セブン&アイHLDGS傘下のセブン−イレブン・ジャパン(東京都千代田区二番町)が、今年1月から始めたセルフ式ドリップコーヒー「SEVEN CAFE」(セブンカフェ)の100円コーヒーR(ホット・アイス)が、飛ぶように売れている。
商品本部FF・デイリー部シニアマーチャンダイザーの和瀬田純子氏はこういう。
「今年1月にスタートした時点では、1日1店舗当たり60杯、年間販売目標を3億杯と発表したのですが、直近7月の平均販売杯数は87杯を記録しました。7月は猛暑の影響もありアイスが8割も売れました。7月18日には販売数1億杯を突破、当初目標の4割増しで売れており、今年度の販売目標を4億5000万杯に上方修正しました」
セブン−イレブンの「SEVEN CAFE」導入店は現在1万2800店。新しく設置スペースを作ったりすることで遅れていたが、9月中旬には1万5800店全店に導入できる見込みだ。
「朝晩少し涼しくなってきた9月では、1日1店舗当たり100杯に迫る勢いで売れています」(広報センター)
これまで日本マクドナルドの「マックカフェ」が年間3億杯を売り、トップだったが、「SEVEN CAFE」は開始して1年足らずで「マックカフェ」を追い抜き、日本一のコーヒー販売店の座に就くのは確実だ。マクドナルドが全国3300店舖くらいなのに、セブン−イレブンは、その5倍近い1万5800店舗。数の上からも勝負はついたといえる。
「コーヒーは苦いというので近年、若者のコーヒー離れが起こっていました。けれども全国5万店を超すコンビニ各社がレギュラーコーヒー販売に本腰を入れることになれば、業界に与える影響力は非常に大きい。コンビニの客は若い男女が多いということでもあり、若者のコーヒー離れに歯止めがかかるのではないかと、期待しています」(全日本コーヒー協会)
セブン−イレブンは「SEVEN CAFE」の大ヒットでファストフードやカフェ業界の領域を侵すと同時に、コーヒーのついで買いによるサンドイッチや焼き菓子、パン、スイーツなどの売り上げ増で、既存店の売上高を伸ばすことにも成功した。
コーヒーは100円で販売しても粗利益が5〜6割も出るという“おいしい商材”だ。それなのになぜこれまでコーヒー販売に力を入れてこなかったのか。じつはセブン−イレブンも30年前の83年頃から淹れたてコーヒーの販売を手掛けてきた。デカンタ型の容器にコーヒーを作り置きしたり、カートリッジ式のマシンを使って提供したが、酸化や経時劣化のため定着しなかった。
2001年〜02年頃、エスプレッソを主力とし、持ち帰り、歩き飲みができるスターバックスがブームになるとセブン−イレブンはエスプレッソ式のマシンを導入、「バリスターズ・カフェ」を2000店に展開した。この時期を経て現在の「SEVEN CAFE」が開発されるのである。 (外食ジャーナリスト・中村芳平)
※「SEVEN CAFE」のEは、Eの上に´