インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会(第6回会合)
議事要旨
- 日時:平成18年2月6
日(月) 14時00分〜16時00分
- 場所:総務省地下1階第2会議室
- 出席者
構成員 |
:(50音順)大宮委員、岡村委員、桑子委員、国分委員、島田委員、多賀谷座長代理、千葉委員、長田委員、中村委員、野口委員、長谷部委員、別所委員、堀部座長、森弁護士、吉川委員 |
総務省 |
:寺ア電気通信事業部長、古市消費者行政課長、矢島消費者行政課企画官、渋谷消費者行政課課長補佐、池田消費者行政課課長補佐 |
発表者 |
:デジタルアーツ株式会社佐藤ゼネラルマネージャー、望月マネージャー |
- 議事次第
(1) |
開会 |
(2) |
中間取りまとめの公表(報告) |
(3) |
サブグループの開催(報告) |
(4) |
電子掲示板の管理者等による情報の送信防止措置に関する法的責任について |
(5) |
ISP向けWEBコンテンツフィルタリングソフトについて |
(6) |
フィルタリングに関する現状について |
(7) |
次回以降の予定 |
(8) |
閉会 |
- 主な議論
事務局及び発表者から配付資料に基づいて説明した後、以下の議論がなされた。
(電子掲示板の管理者等による送信防止措置について)
- 電子掲示板は、地主(サーバの管理者)と土地の賃貸借契約を結んだ人(電子掲示板の管理者)がその土地を空き地にして人々(電子掲示板への書き込み者)に開放し、そこで自由に表現行為を行うことを認めているケースに例えることができると思う。電子掲示板管理者と人々との間に契約関係が認められる場合には当該契約関係に基づいて処理し、それが、いわば有償の賃貸借契約に相当するものか、無償の使用貸借契約に相当するものかによって異なるものと考えられる。後者の場合には、解約の告知をして一定期間経過したら送信防止措置を講じるといった考え方がベースになりうるのではないか。契約関係が認められない場合にも、無償であることが通常であるから、後者の場合に準じて考えるか、それよりも広く送信防止措置を認める余地があると考えることができるのではないか。なお、サーバの管理者と電子掲示板への書き込み者との関係についても、地主と人々との関係に準じて、別途、検討しうるのではないか。
- 電子掲示板の管理者等が送信防止措置を行った場合の法的責任については、発信者との間に契約関係が存在するかどうかが判断基準になる。契約関係があるのであれば、両者の間は契約関係によって規律されることになり、一般的に削除等の措置が約款に基づくものであれば、債務不履行責任及び不法行為責任を問われるものではない。契約関係がない場合であっても、一般的に電子掲示板の管理者が場の管理に必要な範囲で講じる送信防止措置については法的責任を問われないと考えられる。
- 電子掲示板の管理者が電子掲示板への書き込みについて送信防止措置を講じない意思を明示している時に、電子掲示板をホストしているサーバの管理者の判断で送信防止措置を講じた場合、両者が対立することにならないか。
- 電子掲示板はその管理者にとっての表現行為でもある。電子掲示板の管理者が、自己の意にそぐわない書き込みの削除ができないとすれば、電子掲示板の管理者の表現行為の制約にならないか。また、契約関係がない場合に、電子掲示板に書き込みを行う利益が法的保護に値するかどうかも検討すべきではないか。
- 匿名による情報発信もまた法的保護に値するものであり、尊重されなければならないが、情報発信を行う場のパブリックフォーラム性によって保護の度合いにも差が出てくるものと考えられる。少人数の内輪でのコミュニケーションにしか使われていない電子掲示板と、広く公開され多くの人が書き込む電子掲示板とでは、扱いは異なるだろう。
- 電子掲示板の管理者等による送信防止措置に関する法的責任については、1)管理者と発信者との間に契約関係があり、発信者の書き込んだ情報をホストする義務が契約上生じている場合及び2)契約関係はないが、発信者の書き込んだ情報が法律上の保護に値する場合には、送信防止措置を講じたことについて一定の責任を負う可能性がある。その他の場合には送信防止措置を講じても問題がないという整理が妥当ではないか。
(フィルタリングサービスについて)
- フィルタリングサービスによる違法・有害情報の遮断は完全なものではないが、様々な機能を組み合わせることにより、各家庭のポリシーに応じた形で柔軟に違法・有害情報を遮断できる。今後インターネットの知識を持つ保護者が増えていけば、フィルタリングサービスの普及率は高まっていくものと考えられる。また、フィルタリングサービスを効果的に家庭に導入するには、親子でインターネットの利用についてコミュニケーションを図ることが重要である。
- インターネット上に有害な情報が多数流通していることをきちんと子供に伝えておかないと、フィルタリングサービスの提供されていない環境におかれた時に子供が対処できなくなる恐れがある。安全な情報とそうでない情報を自分で判断する力を子供につけさせることが重要である。
(今後の予定)
- 次回研究会においては、フィルタリングサービスの在り方及び発信者情報の開示について検討する。
以上
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