特養で若手職員が医師に扮して死亡確認 診断書も作成 埼玉

 春日部市銚子口の特別養護老人ホーム「あすなろの郷」が3月、危篤状態だった女性入居者=当時(101)=について、嘱託医から日付が空欄の死亡診断書を事前に受け取り、死亡時に医師に扮(ふん)した職員や看護師が作成して遺族に渡していたことが28日、県などへの取材で分かった。県は、一連の行為が医師以外による死亡診断書の作成を禁じた医師法に抵触する恐れがあるとして、県警に情報提供する。

 県福祉監査課によると、死亡診断書の事前作成は施設の看護師が嘱託医に依頼。容態が悪化していた3月18日、日付が空欄で死因を「老衰」とした死亡診断書を受け取った。

 女性は同20日に心肺停止状態となったが、施設は積極的な延命措置をしない運営方針で、白衣と聴診器などで医師のふりをした若手職員が遺族の前で死亡を確認。看護師が死亡診断書に死亡年月日と発行日を記入した。看護師は内規に違反して嘱託医が指定した医師に連絡を取っておらず、3月末で退職。嘱託医は5月末で施設の担当を辞めるという。

 県は情報提供を受け、4月26日に施設の立ち入り調査を実施し、法令を順守するよう指導した。県の調査に看護師は「別の医師を探して、女性や家族を連れ回したくなかった」と説明している。

 施設長は同日、遺族に謝罪。施設を運営する社会福祉法人「あすなろ会」の斎藤美嗣専務理事は「看護師としてあるまじき行為。連絡体制を強化し、指導を徹底する」と述べた。

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