「塩」は人間にとって欠かせないものでありながら、心臓発作や心疾患を抱える人にとって、ここ数十年、敵であるかのように言われてきました。しかし、米科学誌「Scientific American」では、塩分摂取量の多さと心疾患の因果関係はあまりないと言っています。「the American Journal of Hypertension(アメリカの高血圧ジャーナル)」に載っていた、メタ分析も含む6250人の被験者を含む7つの研究によると、塩分摂取量を減らすことで、長期的に見て心疾患に良い影響があったり悪影響があったりすることは、ほとんどないことがわかりました。Melinda Wenner Moyerさんは「塩分は健康によくないという結果が出た研究がそう言っているだけで、他の研究ではそのようなことは言っていません」。

この問題は、塩に対してどのように答えるかが、個人によって違うために起こったのかもしれません。例えば、アフリカ系アメリカ人や高齢者など、ある特定の人たちは、塩分のせいで高血圧になっています。70年代、米国上院議員によるアメリカ人に必要な栄養と欲求の委員会で、狭い範囲で実施された不確かな調査を元に(アメリカ人が平均1日で摂取する塩分の約150倍の量を与えたラットが高血圧になったというようなものも)、塩分摂取量を50~85%減らすことが推奨されていました。

この記事では、減塩・低塩の食事には、血圧が上がる副作用がありうるかもしれないと言っています。塩分の摂取量にしろ、他のあらゆる健康問題や食生活にしろ、「ほどほどに」という節度が一番のカギではないでしょうか。

It's Time to End the War on Salt | Scientific American

Melanie Pinola(原文/訳:的野裕子)

Photo by TheGiantVermin.