エルサレム衝突ひとまず沈静も…対立の根幹変わらず パレスチナ不満、容易に衝突に転化

 【カイロ=佐藤貴生】エルサレム旧市街にある聖地をめぐるパレスチナとイスラエルの騒乱は、同国が監視機器を撤去したことでひとまず沈静化した。ただ、一連の衝突は、イスラエルによる長年の抑圧で高まったパレスチナ人の不満が、容易に大規模な衝突に発展しかねないことを示したといえる。

 イスラエルは27日、旧市街のイスラム教聖地ハラム・シャリーフ(イスラエル側呼称「神殿の丘」)への経路に設置した監視機器を約2週間ぶりに撤去。これを受け、パレスチナ自治政府のアッバス議長が率いるファタハや、イスラム原理主義組織ハマスは「大きな勝利だ」などと称賛した。

 イスラエル紙ハアレツ(電子版)は、アッバス氏を中心にパレスチナの諸組織が、反イスラエルで団結することを懸念。背景には、和平の仲介者でありながらイスラエル寄りの姿勢をみせるトランプ米政権へのアッバス氏の「失望」があると分析した。

 また、世論調査によると、77%のイスラエル人は、一連の騒動でネタニヤフ首相がパレスチナ側に「降伏した」と考えている。連立政権に参加する極右政党からも、首相の「弱腰」を批判する意見が出ており、内政面で風当たりが強まることも予想される。

会員限定記事

会員サービス詳細