家庭用プリンターでのコピーの値段
インクカートリッジ1本で何枚印刷できるのか
我が家には一台のパソコン用プリンターがある。このプリンター、少し奮発して買ったのでスキャナと一体になっている。パソコンにつないだ状態で使えばスキャナとして画像を取り込むことも出来るし、取り込んだ画像をパソコンで加工して印刷することも出来る。
これだけであればスキャナとしてもプリンターとしても当たり前の機能でしかない。このプリンターの最も重宝される機能、それは
コピー
である。スキャナの部分に写したい原稿を置き、用紙をセットして
『コピー』
ボタンを押すと原稿がそのままコピーされるのだ。コピー機能だけを使うときはパソコンにつないでいる必要もないので非常に便利だ。
プリンターの設定(パソコン不要)をすれば拡大縮小もインクの濃さも変えることが出来るし、カラーコピーまでも出来る。使える用紙のサイズがA4までという点を除けばコンビニにあるコピー機と変わらない機能を持っている。
コンビニまで足を運ぶ必要がなく、設定をいじったりするのに時間をかけても後の客からのプレッシャーを感じる心配がないことから、本来の目的であったパソコンからの書類印刷よりも、もっぱらコピー機として使われている我が家のプリンターだが、使っているときに時々疑問に感じることがある。
このコピー、本当にコンビニより得しているのか?
プリンターのインクというのは大きさの割りに高い。印刷に使う用紙だって、タダというわけではない。コンビニの1枚10円のコピーと比べて、家庭用プリンターで行うコピーというのは実際のところ得なのか損なのか。今回はコピー1枚あたりの値段をもとめて、コピーは家でするべきか、コンビニへ足を運ぶべきか判断する。
コピーの値段を考える時、もっとも分からないのは
インクの値段
だ。インクカートリッジというのは小さくて高価だが、どれくらいの印刷ができるのかということが分からない。アレ1本で1万枚くらいの印刷が可能だというならインクの値段はほとんど考える必要はなくなる。しかし、100枚くらいの印刷で交換が必要だというなら、明らかにコンビニの数倍の金額がかかるということになる。
菊は一時の華美、咲かぬは牡丹の恥じらい
(意味不明な間違い)詳しそうな人に話を聞いてみよう。プリンターについて詳しそうな人、それはコンピューターショップ、ソフマップの店員。単刀直入に「カートリッジ一本で何枚くらい印刷できるんですか?」と聞いてみた。
「A4の書類なら、100枚以上は印刷できますよ。」
微妙に得意げに話す店員。いくらなんでもそんなに少なくはなかろう。1500円もするインクカートリッジで100枚しか印刷できないのなら、家での印刷は
1枚15円
もすることになる。他の店員数人に同じ質問をしてみるが「分からない」という答えしか返ってこなかった。プリンターを売る店の店員にはこういう質問にも答えられるように、マニュアルの改善を切に願うところだ。
最初からあまり期待はしていなかったが、信用性のある数字が分からない以上やることは一つ。
実測
だ。やる以上は完璧にやりたい。
パソコンのモニターに出てくるインク残量から大体を推測する
なんてケチなことはしない
新品のインクカートリッジがなくなるまで、ひたすら印刷を続けて枚数を数える。
これ以上ないくらいの力技である。だが、正確さでいうならこの方法こそが一番だと思う。実測データほど信頼できる値はない。
問題はそんなに大量のコピーをする機会があるのかということだが、それが都合よくあるのだ。コピーしようと思っているのはこれ↓
分かる人にしかわからない、分かる人は多分弓道経験者。弓道の試合の記録帳である。大学弓道部の一つ下の後輩がもうすぐ卒業する(2005年2月現在)。その送別会が2月19日に行われるのだが、その時に4年分の試合の記録を形にしてプレゼントしようと思い立ったのだ。例年こんなことはしないが私自身、以前から学生時代4年分の記録をほしいと思っていた。卒業後もその気持ちは変わることがなく、ついに先日事情を話して一週間だけ記録帳を借りることが出来た。ようは
私自身の試合記録をコピーするついで
に今年卒業する後輩の分も作ろうということだ。(
2005年2月19日の日記も参照
)
後輩7人分と自分の分の合計8人分をコピーすると考え、ざっと印刷量を計算すると
約880枚(両面刷り)
一人当たり110枚(両面刷り)。
大学の弓道部は試合しすぎだと思う。
両面刷りで880枚も印刷するということは、1760面もコピーをしないといけないということだ。しかし、ある意味では好都合。これだけの枚数を印刷すればインクカートリッジの1本や2本使い切るだろう。必要な物をそろえてさっそく実験開始である。
準備物
・スキャナ付きプリンター(EPSON CC-500L)
設定 コピー品質:ノーマル インク濃度:3(5段階)
・PC用上質紙B5(500枚入り)
近所の文房具店で購入 460円×2
・インクカートリッジ(黒)
ソフマップで購入 1512円×2
コピーした試合記録は綴じて本のような形にして渡すつもりをしているため、上記のもの以外にも表紙用の台紙や製本テープなども購入したが、これは『コピーの値段』とは直接関係がないため記していない。
あとはすべてコピーすればいいだけなのだが、数枚をコピーしたところで誤算があることに気がついた。当初、私は8人分を作るのだから、
8枚コピーを220回
すればいいと考えていた。
しかし、後輩は男子3人、女子4人の7人である。大学の弓道部では
男子だけの試合
と
女子だけの試合
と
男女混合の試合
の三種類があるのだ。そして試合の記録帳も男子用と女子用の2種類があり、男女混合の試合は男子用の記録帳に記録されている。さらに、私は学年が違うため一年遡ってコピーしなくてはならないのだ。
これだけ書けば分かるだろう、4年分の試合記録を日付の順番に並べようとすると、非常に面倒なことになるのだ。
ここで順番やコピー枚数を間違えてしまうと、せっかく本のように綴じても
乱丁落丁の入り混じったどうしようもないブツ
になってしまう。仕方がないので、注意しなくてはいけないページすべてに栞を挟んで書き込みをしておく。それだけで数時間がかかってしまった。
そこまで下準備をしてからようやくコピー開始だ。
4枚コピー ⇒ 用紙を裏返してセット ⇒ 元本を裏返してコピー
これを延々と繰り返しながら、栞があるといったん作業を中断して、日付の繋がりなどをチェックする。男子だけの試合なのか、男女混合の試合なのかでコピーの枚数が異なるし、女子の記録を印刷している時も、男女混合の試合の記録を挿入しないといけない場所には注意しなくてはいけない。もちろんインク残量も時々確認しておく必要がある。単純作業だけですむのかと思っていたが、予想外に頭も使う。
神経を使った単純作業というのは心身ともに多大な負担がかかる。失敗しようものなら発狂しそうな勢いである。かかった作業時間は半端じゃない。
6時間 × 4日 = 24時間
両面とはいえ、1000枚足らずのコピーにここまで時間がかかるとは思わなかった。原稿が1種類であれば家庭用プリンターでも数時間で終わったであろう。『やらなければ良かった』と後悔すること10回以上。一度やり始めて引っ込みがつかないという気持ちだけで最後までやり遂げた。
そしてこれが約900枚の印刷済み用紙。写真では伝わりにくいがかなりの厚みがある。
コピーしているあいだにインクカートリッジを交換したのは2回。1本を使い切るのに使った紙の枚数から一枚あたりのコピー代を算出してみる。
468 枚
カートリッジ一本での印刷枚数
×
2 面
両面印刷
=
936 面
片面印刷での印刷可能枚数
1512 円
カートリッジの値段
÷
936 面
印刷可能枚数
≒
1.62 円
一枚あたりのインク代
460 円
用紙の値段
÷
500 枚
内容量
=
0.92 円
紙一枚の値段
1.62 円
一枚あたりのインク代
+
0.92 円
紙一枚の値段
=
2.54 円
コピー1枚の値段
ついに算出終了。実際にコピーしているあいだは
泣きそうなほど
時間がかかったというのに、計算は5分とかからずに終わってしまった。複雑な気分である。
何はともあれ、この実験で分かったことは大きく分けて二つ。
1.インクカートリッジ(EPSON CC-500L)一本で印刷できる書類の枚数は約500枚である。
2.家庭用プリンターで行うコピーの値段は、1枚3円以下である。
(確実にコンビニより安い。)
コンビニのコピー機よりも、家庭のプリンターでコピーをするほうが経済的にも得だということが結論付けられた。細かいことを言えば、
B4以上の紙でも使える
だとか、
コンビニのほうが良い紙を使っている
だとか、
店員さんが使い方を教えてくれる
だとか、コンビニでのコピーの方が良い点もある。しかし、その辺は些細なことである。何かをする上で、一番ネックになるのはやはり値段。その値段に明らかな差があるということが重要なのだ。
家でのコピーはコンビニでのコピーよりも圧倒的に得だということがはっきりした。そういうわけで今後も、我が家のプリンターにはコピー機としてしっかり働いてもらうことにする。
おまけ
後輩に贈った試合記録はいくらかかったのか?
コピーの値段は上で算出したとおりであるが、このコピーの目的は
4年分の試合記録を1冊の本にする
ことにある。冒頭にも書いたが、これを後輩の卒業祝いに渡すのだ。このコピーを行った後日、台紙や綴じ紐、製本テープを用意して完成したのがこれだ。
完成品の内の一冊
普通なら贈り物は気持ちが大事なのであって、
かかった金額など関係ない
。しかし、今回ばかりはそうはいかない。そこらの店で買ってきたものならともかく、私が作ったものである。かかった時間もさることながら、費用だって無視できるほど安かったわけではない。せっかくレシートまでとってあるのだ。計算しなくてはバチが当たる(?)。
460 円
B5上質紙500枚入
×
2 パック
購入数
=
920 円
紙代
1512 円
カートリッジの値段
×
2 本
使用数
=
3024 円
インク代
30 円
表紙用台紙B4
×
9 枚
8人分+予備
=
270 円
表紙の値段
1008 円
綴じ紐 8m
+
600 円
製本テープ
=
1608 円
製本代
920円
紙代
+
3024円
インク代
+
270円
表紙の値段
+
1608円
製本代
=
5822円
合計金額
5822 円
合計金額
÷
8 冊
製作数
≒
727 円
1冊あたりの費用
1冊あたり約730円。予想外に高い。原価だけでそこらの文庫本と同等の値段になってしまった。この合計金額5822円には
人件費は含まれていない
。
のべ30時間もかけて作られたこの本の価値は重い。
後輩たちにはぜひとも大切にしてほしいものである。
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