Google Playストアのアプリが、数日前からバージョン4.5.10にアップデートされはじめている。
アップデートの内容は、レビュアーの共有アクティビティ(評価履歴)の公開、Google+プロフィールへのリンク実装、レコメンド機能「あなたへのおすすめ」の強化、ユーザアイコンの四角型から丸型への変更などとなっている。
要は、ソーシャル性が強化されたのが、このアップデートの特徴だろう。
単純なステマはバレる、レビューの透明性強化
まだ一部の端末のみのアップデートに留まっているせいか、本アップデートは大きな話題になっていないようだが、実はGoogleの明確な意図が表明されたものとなっているように思える。
その意図は、端的に次のように表現できるだろう。
アプリやゲーム、映画、電子書籍などのPlayストアコンテンツのレビュアーは、それらに対してレビューする権利を有するが、レビュアー自身は他のPlayストア利用者からチェックされる義務を負うべし、と。
レビュアーの行動は丸裸に
今回のアップデートによって、これまでチェックすることができなかった各レビュアーの共有アクティビティ(評価履歴)が、他のユーザの目の前にさらけ出されることになった。
この共有アクティビティは、レビュアーのアイコンをタップするだけで確認できる。アイコンが丸型になっていればバージョンアップ済のため、チェックできるはずだ。
これまでも、コメント付きのレビューは公開されていたため、特定のユーザのコメント付きレビューを探し出すことは、一応は可能だった。
一方で、コメント無しの評価(星だけを付けるレビュー)は公開されていなかった。しかし、アップデートによって、そのようなコメント無しの評価でも他ユーザが確認できるようになったため、レビュアーが”こっそり”評価していた行動まで多数のPlayストア利用者からチェックされることになったのだ。
良くも悪くも、レビュアーの行動は丸裸にされてしまうわけだ。レビューの透明性は、かなり強化された。単純に同一アカウントでステマ(ステルスマーケティング)行為を繰り返すことは難しくなるだろう。
レビューに与える影響は?
このことが、レビューに対してどのような影響を与えるのだろうか?
メリット
メリットとしては、ステマによる作為的な評価アップを抑止しうる点を挙げられるだろう。たとえば、ステマ対象と思われるアプリに高評価もしくは低評価を付けてきたユーザを探してみると分かりやすいだろう。
筆者がPlayストアを少し見て回っただけでも、とあるアプリレビューサイト運営会社の複数の関係者アカウントが、関連会社のアプリや広告料金をもらった上で紹介したアプリに対して、コメント無しの高評価(星5)をおこなっていることを確認できた。もっとも、このような事例は、ステマか否かの判断は分かれるところだろうし、アプリ業界ではありふれたワンシーンなのかもしれないが。
レビュアーはこれまでしてきた評価を取り消すことができる。これから大わらわで評価の削除作業に勤しむユーザや業者が続出するかもしれない。
また、良いアプリを発見しやすくなる点もメリットの1つだ。自分が参考になったレビュアーが、その他のアプリをどのように評価しているのか確認できるため、レビュアーを軸にしてアプリを探すことが容易になる。
デメリット
デメリットとしては、レビュアーに対して萎縮効果をもたらす危険性を指摘しておきたい。
レビューしたことを知られたくないが星評価をしておきたい場合、従来であればコメントを付けなければよかったが、今後はそのような柔軟性のあるレビューができなくなる可能性が高い。
Googleは一歩進んだ、ユーザはどう対応する?
今回のアップデートに関しては、ユーザから賛否両論が起こることは必至だろう。星評価だけのレビューも一覧できてしまう点や、レコメンド機能「あなたへのおすすめ」にも星評価とコメントが表示される点などに拒否反応が出てきそうだ。
いずれにせよ、Googleは、レビューの透明性を高める方向に一歩進んでみせた。Playストアのレビューが、より良いものになっていくことを願うばかりだ。