こんにちは、セラピストの小松ゆり子です。デジタルツールを多用したり、IT系ワークが多くなりがちな現代人が、手軽に取り入れられるセルフケア術をお伝えしています。

私がディレクションをつとめる渋谷のクイック・リラクゼーションサロン「CHILL SPACE」に訪れる方のお悩みNO.1といえば「肩こり」。

自覚があるのはまだ良いほうで、「肩なんてこってないよ」という方も、いざ揉んでみると恐ろしいほどガチガチに固まっている...というのもよくある話。

今回はコリの理由と、筋肉を気持ちよーく伸ばすストレッチの秘訣をお伝えします。

筋肉が固くなる2つの理由

縮んだり伸びたりを繰り返し、わたしたちの身体に動きをもたらしてくれる筋肉。子どもの頃は誰しも柔らかく伸び縮みする健やかな筋肉を維持できていたはずですが、成長するにつれ、学校で長時間椅子に座るなど、動きが制限されることが増えてゆきます。

長時間のパソコン仕事やスマートフォンをいじるなど、現代人におなじみの行動は、首から肩がピキピキとこわばってきますよね。根を詰めて仕事をしている時、デジタルツールに夢中になっている時など、自分に一時停止をかけて体の状況をスキャンしてみてください。呼吸がとまり、体が小さく縮こまっていることに気づくと思います。

「同じ姿勢を保つ」ということは特定の筋肉の過度な収縮や緊張を生みます。これがコリの第1の要因です。

また、大人になっていく間に、さまざまな感情の葛藤も体験しますね。怒られた、嫌なことがあったなど、感情面のストレスは自律神経が交感神経優位に働き、筋肉だけでなく身体全部をキュッと縮こまらせてしまいます。つまり「運動も身体のメンテナンスもしっかりしているのにコリが取れない!」という方は、心理的なストレスが原因かもしれません。

こうして心と身体の両面から、筋肉のこわばりが作り出され、関節の可動域が狭くなっていくのです。その都度フィジカル的にもメンタル的にも「発散」や「ゆるむ」ことをして解消していければ良いのですが、ストレスにさらされて緊張が緩和を追い越す日々が続くと、ついには痛みを訴えることに。あるいは、その硬直のしすぎによって感受性すら奪われ、冒頭に書いたような「肩こりなんて感じないよ」という「麻痺」の領域に至る人も...。

また、「筋肉運動」が循環のきっかけであるリンパ系も動きづらくなってしまうので、水分の滞留によるむくみも起きやすくなります。このようにして身体に血流やリンパの流れが悪いところができるということは、その先の細胞に栄養や酸素が行き届かず、老廃物が適切に排出できないということにつながります。「たかが、コリ」ではなく、自分自身が未病になることを防ぐためにも、循環を良くして柔軟性の高い筋肉を維持することが大切です。

心と体を解放する! ストレッチと呼吸の関係

筋肉がやってほしいと願っているのは、適度に動かしたり、硬く縮まった部分を心地よく引き延ばされること。たとえば座りっぱなしの職業の方と立ちっぱなしの職業の方だと、ずっと座っている方が筋肉運動をするが少ない分、コリやむくみがひどくなってしまいます。

そんな方は、コピー用紙を取りにいくとかトイレに行くなど、なんでも良いのでちょこちょこと動く時間を作り、筋肉運動の回数を増やすだけでも血流やリンパの流れは変わってきます。さらに、立ち上がったついでにやってもらいたいのが肩回しやストレッチ。「ストレッチならしているよ!」という人でも、実はあんまり「効かないストレッチ」をしていることがあります。

肩回しは、数回肩関節を軸に腕を回すだけでのシンプルな方法ですが、この時にできるだけゆっくりと肩関節の可動を十分に感じながらやるのがポイント。肩関節の滞りがほどけてゆくのを体感し、心地よい方向に動かしてもOKです。関節を回す動きで、腋下や鎖骨下のリンパ節が解放されていきますので、これだけでも上半身の老廃物が流れ出します。

ストレッチの手法はたくさんありますが、「気持ちいい方向に筋肉をのばす」というテーマで、好きなように動かしてみるのが最初の一歩。たとえば、電車内でつり革につかまった時、脇の下から体側までもが伸びるように自分の体重を委ねてみると、それだけで良いストレッチになります。心地良さに身を任せながら少しずつ体をひねり、伸ばす角度をジワジワと変えてみるとさらにしっかりとストレッチできます。

ただし、ストレッチは実践するときのちょっとしたコツがあるのです。それはとにかく「呼吸」と連動させること。息を吐くときに、筋肉は緩んでいきますので、そのタイミングに合わせてしっかり伸ばしていくことが大切です。

①息を吸う

②息を吐きながら目的の筋肉を伸ばす

③筋肉の伸び感を心地よく感じたら、ゆったりとした深呼吸を数回行う

④変化に驚かせないように、ゆっくりと筋肉を元の位置に戻す

⑤伸びた感覚を味わいながら数回呼吸する

ここまでの一連の流れこそが、ストレッチです! せかせかと肩を回したり、チョイチョイグイグイと複数回のストレッチをやるより、1回で良いので、しっかりと呼吸と連動させて行ってみてくださいね。

ストレッチ効果倍増のコツ

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アロマミスト、re:treat SUNとre:treat MOON。朝と夜に使い分けることでリラックス効果を高める。

呼吸との連動がストレッチにおいて大切ということは、おわかりいただけたかと思います。呼吸が深まれば自律神経も副交感神経優位に導かれてリラックスしますので、ストレスからくる筋肉の緊張にも効果的。呼吸を深めるためにリラックスできるアロマスプレーを室内に漂わせることで、さらなる相乗効果も。

朝のストレッチには交感神経優位に導きリフレッシュできる香り、夜にやるなら副交感神経優位に導きリラックスできる香りを組み合わせて行うことで、心地よさが倍増し、心までもケアすることが可能です。また、朝晩にストレッチを行うことでONとOFFの切り替えのしやすい、回復力の高い心と体をつくることができます。

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CHILL SPACE店舗内

「わかっちゃいるけど、自分でやるのは面倒臭い、もはやセルフケアをする気力がないほど疲れている...」という方には、人の手を借りることをお勧めします。人の手に触れられ、心地よさに身を委ねるときに放出されるオキシトシンという癒しホルモンには、心を緩ませ、安定させる効果があると言われています。体がほぐれれば、心もほぐれます。心理的ストレスから緊張が始まっている人にはタッチングケアが最適なのです。

渋谷の「CHILL SPACE」でも、リラックスに最適なストレッチを取り入れた30分〜60分のボディケアや、デジタル疲れの出やすい部位に特化した「デジタル・デトックス」メニューもご用意しております。ご体調に合わせて施術内容をカスタマイズしていますので、気になることがある方はぜひスタッフに伝えてみてくださいね。

次回はデジタル疲れの代表格「眼睛疲労」と姿勢の関係についてお伝えいたしますのでお楽しみに!

小松ゆり子

パーソナル・セラピスト。音楽、カルチャー、リラクゼーションを融合する「relacle」「CHILL SPACE」スーパーバイジング・ディレクター。南青山のプライベート・アトリエ「corpo e alma」を中心にセラピー・セッションやセミナー活動を行う。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「VITAL touch therapy」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行っている。

約12万人以上を動員する音楽フェスティバルSUMMER SONICで10年連続セラピーブースを展開する他、新宿のシェアオフィス「HAPON」でのオフィスリラクゼーション、アパレルブランド「かぐれ」でのセラピーや講座など他業種とのコラボレーションも多数。現代人が都会でバランスを保ちながら生き抜く知恵やプリミティブな五感を取り戻す方法をさまざまな角度からナビゲートする。