ウェブメディア『CB Insights』で、「起業が失敗しやすい20の理由」が発表されています。その元となったのが、同サイトで行われた101人の起業経験者たちの研究です。そこでは、メンバーの構成の弱さから投資家を巻き込む力の有無まで、起業に興味のある人なら知っておきたい全てのことが語られています。
もちろん、これが起業の失敗を分析した初めての研究ではありませんが、切り口が斬新です。まず、101人の実際に失敗した人々が対象となっています。CEOに聞いた失敗体験談などとは違う、これまでにない異色の調査と言えます。それから、ベンチャー企業に支援され急速な成長を遂げた会社に特化している点もユニークです。また、この研究の対象となった創業者の言葉や逸話が盛り込まれており、リアルな話を知ることができます。
なぜ上手くいかなかったのでしょう? 本当にささいなことも含め、101の理由が挙がりました。なかでも5つの大きな理由を見ていきましょう。
市場に需要がなかった:42%
半数以上の起業家たちが、自分たちの作る商品やサービスは市場から求められていなかったと気づいたそうです。支援サポートを行うTechstarsのBlueprint Healthの幹部だったJeff Novich氏が、自身が立ち上げたPatient Communicatorの失敗に挙げた理由でもあります。「基本的に売り込んでいるモデルに誰も興味をもっていなかったため、顧客獲得できなかったことに気づきました」
資金不足:29%
3分の1の会社が資金不足に至りました。これには、モバイルのニュース配信システムをつくっていたFlud社の例があてはまります。ものすごく大きな成長を遂げたにも関わらず、資金不足に陥りました。起業初期には起こらない、成長して初めて起こるキャッシュフローが大きくなりすぎる恐怖があるのです。Flud社は230万ドルの売上げを上げていましたが、「理解しづらい商品を市場に合わせ、収益もあげれるよう様々なアプローチや方法をとったにも関わらず、会社の資金はなくなっていきました。そして撤退したわけです」と説明しています。
チーム構成が適切でなかった:23%
創設メンバーを集めるのは簡単ではありません。適材適所の人材を見つけるのは大変なことです。思いもよらぬところで、間違った人材をメンバーにしてしまうこともあります。中小企業を対象とした人材紹介サイトをつくったStandout Jobs社で同じことが起こりました。「メンバーでは、成長が見込めるものを作れませんでした。大きな誤算でした。最低限の業務をフリーランスに外注したとしても、創設メンバーが商品を自分たちで手掛けることができないなら、そもそも起業すべきではないのです」
また、問題がハッキリしていない場合もありますミニブログサービスを提供したNouncer社の創設者Eran Hammer-LahaSometimes氏の場合がそうです。「ビジネスや技術的な面で、助言をくれたり、相談できる人がいませんでした」
競合に負けた:19%
起業するなら「競合相手のことを考えてる場合ではない」というのはよく耳にするところです。起業するからには、誰も真似できないような唯一無二のものをつくるべく邁進しよう、と。
これは間違ったアドバイスです。個人のファイナンシャルマネージメントのツールを提供したWesabe社のMark Hedlund氏に起きたことです。会社は470万ドルもの売上げをあげましたが競合のMint社に敗れました。「Mint社との出来事は本当に大変でした。1つのプロバイダーに頼らないこと、ユーザーの個人情報を守り、顧客の経済面にポジティブな変化を与えること。これは私自身が社員に伝えていたこで、会社を進めていくための理念でした。しかし、商品が使いづらければ、そういったことはどうでもいいことなのです」
価格と原価が適切でなかった:18%
誰も知らないような商品やサービスを展開するなら、料金設定や資本資産価格モデルを決めるのが難しくなるものです。ユーザーのアプリの使い方を記録する独自のサービスを提供したDelight.io社がそうでした。「債権の数により価格を変動させていました。顧客が期間をコントロールできるわけではなかったので、取引を警戒していました。むしろ、デュレーションの計画を立てた方が意味があったかもしれません」
What Went Wrong: 101 Failed Startups Tell All
|Inc.Kimberly Weisul(訳:瀬呉保)
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