すべての人がそうとは言いませんが、誰でも少しは「縁起を担ぐ」のではないでしょうか。必ずしも悪いことに対してばかりではありません。チャンスや幸運が訪れるように願うと、パフォーマンスや生産性を向上し、ストレスを少なくすることができるという調査結果もあります。『Wired』などに寄稿しているライターのEric Barkerさんは、幸運になることは、自分でコントロールできる面もあるだろうと書いています。
基本的に、人間の脳はでたらめなものは好きではないか、信用ができません。たとえ自分で管理できない時でも、常にコントロールできそうなものを信用します。
基本的に運が左右するようなランダムな結果でも、個人にできることがある場合は、ギャンブラーは多く賭けたり長くギャンブルを続けたりということが、数々の研究でわかりました。ゲーム中の特定の行動パターンに影響を与えることもあります。例えば、クラップスのプレイヤーは低い数字を出したい時、サイコロを力強く投げない傾向にあります。
(『The Compass of Pleasure: How Our Brains Make Fatty Foods, Orgasm, Exercise, Marijuana, Generosity, Vodka, Learning, and Gambling Feel So Good』より)
住所の番地がラッキーナンバーの家は高く売れます。宝くじの券を誰かにあげたら、宝くじが当たりやすくなると信じている人もいます。「縁起」を信じている人が大量にいるラスベガスでは、大きなカジノのあるホテル(MGM、Wynn、Palms Placeのような)には、中国で不吉とされているため4、14、24、34、40~49階や、4のつく番号の部屋はありません。かなり理性的な人が多いと思われるようなノーベル賞の受賞者でさえ「受賞は幸運のおかげだ」と言う人もいます。
幸運と同じように不運もあるように思えます。事故を起こしやすい人というのは本当にいる(英文)という調査結果があります。一般人口のうち事故に遭う人をメタ分析したところ、繰り返し事故に遭う人の確率は、たまに事故に遭う人よりも高いということがわかりました。
それでは、なぜ人間は自分にウソをつくのでしょう?妄想だとしても、より幸せにだまされたいということでしょう。人間は、妄想によって平均以上に良いパフォーマンスを発揮します。
疑り深い人は、無理やりに信じる必要はありません。誰にでも奇跡を信じろと言うつもりもありません。
自分に自信を持つことは、幸運になる基本的な方法です。いわゆるプラシーボ効果です。幸運を願う人が願掛けを信じることで、自信を持つことができるようになり、結果的にパフォーマンスも向上するのです。
幸運のお守りにも同じ効果があります。
お守りのような物は、幸運を信じる気持ちを沸き起こすことによって、常に人間が自信を持てるようにします。自信によって気持ちが上向きになると、今度はパフォーマンスにも広く影響を与えるということを研究者は発見しました。この研究によると、幸運な考え方というのは、パズルを解いたり、36の異なる図柄のカードを覚えたり、ゴルフのパフォーマンスにさえも良い影響を与えることが判明しました。実際、お守りを身に付けている人は、身に付けていない人よりも驚くほど良いパフォーマンスが見られます。つまり、お守りを身につけることでゴルフの成績が良くなるというのは正しいのです。記憶力を使うゲームなどで認識力をあげたい場合にも、お守りを身に付けておいた方がいいということです。
(『The Courage Quotient: How Science Can Make You Braver』より)
では、自分に自信をつけるものなら、何でも幸運のお守りになり得るのでしょうか? 他にどんな物が効くのでしょう?
『The Luck Factor』の著者Richard Wiseman氏は、研究の中で、幸運になるための4つの基本原則を定めました。
1. チャンスを最大限にする
幸運な人は、チャンスを作り出したり、チャンスに気づいたり、チャンスをものにしたりすることに長けています。コネを有効に使う、常にリラックスした状態でいられるようにする、新しい経験に対してもオープンでいるなど、チャンスを生かす方法はさまざまです。
2. 直感の声を聞く
幸運な人は、直感や第六感、虫の知らせといったものを信じて、とても良い決断をしています。さらに瞑想をしたり、頭の中をクリアにしたりするように心がけることで、直感を研ぎすませることも実行しています。
3. 良いことがあると信じる
幸運な人は、未来はきっと良くなると確信しています。この未来を信じる気持ちが「自分にはできる」という予言のようなものになるのです。困難に直面した時に自分を貫き通すことができたり、周りの人をポジティブな方向に導いたりします。
4. 不運を幸運に変える
幸運な人は、困難に立ち向かうために、さまざまな心理テクニックを使っています。時に、不幸な出来事さえも踏み台にして、成長することがあります。例えば、幸運な人はどのようにすると物事が悪い方向に進むのか自然と想像ができており、不幸なことにこだわらず、状況をコントロールしています。
また、Richard Wiseman氏は「もっと幸運になるためにすぐにできるTips」として、次の4つを提唱しています。
- 新しい機会や経験に対してオープンになる
- たくさんの人との交流を心がける
- 決まりきった行動を変える
- 日々リラックスした状態でいられるようにする
Wisemanさんの発見のキモは、幸運は自ら作り出すことができるということです。「私は、正しい時に正しい場所にいることというのは、精神状態を正しい状態にしておくことなのだとわかりました」とWisemanさんは言います。幸運な人は、思いがけないチャンスをものにする確率を上げたり、たくさんの人と交流することで経験を積んだりしています。Wisemanさんは、周りに目を向けることで、チャンスや洞察力を手にしているとも言っています。
(『Little Bets: How Breakthrough Ideas Emerge from Small Discoveries』より)
このようなTipsは本当に効果があるのでしょうか? 答えは「イエス」です。
自分は運がないと思っている人を集めて、幸運になるための4つの基本原則と、すぐにできる4つのTipsを教えました。Wisemanさんは「例えば、チャンスや機会に対してもっとオープンになる方法、決まりきった行動を変える方法、これ以上悪くはならないように不運に対処する方法を教えました」と言っています。人と良い関係を築いたり、新しい経験に対してオープンになったり、常にもっとリラックスした状態でいるようにしたりといった、チャンスを増やす練習をしたり、直感の声を聞いたり、幸運の相互作用を視覚化する方法も練習してもらいました。1カ月間このような練習をした後で、被験者はWisemanさんに結果を報告してきました。
「驚くべき結果でした。80%の人が、人生や日々の生活に対する幸福感や満足度が増して、そして幸運になったと言っています」
(『Little Bets: How Breakthrough Ideas Emerge from Small Discoveries』より)
これでもまだ疑っている人がいるかもしれません。とにかく、試しにやってみてください。幸運を信じると楽しくなるというメリットもあります。
幸運になるためには、楽しい時間を過ごすことも大切です。Bruggerさんは、幸運になることは「奇跡は起こるという考え」と「人生に喜びを見いだす能力」のポジティブな相互作用だと思っています。幸運が起これば起こるほど、もっと楽しくなります(そして、その状態が手の届くところでより長く続きます)。
「幸運になれると信じていない学生は、典型的なパーティーに行っても楽しめない学生だ」とBruggerさんは言います。「幸運になれると信じないことは、とても不健康なことなのです」
(『The 7 Laws of Magical Thinking: How Irrational Beliefs Keep Us Happy, Healthy, and Sane』より)
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Eric Barker(原文/訳:的野裕子)
Photo by Thinkstock/Getty Images.