「花王ブローネ使用でハゲた」因果関係認めるも、判決は原告の請求棄却
花王ブローネヘアマニキュアHPより。 |
◇勝訴か敗訴かもわからないまま裁判所へ
マイニュースジャパンが花王ブローネヘアマニキュア裁判を報じた「花王ブローネヘアマニキュア”脱毛”裁判 双方の言い分明らかに」の記事中で記したとおり、この裁判を客観的に見ると、下記の見方ができる。
「添付された原告の写真を見ると、原告の頭皮のバリアが壊れていると考えられる。
頭皮のバリア構造について、花王がどのていど認識しているかについて、今裁判で被告の花王に答えてもらいたい点である。それは現在、ヘアマニキュアを含め花王製品でカラーリングをしている消費者への説明義務でもある。」
そこで原告側に向けて、以下のような質問を花王にぶつけてもらいたいと提言した。
--ジメチコンコポリオール、トリデセス-9、イソステアリルグリセリルペンタエリスの3種類の合成界面活性剤が使用されていますが、これらが頭皮のバリア機能を壊し、そこにタール色素を含めた異物が侵入したことが脱毛の原因となっていませんか?
--なぜ、合成界面活性剤をヘアマニキュアの成分に加えているのですか?
--タール色素、BHTなどを頭皮に浸透しないように、頭皮のバリアを壊さないカラーリング方法があるのなら、それを説明してください。
そして、原告の担当弁護士宛てに掲載記事を送り、「ぜひ、裁判でも、頭皮のバリアを壊す合成界面活性剤について追求していただければと存じます」という手紙も送っていた。
そこで今回の取材にあたり、当時の原告担当だった弁護士に電話を入れて、裁判の経緯や原告の状況について尋ねると、
「申し訳ないが、取材願いに関してはお受けできない」「和解ではなく判決まではいったが、勝訴か敗訴かもお答えできない」という答えが返ってきた。
続いて、裁判の結果を聞くために奈良地方裁判所に電話0742-26-1271(代表)して、事件番号「18(ワ)165号」を伝えたところ、
「奈良地裁で結審し、高裁にはいっていません。裁判の結果については電話では伝えられません。こちらに来て直接の閲覧は可能です。1階の地裁民事部で閲覧できます」と、以前取材した時と同様の対応だった。
裁判記録を調べるために訪れた奈良地方裁判所。近鉄奈良駅から徒歩数分のところにある。閲覧した民事部は、玄関を入ってすぐ左、カーテンが閉められていないガラス張りの部屋だ。 |
--裁判記録を閲覧したいんですけど。
「民事ですか? 刑事ですか?」
--民事です
「まだ係争中ですか?」
--いえ、地裁で結審したと聞いています。
「それでは、奥に入って中央の受付でお願いします」
「訴訟受付保全係」の受付へ向かい、細身でメガネをかけた男性職員に事件番号を告げた。
「判決だけですか? 裁判資料全般ですか?」
--全部の資料をお願いします。
すぐに資料が出てくると思ったが、男性職員は机の上のファイルを探し始め、続いて後ろにあるロッカーを探しても見つからない様子で、5分ほど探した後で、「お待ちください」と言って奥に消えていった。
それから待つこと20分。男性職員は判決文のみを持って戻ってきた。こちらが判決文を読んでいる間に、全部の資料の方を探してくるつもりらしい。
まずは、閲覧のための申請用紙に氏名、住所を書き、認印を押した。ここで初めて、原告の名前を口頭で教えてもらった。その後で、「身分のわかるものを」と言われたので保険証を出すと、こちらが記入した住所、氏名と照合していた。
ノートPCに入力した判決文の一部。花王ヘアマニキュア裁判の争点と、それに対する裁判所の判断が記されている。手書きのメモよりも遥かに早く打ち込めたが、3時間を過ぎると最後には指がしびれた。 |
◇原告の請求を棄却
まずは、判決の主文に目を通した。
平成18年(ワ)第165号 損害賠償請求事件 原告 ●●●●(編集部により非公開) 同訴訟代理人弁護士 川崎祥記 同 前川典彦 被告 花王株式会社 同代表者代表取締役 尾崎元規 同訴訟代理人弁護士 井上 卓哉 1原告の請求をいずれも棄却する。 2訴訟費用は、原告の負担とする。 奈良地方裁判所民事部 裁判官 進藤 千絵 |
原告の敗訴だ。事前に取材を申し込んだ原告の担当弁護士が裁判結果を教えてくれなかったことで、予想はしていたが。
その後、全23ページの判決文の中から、争点に対する判断や結論を読んでいる間に、男性職員が資料全文を持ってきてくれた。
前回の取材後に行われた主な裁判の記録を見ると、
・平成19年9月13日 原告本人の尋問調書
・平成19年11月8日 口頭弁論終結
・平成20年2月14日 判決言渡
・平成20年2月29日 判決確定
・平成20年3月 3日 確定証明書
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パソコンで打ち込んだ判決部分。
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正直、合界としてまとめるのはどうかと思う。正直、アトピー性皮膚炎の人が自宅で髪染めるのはリスキーだと思う。が、注意喚起はすべきだね。
ヘアマニキュア裁判。
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読者コメント
メーカー側の説明責任不足はあるでしょうね。
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