します。
もっと小さい頃の長女や次女の写真を見ても、手も足も今よりずっと短くて一生懸命歩いていた姿を見れば昔に戻って抱っこしてやりたくなる。
写真なんか撮っていないでもっと遊んでやれば良かったと今も思う。
これが中学生、高校生になったらきっともっと強くこの思いを感じることになるんだろう。
でも、そういう気持ちを全部抱えた上で、子育て中の親にはやっぱり自分を大切にして欲しいと思う。
子育て真っ最中の親にしかわからない
子育てが落ち着いた人の意見もわかるけれど、子育て繁忙期の人にしかわからない苦労は絶対にあります。
トンネルを抜ければあっという間に感じても、今それを経験している人にとってはいつ終わるかわからないものだからです。
子育て経験者のありがたいアドバイスも子育て真っ最中の親にはなかなか届かないもの。
次女が小さい頃は特に夜泣きが激しく、眠れない日々が続きました。
そんな時におばあちゃんに「子供との時間は今だけ、今が一番充実しているんだよ」と言われてもさっぱり心に響きませんでした。むしろ「じゃあ代わってよ」と言いたいくらいでしたね…
子供が巣立った後は確かに全て楽しい思い出に変わるかもしれませんが、辛いこと全部忘れているでしょう?と言いたくもなります。
自分がサラリーマンだった頃、大学生だった頃、子供だった頃にあった全ての悩みも大変さも、今の自分から見れば小さなことに見えるしそれくらいでと思えるけど、それが言えるのは全て今の(未来の)「過ぎ去った後の自分」だから。
子育て後に残る感情
子育て中にどれだけ「子育て大変!」と思っても、子供が大きくなり自分の手を離れれば程度の差はあれ「あの時もっと子供の相手をしてあげれば良かったな…」ときっと思うことでしょう。
子育て経験者は揃って同じようなことを言いますから。
上からなアドバイスだったり、意味不明な押しつけだったり、または優しく諭すようなアドバイスだったりと形は様々ですが、皆一様に「子供との時間は今しかない」ということを伝えて来ますし、現に自分でも感じています。
これはもう戻ることが出来ない過去の出来事だからだと思いますが、これだけ大変な子育てを「楽しかった」と親に言わせる子供の力は本当に凄いです。
これも子供の可愛さ故なのでしょう。
とはいえ、それが子育て真っ最中の親が「大変・辛い」と口にするのを否定していい理由には全くなりません。
大事なのはそれを今経験している人の感情
子育て経験者にとってどんなに「子供との時間は今しかない」と言えても、子育て真っ最中の親には「子育て=大変」です。
楽しいということと、大変・辛いという状況が混在するのがリアルな子育て。
そして大事なのは子育てが終わった後に残る感情ではなく、今子育てしている自分の感情でしょう。
未来の自分のために今の自分を押し殺す必要はありません。
長期戦だからこそ、つぶれないためにも子育て中の親にこそ「一人の時間」は必要になってきます。
加えて、親が自分の時間を大事にすることと子供を大事にしないことはイコールではありません。
むしろ子供を大事にするために、親は一人の時間を求めるのです。
それを子育て経験者は是非わかっていただきたいし、大変な時の事こそを忘れずに発言することを願います
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