「働く場所があるだけラッキー」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。しかし、くだらない仕事を我慢して続けたり、好きでもないキャリアに妥協したりする必要はありません。

筆者の身の回りにも、仕事が嫌いな人はたくさんいます。そんな人たちに「じゃあ何がしたいの?」と尋ねると、実はかなり夢に近づいている人がほとんど。あとは、少し立ち止まって、そこにたどり着くための道のりを見つけるだけという人が多いのです。

そこで今回は、自分をしっかり見つめて本当にやりたいことを見極め、それを自分のキャリアプランに取り入れる方法をお伝えします。仕事でもプライベートでも、あなたが目標に向かって進むことができるように。

自分を評価する

141030career2.jpg

仕事の内容を書き出す:キャリアの憂鬱から抜け出すためには、まず、仕事における自分の立ち位置を評価してみましょう。肩書きや履歴書だけでは不十分。何日かかけて、自分が実際にやっている仕事の内容を、じっくりと書き出すのです。最初に仕事上の主な責任(履歴書に書く内容)を書いたら、次に職場で時間を費やすことすべてを書き足していきます。たとえそれが、あなたの実際の「仕事」からは逸脱していても。

これを習慣にするには、成功、失敗、活動のすべてを書きつづった業務日誌をつけるのがいいでしょう。GTDスタイルで、毎週1回、その1週間で自分が達成したことを振り返り、翌週に備えるという週次レビューを習慣にするのもオススメです。それができたら、リストの各項目を、「キライ」「どっちでもいい」「大好きだからもっとやりたい」の3つに分けます。

141030career3.jpg

やりたいことを書き出す:リストの分類が済んだら、次は「もっとやりたい」と思えることに注目します。やりたい項目に基づいて、そのために毎日したいことを書き出してみましょう。1日中ブログを読みたいなど、極端なものも含めてすべてです。それを「時間のムダ」と言う人もいるでしょうが、雇用主によってはそれをリサーチと呼んでくれるかもしれません。

次に、長期的思考に移ります。「これらのことを、1年間続けたいか? 2年だったら? 5年だったら?」と自問してみてください。はっきりわからなくて当然です。自分の気持ちとはいえ、未来のことはわからないのですから。それでも、何となくでもいいので、考えを書き留めてください。そのほかに自問すべき質問はこちらです。

  • 仕事とプライベートで、自分の得意なことはそれぞれ何か? 苦手なことは?
  • 今の仕事に残りたいか? 今の分野に残りたいか?
  • 転職をするなら、今と同じような役割がいいのか、もう少し偉い立場になりたいのか?
  • 転職をするなら、人をマネジメントする方がいいのか、自分で全部できる方がいいのか?
  • 業界を変えるとしたら、どんな分野がいいのか?
  • その業界についてワクワクする理由は? それについて自分は興味があるのか?
  • 今の自分は、その分野で役に立つことをやっているか?
  • どんな種類の会社で働きたいのか? その会社の何が自分にとって重要なのか?
  • 独立はいばらの道と知りつつも、独立やフリーランスになるという選択肢はないのか?
  • 書き出した好きなことリストを見て、それらを毎日できる職業はないか?

答えを見直す:これらの質問をする理由は、自分の目標を評価するためです。これをやると、楽しいと思えるタスクを伴う仕事を見つけられるでしょう。次は、その理想の仕事を手にしたと仮定して、そこからどうしたいかを考えます。自分はもっと先のレベルまで突き進みたいのだろうか? こうして次のステップを考え始めたあなたは、もはや「夢の仕事」だけでなく、自分の望むキャリアについて考えていると言えるでしょう。

すべてを書き終えたときには、かなり出来の良い自己評価が完成しているはず。それだけでも価値のあることです。結果として今の仕事に落ち着く場合でも、嫌いなタスクを避けて、好きなことをもっとさせてもらえるように上司に交渉する際の役に立つでしょう。これで、具体的な計画を立てる準備が整いました。

キャリアプランを立てる

141030career4.jpg

やりたい仕事についてリサーチする:自分のやりたいことは把握できました。次は、それを実行できる仕事を見つけましょう。方法はいくつか考えられます。

  • 図書館や職業指導センターに行く:あなたのスキルや希望に合った仕事を見つけるには、経験豊富な人に聞くのがベストです。図書館員や職業指導センターのスペシャリストとのちょっとした会話で、あなたに必要なキャリアガイドや資料にたどり着けるかもしれません。それらを駆使して、漠然としていた夢を、目指す仕事へと変えていくのです。
  • 人事部と話す:今の会社に人事部があるなら、社内でどんなキャリアを実現できるのかを聞きに行くといいでしょう。人事部は当然、あなたが今の仕事で成功すること、つまり会社に残ってくれることを望んでいるはず。ですから、会社は好きだけど今の仕事が嫌いという場合は、人事部に相談するといいでしょう。
  • 転職サイトをじっくり見る:転職サイトでは、肩書で検索をする人が多いようです。でも、好きな役割やタスクで検索してみてください。1日中TwitterやFacebookをしているのが好きなのであれば、「Twitter」「Facebook」「SNS」「ソーシャルメディア」などのワードで検索するといいでしょう。
  • キャリア評価テストを受ける:サイト「CareerPath」が実施しているテスト(英語)は、性格テストとキャリア評価テストがうまくブレンドされたテストです。得られた結果を用いて、あなたの持つ情熱やスキルを活用できる仕事やキャリアを知ることができます。
  • キャリアについて人と話す:以前も紹介した方法ですが、口にすることで、漠然とした情熱を具体的な仕事に変えられることがあります。友人、家族、同僚などに自分の好きなことを伝え、それができるような仕事を知らないか、尋ねてみるといいでしょう。今の仕事では副次的なものかもしれませんが、それをメインで担当できる仕事が、意外と存在するものです。

例えば、私のある親友は、毎日のようにつまらないセールスメールを送り続ける仕事にウンザリしていました。非常に煩雑なプロセスを伴う仕事であり、彼女は「もうちょっとマシなツールがあったらいいのに」ともらしていました。一方、そんな仕事でも好きなところはあったようです。彼女は、メールを開封した人の数を知り、購入履歴からどの商品をクリックしたのかを知るのが心から好きだったのです。筆者が以前働いていた会社では、これをキャンペーン・アナリシスと呼んでいて、もっと便利なツールを使っていました。そこで、その仕事を彼女に紹介したところ、彼女はたいそう驚いていました。彼女が今の仕事の好きなところと嫌いなところをはっきりと把握していたので、彼女の好きそうな仕事が世の中に存在することを、教えてあげることができたのです。

141030career5.jpg

それらの仕事の将来をリサーチする:自分の望む仕事がはっきりしたら(今の仕事の楽しさを再発見した場合でも)、長期的なキャリアを考え始めるときです。その仕事の将来について、リサーチしてみましょう。

例えば、システム管理に興味があるとします。その仕事を得たら人生がどうなるのかを考えてみてください。数年後、他のシステム管理者のマネジメントをしたいと思いますか? それとも、ますます技術的な難易度の高いプロジェクトに取り組むことを望みますか? 多くの技術職が、そのどちらかの道を歩みます。あなたなら、どちらを望みますか?

また、そのキャリアには教育、学位、認定などは必要ないか、事前に確認しておく必要があります。会社によっては、仕事の業績だけでなくスキル向上を昇進の条件にしていたり、関連する学位を取るか、関連する講義を受けなければ昇進できない場合もあります。学び続けるのは悪いことではありませんが、せっかく理想のキャリアに進んだのに、最初の一歩でつまづかないよう、注意が必要です。

例えば、私はプロジェクトマネジャー(PM)をしていたことがあります。PMとして昇進するには、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)の認定が必要であることを知ったのは、その仕事を始めてだいぶたってからでした。それからあれこれ調べた結果、PMPがあるともっと自分を売り込めることがわかったのです。ラッキーなことに、勉強するための時間とお金はあったので、すぐにPMP講座を受け、次のレベルへとキャリアを進めることに成功しました。とはいえ、もっと早くからPMPのことを知っていたら......と思うことがよくあります。

リサーチを終えるころには、興味のあるキャリアの将来や、それまでのプロセスを楽しめるかどうかがわかってくると思います。もちろん、すべてを予測することはできません。一生エンジニアで行こうと思っていたのに、ある日急にマネジメントに目覚めることもあるでしょう。ソフトウェア開発をしていて、新しいアイデアを思いつき、起業家の道を歩むこともあるでしょう。大事なのは、どんな仕事が得られるかというアイデアを通り越して、もっと柔軟にキャリアの可視化を進めることです。

行動に移す

141030career6.jpg

これで自己評価は完結し、理想のキャリアパスがいくつか見えてきたのではないでしょうか。あなたは、興味とスキルに合った、自分だけのキャリアプランを手にしたのです。あとは、「どの道を歩むか」という決断を下すのみ。ただし、キャリアプランをそのまま眠らせてはいけません。目標に合った仕事のリサーチや人との会話は継続して行ない、好きなことを仕事にできるチャンスがないかを常に探し求めるようにしましょう。

方向性を決めたなら、完全に新しい仕事に乗り換える必要があるのか、それとも今の仕事の中で始められないかを判断します。すでに、時間さえかければ好きなキャリアに進めるという、恵まれた境遇にいる人もいるでしょう。そうでないなら、たとえ経験がなくても今の環境を飛び出して、目指すキャリアを追求すべきときかもしれません。

どんな選択肢を選ぶにせよ(何もしないという選択でも)、自分の強みと弱み、そして仕事での自分の立ち位置を把握することには、大きな意味があります。その情報を活かせば、新しい方向性を見つけるのと同じように、今の仕事をもっと好きになれるかもしれません。多少の時間をかけてキャリアマップを描くだけで、好きでもない仕事やキャリアに耐える何年もの期間を、回避することができるのです。

Alan Henry(原文/訳:堀込泰三)

Images by Ava Verino, Michael Mandiberg, Bill Sodeman, sunshinecity, CUS Visual Media, East Capital, and Quinn Dombrowski.