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就活ルック個性なし、人材争奪に「目利き」

 スーツと靴、かばんは黒でシャツは白。この時期、街でよく見かける就職活動中の女子学生の定番スタイルだ。統一されているといっていいほど。しかし、就職支援のベンチャー企業「i-plug(アイプラグ)」(大阪市淀川区)の松田真弓さんは「昔は想像以上に個性的だった」という。

 同社は熱中症予防や人材の多様化を促すために「就活クールビズ宣言」プロジェクトを展開し、企業に協力を求めている。松田さんは、好ましい就活スタイルを探るため過去40年間ほどのファッション雑誌を調べた。

 昭和50年代はチェック柄のワンピースや赤いブラウスと派手な色使いが人気で、その後、ダブルボタンのブレザー、スカートへと移り、肩パッド、丈の短いスカートも…と華やかなものだった。

 現在のモノトーンなスタイルが定着したのは、この15年ほどのことだという。松田さんは「ネットを使った就職活動支援サービス、大型セミナーの開催など『マス型』の採用が普及したのが一因」と指摘する。「目立たないほうが無難」という考え方が広まり、就職氷河期を経て根を下ろした。

 企業側にも「無難」を求める意識はある。就活クールビズ宣言には昨年度、約110社が参加したが、清潔感があるなどの理由で定番スタイルにこだわる人事担当者も多かったという。

 そんな中、運動会などを通じて学生を見定める企業や、学生がブースを出展して企業の人事担当者がそれを巡るイベントが登場するなど、採用方法の多様化が進んでいる。没個性的なスタイルは、学生の個性を見極める力量を持つよう企業に迫っているようだ。(栗井裕美子)

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