簡単で愛らしい外観…だけど安心快適
夢は「すべての人に家を届けること」
去年の元日に発生した能登半島地震。その翌日、北川啓介は現地に駆けつけた。目的は、自ら考案・設計した応急簡易住宅「インスタントハウス」を届けるため。車2台を停められるスペースがあれば、たった3時間で建てられるその「家」が、従来の仮設住宅とは比べ物にならないスピードで被災者を支援してきた。
開発のきっかけは東日本大震災だった。避難所の小学生から「仮設住宅を建てるのにどうして半年もかかるの?大学の先生なら明日建ててよ」。建築の専門家として、どうすれば短期間で家を建てられるのか...自問自答を繰り返し、ひらめいたのが空気を使うことだった。
5年に及ぶ試行錯誤の末、気球のように加工した防炎シートを膨らませ、内側に発泡ウレタンの断熱材を吹き付ける「インスタントハウス」を完成させた。空気を大量に含む断熱材により、夏は涼しく、冬は暖かい。従来の仮設住宅に比べ、施工費も格段に安い。
2023年のトルコ・シリアやモロッコの地震でも被災地に、去年はミャンマー移民の子どもたちが身を寄せるタイ北西部の村にある学校にもインスタントハウスを届けた。どうすればもっと安く、現地の材料で建てられるか。北川の研究は終わりがない。
そんな矢先の9月、能登の被災地を今度は豪雨が襲う。あのハウスはどうなったのか――迷わず現地に向かった。
「世界中で家に困っている人たちに希望を」。その実現に人生を捧げる男の眼差しは優しい。
CATCH UP
TVer・動画イズムで無料見逃し配信中!
動画イズムでは一部過去エピソードも配信中!(有料)
BACK NUMBER
このサイトをシェアする