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2007年の初夏のことだ。まだ、慰安婦の像がなかったころの在ソウル日本大使館。そこに押し掛けたのは、日本の調査捕鯨を非難する韓国人のデモ隊だった。
オーストラリアやニュージーランド、あるいは欧米の日本大使館にも「捕鯨反対」のデモ隊が押し掛ける。
しかし、それらの国々と韓国とでは全く事情が違う。
「犬を食べている国民が、鯨を食べる国民を非難した」といったレベルではない。実は、韓国自身が大量の鯨を捕っているのだ。
では、韓国は国際捕鯨取締条約に加盟していないのか。
いや、加盟している。加盟していて、日本のような「調査捕鯨」も行わないことになっている。
それなのに、頭数で見れば日本の2倍以上の鯨を捕っているのだ。
どういうことなのか。
「混獲(こんかく)」という。他の魚種を取るつもりで仕掛けた網に鯨の方が勝手に入ってきてしまった−というのだ。
日本の調査捕鯨は、このところ年間1000頭前後の捕獲数で推移している。
これに対し韓国の「混獲」数は2012年の場合、2350頭に達したと韓国放送公社(KBS)が報じていた(13年1月5日)。
「混獲」の中心港は蔚山(ウルサン)と仁川(インチョン)。どちらの港の周辺にも「名物・鯨料理専門」の店がいくつもある。韓国全土の鯨料理専門店は100を超えると推計されている。
「捕鯨目的の混獲」であることは公然の秘密、欺瞞も極まる。