断捨離は断念したけれど......。
「部屋を片付けるなら断捨離だよ」。そう言える人のことを、僕は常々羨ましいと思っていました。他人から見れば、「それ、取っておいてどうするの?」と思えるモノでも、いざ捨てるとなると二の足を踏んでしまうのです。
そんな煩悩のカタマリが上の写真です。客観的に見ればガラクタ市でも始めるんですか?というラインナップかもしれませんが、僕にとってはどれも大切な品々です。とはいえ、都内での1人暮らしは部屋のスペースだって限られています。モノは捨てられないけど、部屋は広く使いたい。そんな煩悩だらけの僕が注目したのが、寺田倉庫の新しいサービス「minikura(ミニクラ)」です。
ミニクラは、リアルなオンラインストレージ
ミニクラとは、荷物を段ボール箱に入れて預けると、その箱をインターネットで管理できて、いつでもどこからでも出し入れができるというサービス。いくつか種類はありますが、段ボール1箱単位で管理する「HAKO」なら、料金は1箱あたり月々200円なので、気軽に始められます。まるで「リアルなオンラインストレージ」といったところでしょうか。
「いまは使わない、でも捨てられない。ならば預けてしまおう」
これが、ミニクラの収納スタイルです。また、貸し倉庫だと自分で荷物の出し入れをしなくてはいけませんが、ミニクラは宅配便と協力しているので、好きなときに好きな場所まで荷物を運搬してくれるのも魅力。どうですか? 断捨離を諦めてしまった人々にも、救いの手を差し伸べてくれそうじゃないですか。
・HAKOなら1箱あたり月々200円と安価
・ネットで管理ができるので、荷物の把握がしやすい
・貸し倉庫と違って、運搬までお願いできるので便利
という点が、ミニクラの良いところとして挙げられます。今回はHAKOを試してみることにしました。片付けのプロ、小林なお美さんと一緒に、HAKOをより有効に使うための活用術を考えてみました。
教えてくれる人
かたづけるひと/小林なお美さんお客様ひとりひとりのニーズに合わせて、
片付けサービスを提案する、JAPO認定ホーム・オーガナイザー。
基本的には、働く女性のためのサービスを行っている。
やってみてわかったこと:ミニクラは空間と思考の整理につながる
今回、小林さんと一緒にミニクラ活用術を学んで気づいたのは、「預ける収納スタイル」を取り入れると、仕事やモノと、いったん距離を置いて向き合うことができるのだということ。とっておくもの、捨てるもの、どちらかわからないもの、とカテゴリー分けするのではなくて、季節ごとに使うもの、数カ月後に見直すものという時間軸を追加することで、空間と思考の整理につながるのだと感じました。
1箱200円という低コストだから気軽に始められると同時に、毎月お金を払うという行為によって、少なくとも一年に一度、自分の生活と向き合う時間を作ってくれる。より豊かな生活を目指すためのリアルなオンラインストレージ。そのスタイルこそがミニクラが追求するサービスなのだと思います。
それでは以下、煩悩だらけの僕がどのようにHAKOを使ったのか、それぞれ小林さんのアドバイスとともに紹介していきます。
200円で気楽にはじめられる
HAKOは、ホームページで段ボールキット(200円)を購入することからスタートします。箱は以下の3種類。
専用キットには、最大20Kgまで入れることができる段ボールと、パンフレット、宅配便の送り状が入っていました。ちなみに預け入れの際の宅配送料と最初の1カ月の保管料は200円の中に含まれているそうです。
フォルダ分けするようにHAKOを使おう
今回は、3種類を各3箱ずつ取り寄せました。片付けのプロである小林さんは「PCのフォルダ分けと同じように、それぞれの箱にテーマを決めて収納するのがポイント」だといいます。僕は以下のようにフォルダ分けしてみました。
- 仕事の書類
- 思い出のマイラブたち
- 我が家の夏アイテム
- 青春の1ページ
- お気に入りの特集雑誌
- 箱と歴代メディア
- 冬用コート
- 冬ブーツ
- 衣装ケースをそのまま
フォルダ01/仕事の書類、のHAKO
過去の手帳やノート、確定申告の資料や領収書の束なども、HAKO収納に向いているアイテムだそうです。また、minikuraには溶解サービスもあるので、使わなくなった資料のHAKOは、そのまま溶解することも可能です(別途オプション料金が必要、詳細についてはこちらの溶解オプションサービス規定で確認を)。書類のHAKOの中にホチキスの芯やクリップなどの文具類が入っていても一緒に処理してくれるので、かなり便利だと思いました。
レギュラーHAKOキットのサイズだと、ファイルBOXをいれた隙間に手帳やノートなどが入る。
フォルダ02/思い出のマイラブたち、のHAKO
どのHAKOにおいても、収納する前に中のモノを並べて写真を撮っておくと、預けた後に管理がしやすくなります。写真は上海で買ったパンダのぬいぐるみや、卒業記念アイテム、おもちゃのダーツなど。
細かいものはまとめてジップロックの袋にいれておくと、バラバラにならなくてすむ。
フォルダ03/我が家の夏アイテム、のHAKO
ヤフオク!で購入したクマのかき氷機をはじめ、寝袋、ゴアテックスのウェア、キャンプ用のフードプレート、クーラーボックスなど、我が家の夏アイテムをまとめてみました。
フォルダ04/青春の1ページ、のHAKO
アルバムのほかには、過去の手紙なども一緒に詰めるといいとのこと。ちなみに小学校時代の思い出の手紙の封筒には、当時全盛期だった「けろけろけろっぴ」のイラストが(笑)。こういうの、感慨深いですよね。手紙類もジップロックでまとめておくとバラつきません。
フォルダ05/お気に入りの特集雑誌、のHAKO
1テーママガジンの場合は好きな特集の号を、情報誌の場合は1~2年のバックナンバーを保管するぐらいが良いのかなと思いました。ブックキットは段ボールが2重になっているので、レギュラーキットよりも強度が高いです。
今回は『BRUTUS』『CASA BRUTUS』『POPEYE』『IMA』など45冊が1箱に入りました。
重さもぴったり20kgに収まりました。
フォルダ06/箱と歴代メディア、のHAKO
ミニクラには、箱ごと管理する「HAKO」サービスの他に、ミニクラスタッフがアイテムごとに写真を撮ってくれて、一点一点を写真で管理できる「MONO」サービス(料金は月々250円/1箱30点まで)もあります。そのMONOサービスでは、VHSテープをDVDにダビングしたり、写真アルバムをスキャニングするオプションもあるそうです。
ジップロックの袋などを上手に使うと、後でモノを探しやすくなる。
フォルダ07/冬用コートのHAKO
畳み方を工夫すれば、コートやジャンパーなど5着程度は入りそうです。ちなみに、MONOサービスを利用すると、オプションでクリーニングサービスを受けられるので、さらに便利。
フォルダ08/冬ブーツのHAKO
革靴も一緒にいれてしまってもいいかもしれません。
フォルダ09/衣装ケースをそのまま、のHAKO
ちなみに、僕が普段使っているのは無印良品のベッドの下に収納する布製衣装ケース(数年前に購入)。アパレルキットにきれいに入るサイズだったので、紹介させていただきました。
スペシャルフォルダ/ワインのHAKO
ミニクラには、寺田倉庫が誇るワインセラーで、ワインに最適な環境で熟成させてくれるキット「minikura HAKO-wine-」(12本入りの箱で月々630円)もあります。このサービスでは温度13~15度、湿度60~80度でワインを保管してくれるだけでなくて、自家発電設備を供えているため、雷や災害時にも大切なワインを守ってくれます。震災のときに停電でやきもきしたワイン愛好家の方には、こちらも良いのではないでしょうか。
まとめ
冒頭にも登場したこの写真のモノたちは、結局、9つのHAKOに収まりました。机の引き出しには余裕ができ、押し入れの服は出しやすくなり、年に数回しか使わないけれどスペースをとっていたものが整理されました。部屋の一部分がごっそり片付くというよりは、部屋全体がすっきりとした印象です。
預ける収納のコツとしては、仕事、夏用品、冬服、雑誌など、それぞれのカテゴリーに分けて箱に詰めること。また、それらのアイテムを、使う頻度と季節という、時間軸を考えながら収納すること。これらの作業を通して、仕事やモノと距離を置いて向き合うことができ、空間と思考の整理につながりました。
自分の生活と向き合う豊かな時間。ミニクラに荷物を預けて得られるのは、空間と、そのマインドなのだと思います。
(松尾仁)