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第14回で紹介した岡村さんの玉座裸玉「驚愕の曠野」(改良図)、4手の逆算だけに2か月をかけたという作者の詳細な検討に漏れはありませんでした。 詰将棋史上初の夢の玉座裸玉の誕生を皆さんと共に喜びたいと思います。 |
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◇裸玉 59手 岡村孝雄 『驚愕の曠野』(改良図) |
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驚愕の曠野」そして玉座裸玉の最終完成形 近藤真一近い将来に裸玉はコンピューターによって、すべて解明されるという人がいる。 その予測は正しいであろう。 しかし、現在の状況は一作の詰みの有無さえ、はっきり結論が出せないでいる。 その状況で、裸玉の純粋な完全作を得るという事は困難な作業であり、闇雲な挑戦は不完全作の山を築くだけの結果となろう。 裸玉の探索は砂中に潜む一粒の砂金を探すようなものである。 言うまでもなく、存在する事と発見する事は別物である。 岡村氏は現在まで数作の裸玉を発表しているが、発表に至るまでの労力は想像以上のモノであったに違いない。 おそらく、氏は探索の過程で裸玉に対して、極めて鋭敏な嗅覚を身につけたのであろう。 それでなければ、天性のセンスがあったのだ。 単なる執念、根性と言ったモノでは裸玉と言えども好作の発見は難しい。 玉座裸玉(角金4銀2歩9)の作意手順を改めて鑑賞してみよう。 初形の持駒を見て驚くのが歩9枚と言う事だ。 これだけの歩を使えるのだろうかと気になる。 なぜなら、手順の展開は右、ないしは左半分で展開されると予想されるので、およそ、一筋に2〜3枚の歩を使用しなければならないからだ。 しかし、その心配は良い意味で解消される。 角合以後の4筋から1筋の歩の連打に思わず膝を打つ。 続いて2筋に歩を連打し、銀捨てで37金の拠点を打つ。 この金が46、35とせり上がっていくのも面白い。 1筋に玉を押し込み馬が出来ればほとんど終わりかと思えばそうではない。 53角が13まで移動し清算されるのも面白い。 もう仕掛けのない最後の場面で23角の好手を放つ。 後は馬を交代させ金をせり上げれば、ようやく詰みとなる。 玉座裸玉(角金4銀2歩9)は最終完成形である。 今後どれだけの裸玉が発表されるか判らないが、本作が裸玉の中の最高傑作である事を私は強く確信している。 本作を完成させた作者に私は大いに敬意を表したい。
裸玉、2×2、3×3、角一色図式の4部門の記録を更新。 この超弩級の作品、是非並べて鑑賞していただきたい。 当選−おもちゃ箱スペシャルCD-ROM |
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