神経科学では長い間知られていたことですが、ストレスが多い状況は、攻撃的反応/逃避的反応を引き起こします。仕事ではあまりないかもしれませんが、人生を脅かすような危機的状況では、頭は冷静でいた方が良いので覚えておきましょう。攻撃的/逃避的反応によって、脳と神経システムは即座に身体的な行動を起こそうとします。仕事では、感情を爆発させたり、部屋を飛び出して行ったりする、という行動で表れることが多くあります。このような反応をすると、悪い状況がさらに悪化するだけです。
別の言い方をすると、仕事における攻撃的/逃避的反応から、その状況における失敗の深刻度が分かります。脳は、熊に襲われた時に命を守ろうとする化学物質を放出します。普通の職場でそのような化学物質が放出されるとしたら、本当に最悪ですが。
しかし、楽観的でいれば、悲惨な状況を深刻にとらえすぎないので、そのような攻撃的/逃避的反応をすることはあまりありません。神経科学をリーダーシップのトレーニングに利用した先駆者である、Jon Pratlett氏はこのように言っています。
挫折、失敗、失望のとらえ方が、自分の反応にかなり影響します。考え方が、悲観的か楽観的かによって、その後の行動や選択が大きく影響されるのです。
したがって、攻撃的/逃避的な反応をしなくても済むように、失敗を楽観的にとらえられるように鍛えた方が良いでしょう。特に、とっさに何かが起こった時に、より良い決断ができるようになります。
失敗を楽観的にとらえる能力を鍛えるには、考え方を変えなければなりません。失敗を個人的で、永続的で、避けられない、どんどん広がっていくものとしてとらえるのではなく、個人的なものではなく、一時的で、避けられる、限定的なものと考えます。
1. 失敗を個人的なものだと思わない
悲観主義者は失敗を個人的なものだと思いがち。失敗を、自分がやったことの結果ではなく、自分自身のせいだと思うから問題なのです。「私は生まれつき負け犬なんだ」
楽観主義者は失敗は仕方ないと思うことが多い。失敗を、将来成功するために解決しなければならない課題だと考えます。「やり方をどう変えればいいのだろう?」
2. 失敗を一時的なものとしてとらえる
悲観主義者は失敗を永続的なものだと思いがち。失敗した後で、自分の頭を壁に打ち付けたくなります。「これでうまくいかなかったら、一体どうすればいいんだ?」
楽観主義者は失敗を一時的なものだと思うことが多い。失敗は、次は違うやり方でやった方が良いという合図だと思っています。「これでうまく行かなかったら、今度は違うやり方にしよう」
3. 自分の失敗の責任を取る
悲観主義者は失敗する運命にあったことを呪う。失敗は、自分ではどうしようもできない、避けられない外的要因による結果だと思っています。「運が悪かった」
楽観主義者は違う方法でできなかったかを探る。失敗は、あらゆる可能性のうちの一つの結果だと考えています。「自分がうまくやれなかった」
4. 失敗を大げさにとらえない
悲観主義者は失敗を必要以上に大きくとらえる。失敗をあまりにも大きくとらえ過ぎて、それ以外のすべてのことはさして重要ではないと思います。「なんで自分にはいつもこんなことばかりが起こるんだろう?」
楽観主義者は失敗を限定的なものとしてとらえる。失敗を成功までの道のりにある障害物のように考えています。「なかなか厳しい教訓だったけれど、これで前に進める」
5. 他人も楽観的に励ます
悲観主義者は内心楽観主義者が失敗すればいいのにと思っている。同じような惨めな仲間が欲しいので、悲観主義者はネガティブなループに巻き込まれていない人を快く思いません。「現実を無視するのはやめろ! これは最低なんだ!」
楽観主義者は悲観主義者にも成功してほしいと心から思っている。ネガティブなループに巻き込まれると事態が悪くなる一方だと分かっているので、悲観主義者を元気づけるために励まそうとします。「あなたが思ってるほど悪くはないと思うよ」
5 Reasons Optimists Make Better Leaders|Inc.
Geoffrey James(訳:的野裕子)
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