Androidにはたくさんのパーソナルアシスタントアプリ(iOSでいうところの『Siri』)がありますが、どれも広告が表示されます。しかも、バグや問題もあれば何かしらの制限もあり、完ぺきなアプリはなかなかありません。そんな中でも米LH編集部が一番オススメしているのが、すべてにおいてバランスのいい『Vlingo』です。
Vlingo
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■機能・特徴
- 音声指示でのWeb検索、電話、運転中のナビ、アプリの起動ができる。
- 音声でメッセージ内容と指示を伝え、SMSやメールを送れる。
- 音声指示でTwitterやFacebookを更新したり、FourSquareのチェックインができる。
- ハンズフリーの「ドライビングモード」で、新しい指示を出せる。
- 開発は継続中で頻繁に更新がある。
- クロスプラットフォームなので、ほかの携帯でも使うことができる。
■特にすばらしい点
AndroidにSiriみたいなパーソナルアシスタントはあるかどうかと言われれば、Vlingoはかなりそれに近いものと言えます。パーソナルアシスタントやバーチャルアシスタントのアプリはたくさんありますが、Vlingoは一番洗練されていて機能も豊富です。この手のアプリにありがちな、「Siriっぽい偽物をつくってお金を稼ごうとする」ようなものではなく、ちゃんと真面目な開発者が開発しています。Vlingoの長所と短所は、一度でも使ったことのある人には明らかです。
Vlingoは幅広い言葉とコマンドを受け付けてくれますし、発言者の言い方やアクセントのパターンの解析に時間をかけることなく、きちんと指示を実行することができます。運転中に道案内が必要な時、友だちに電話をかけたい時、キーボードから入力せずにTwitterにツイートしたい時、簡単に操作できます。「ピザ屋さんを見つけて」と言えばその周辺のピザ屋さんに連れていってくれますし、「サンフランシスコのホテルを予約して」と言えばKayakを開く(もしくはインストールする)ように言われるか、Webで検索してくれます。Vlingoのハンズフリーモードは本当に優れています。ハンズフリーモードをオンにしてスマホを置き、スタートレックのコンピュータに話しかけるみたいに様々なことをスマホに話しかけることが可能です。声を認識したら音が鳴るので、それから指示を伝えましょう。スマホが指示を行動に移す時は、音を鳴らして知らせてくれます。音声での返答もできますが、指示されたことは何でも調べたり、SNSを更新したり、映画の上映時間を検索したりして確認のために尋ねます。そして、一番いいところはなんといっても無料だということ。プロ版もロックフリー版もなく、あるのは「無料版だけ」です。
■改善してほしい点たくさんあるアプリの中でもVlingoが一番のオススメとは言っているものの、もちろん完ぺきではありません。ほかのアプリはその弱点を突いて上回るような開発を目指しています。まず改善してほしい点は、Vlingoに何か話しかけた時に理解してもらえなかった場合、すぐにWeb検索に切り替えようとしてしまう点。Androidのほとんどのアシスタントアプリが同じような動きをするので、それは問題ではありませんが、Vlingoの場合はニューヨークにいない時に「ニューヨークの天気はどんな感じ?」と聞くと、気温の情報を拾ってきてそれを読み上げるだけなので、ちょっとガッカリです。ほかのバーチャルアシスタントもだいたい同じような感じではありますが...。
米LH編集部の指摘するVlingoの一番大きな欠点は、ただ言われたことをやるだけで、それ以上のことはしないというところ。SMSを送るように頼むとメッセージは作ってくれますが、実際には送信ボタンを押さなければなりません。Twitterでツイートするように頼むと、その内容は入力してくれますが、送信ボタンはやはり手動で押さなければなりません。これは手を使わないようにするべきハンズフリーモードでも同じ。ほかのアプリともう少し密に連携してくれればさらに便利になるでしょう。Vlingoは名前が認識できれば、インストールしてあるどんなアプリでも開きますが、開いたそのアプリにVlingoを使って(音声で)指示を出すことはできません。よって、音楽アプリの起動はできても、特定のアーティストやプレイリストの再生をすることはできないのです。
■競合アプリ『Google Voice Actions for Android』(無料。ビルトイン)は、Androidデバイスにプリインストールされていますが、ほとんどはSiriのようにお決まりの言葉を言うわけではなく、まったくの別物です。もちろんすばらしい機能があり、Androidと深く結びついていてSMSやメールでメッセージを送ったり、運転中のナビをしてくれたり、Web検索をしたり、連絡先にある番号に電話をかけてくれたりしますが、ただそれだけです。ほかのアプリとの連携はなく、例えば「SNSを更新してほしい」とか「周辺の中華料理屋さんを見つけてほしい」とか「FourSquareにチェックインしたい」というような、決まった指示以外のものは理解してくれません。ほとんどの人にとっては、ほかのアプリでもできるような基本的な機能がカバーされていて、きちんと使えれば、それで十分だと思います。
『Jeanne』(無料。プロ版323円)は、かつて『Voice Actions』という名前だったので紛らわしいですが、その頃からかなり進歩しています。ほかのアプリではできないような音声指示に対応し、ほかの都市の天気を聞いたり、。アラームをセットしたり、タイマーで時間を計ったりといったことから、SMSやメールを送ったり、電話をかけたりするようなことまで、Google Voice Actionsでできるようなことが、Jeanneには可能です。しかし、追加機能がほしい場合は、3ドル払わなければなりません。『Voice Actions Plus』を購入すると、音楽アプリを開いて特定のアーティストの曲を再生したり、ブラウザを立ち上げて特定のサイトに行ったり、音声でWi-FiやBluetoothのコントロールもできます。加えて、SIriと同じように『Wolfram Alpha』で質問に応えることもできます。米LH編集部で試しに使ってみたところ、これらの上級機能はデバイスによって使えたり使えなかったりします。Jeanneには問題が多いので、いくぶん注意が必要です。
『Speaktoit Assistant』(無料)は、インターフェイスをパーソナルなアシスタントにしようとすると、結構時間がかかります。イラスト風のものにカスタマイズしたり、背景を変更することもできますが、基本的なエリアでは変更できないこともあり、筆者が最後に見た時からはあまり変更はなかったそうです(いくつか新しい音声は追加されていたとのこと)。アプリで相互に会話する時には小さなマイクのボタンを押す必要があり、ハンズフリーでしゃべれるオプションもなく、文章や入力したものの文法ミスは画面を広げたところに表示されます。運転中のナビやアプリを開いたり、Web検索したりすることはもちろん可能です。しかし、Web検索して何かが見つかり、アプリを開いた時に、Google Voice Actionsがデフォルトで提供しているような機能は使えなくなります。いくつかの機能やカスタマイズが使えなくなるのが気にならないのであれば、オススメです。
『EVA』(776円。28日間のお試し版あり)は、『EVAN』の女性版です。機能はほとんど同じなので、男性版がよければそちらをチェックしてみてください。会話の履歴がスクリーンで見られるので、以前の指示を探せます。INSTEONシステムを使っている人は、家の中の自動化しているものを音声で操作可能です。位置情報を元にリマインダーやアラートを出すこともできるので、家から職場までの道のりで何かやらなければならないことがある時に思い出させてくれたり、車に乗ったら家の戸締まりや電気を消したかの確認をしたりします。これはVlingoと同じく、ハンズフリーのオプションがあるので、スクリーンに触らなくても大きな声で指示を出して、すぐに音楽ライブラリを開いたりナビをしてくれたり、天気を教えてくれたりします。アプリのカスタムショートカットや、スマホのユーティリティとしても使用可能です。EVAではSNSを更新することはできませんが、それらのアプリを開くことはできます。問題点としては、ほかの似たアプリと同様、安定性がないことです。ハンズフリーで言葉を認識しなくなったり、開きたいアプリではなく別のアプリを開いたりすることがあります。さらに、EVAはほかの無料アプリにあるような機能がいくつか足りません。これにお金を払うのは、正直厳しいです。
『Iris』(無料)はジョークアプリです。パーソナルアシスタントという名のパロディで、ほんの少し改良されて検索する機能が追加されたりしました(これでもまだアルファ版)。便利に使えるものではありませんし、質問も必ず認識してくれるわけではありませんが、ビルトインのボイスアクションアプリと同じ機能や、少しマシな機能があったりもします。数日前に米Gizmodo(英文)に、特定の質問には質問みたいな答えを返してくるという記事が出て、Irisを本当にまじめに使っている人たちを驚かせていましたが、大体そういったアプリです。とはいえ、うまく使えば、ほかの便利なツールよりも使えるかもしれません。
Alan Henry(原文/訳:的野裕子)