地図アプリでのナビからポケモンGOにいたるまで、何かと便利な位置情報サービス。しかし実際には、まったく違う現在位置が表示されたり、一本向こうの通りにいることになっていたりと、必ずしも精度の高い位置情報が得られると言い切れない場合もあります。
そこで本記事では、スマホにおける位置情報の仕組みについてざっくり説明した上で、精度を上げる設定やバッテリーを節約する方法などを解説します。
スマホの位置情報とは? その特徴と仕組み
そもそも「位置情報」はどのような仕組みで割り出されるのでしょうか。ここでは位置情報の仕組みや、その特徴について簡単に解説します。
位置情報を割り出す上で大きな役割を担っている「GPS」
スマホの位置情報を割り出す上で、最も大きな役割を担っているのが「GPS」。
これはGlobal Positioning Systemの略で、宇宙にあるGPS衛星から電波を飛ばし、その発信時刻と受信時刻の差異などによって、位置を割り出すというものです。
2017年8月19日、日本版GPSとも呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき」の3号機がH-IIAロケットによって打ち上げられました。
2018年11月1日からは「みちびき」によるGPSを補う衛星測位サービスが提供開始され、対応している一部の端末でより高精度で安定した位置情報が取得できるようになっています。
位置情報はWi-Fi、モバイルネットワークなどから複合的に割り出される
スマホの位置情報はGPSだけでなく、Wi-Fi、モバイルネットワーク(基地局の距離)、Bluetoothなどから複合的に割り出されるようになっています。
たとえば、GPSの電波は障害物が多い場所では届きにくいという弱点がありますが、Wi-Fiやモバイルネットワークを使用することでカバーすることができます。
あらゆる情報を駆使することで、より正確な測位がおこなえるよう工夫されているというわけです。
ドコモの古いスマホではGPS機能が低下している可能性も
NTTドコモでは、インターネットにおいて実施している暗号化通信の安全性確保のため、セキュリティレベルの高い方式(SHA-2)への移行を順次進めています。
これに伴い、SHA-2方式に対応していない古いドコモスマートフォンでは、アプリやサービスで位置情報を利用する際にGPS測位の精度が下がる場合があると明らかにしています(緊急通報位置通知含む)。対象機種は以下の通り。
F-12C、F-03D、F-07D、F-09D、F-11D、L-04C、L-01D、L-06D、N-04C、N-06C、N-01D、N-04D、P-01D、SC-01B、SC-02B、SC-03D、SC-05D、SH-02D、SH-07D、T-01A、T-01B、T-01C。ドコモ タブレットのL-06C、N-06D、SC-01E、ドコモらくらくホンのF-12D
位置情報の精度を上げる方法
現在地の検出がうまくいかない場合や、表示位置が正確でない場合は、次の方法を試してみてください。
位置情報の各種設定をオンにする
まずは基本中の基本ですが、端末設定で「位置情報」がオンになっていなければ始まりません。iPhone・Androidスマホそれぞれで「位置情報」やそれに伴う各種設定がオンになっているか確認してください。
iPhoneでの設定方法
「設定」アプリから[プライバシー]→[位置情報サービス]の順にタップ。「位置情報サービス」の項目がオフになっているならば、これをオンにします。
Androidスマホでの設定方法
ここでは、Pixel 3a(Android 10)を例に手順を紹介します。機種などにより多少異なりますが、基本的に「位置情報」の項目で設定がおこなえます。
本体の「設定」から[位置情報]の項目へと進みます。ここで「位置情報の使用」がオフになっているならば、オンに切り替えましょう。
続いて、「詳細設定」をタップして展開したメニューから[Google位置情報の精度]をタップしてください。
本体の「設定」から[位置情報]の項目へと進みます。ここで「位置情報の使用」がオフになっているならば、オンに切り替えましょう。
続いて、「詳細設定」をタップして展開したメニューから[Google位置情報の精度]をタップしてください。
阻害物がない場所へ移動する
電波は宇宙にあるGPS衛星から飛んでくるので、ビルの乱立する都心部、木々の立ち並ぶ山林、悪天候などの外的要因により、正確な位置が判断できないことがあります。
また、電波の受信が妨げられる建物内や地下にいるときは、GPSの精度が落ちる可能性も。周囲を見渡して上記のような環境にあれば、少し離れてから位置情報を取得してみましょう。
Wi-Fiをオンにする
先に述べたように、位置情報はGPSだけでなく、Wi-Fiネットワークやモバイルネットワークも駆使して複合的に割り出されます。そのため、当然ながらWi-Fiをオンにしておくほうが位置情報の精度が上がる、というわけです。
どこかのWi-Fiスポットに接続するということではなく、設定をオンにしておくだけでスマホ端末が自動的にWi-Fiによる位置情報をつかんでくれます。
特定の場所にいるときに限って、間違った位置情報が表示されることがあります。この場合、位置情報のおかしいWi-Fiアクセスポイントが最寄りにあり、誤った情報が類推されている可能性があります。
一度、Wi-Fiをオフにして、GPSやモバイルデータのみで位置情報を取得してみるのもひとつの手です。
スマホの日付と時刻が正確なのか確認
電波の発信時刻と受信時刻の差異を利用して位置を割り出すという特性上、端末に誤った時刻が設定されていると、その精度に悪影響を及ぼす恐れがあります。
iPhoneでの設定方法
「設定」アプリを開き、[一般]→[日付と時刻]の順で進みます。
手動で時刻を設定してもいいのですが、できれば「自動設定」をオンにしておきましょう。通信ができる環境であれば、常に正確な時刻に設定されます。
Androidスマホでの設定方法
「設定」アプリを開いて「システム」もしくは「一般管理」に進みます。[日付と時刻]をタップして、日付や時刻、タイムゾーンが正しく設定されているかチェックしましょう。
[ネットワークの時刻を使用する](端末により[自動日時設定]などの名称も)もオンにしておくと、自動的に日付や時刻を修正してくれるようになります。
端末を再起動する
上記すべてを試しても改善しない場合は、端末を再起動してみましょう。
原因が分からないスマホの不調は、再起動で修正されることも少なくありません。再起動の方法は機種などによって様々なので、iPhone、Androidスマホそれぞれ以下の記事を参照ください。
位置情報の取得によるバッテリー消費対策
位置情報の取得は、更新するたびに通信がおこなわれる仕組みなので、それだけスマホのバッテリーも消耗してしまいます。
特に山や地下など電波状態が悪い場所で位置情報を取得しようとすると、端末が基地局を探して通信を試み続けてしまい、バッテリー消費が激しくなるので注意が必要です。
位置情報の取得をアプリの使用中のみ実施する
位置情報を利用しているアプリが多いと、それだけバックグラウンドでの動作がおこなわれ、電池の消費も早くなります。位置情報の取得を「アプリの使用中のみ」にしておくと、常に位置情報を更新する必要がなくなるので、バッテリーの節約につながります。
iPhoneでの設定方法
「設定」アプリから[プライバシー]→[位置情報サービス]と進んだ画面で、位置情報サービスを利用できるアプリの一覧が確認できます。
設定を変更したいアプリを選択し、設定を「このAppの使用中のみ許可」にしておきましょう。
Androidスマホでの設定方法
本体の「設定」から[位置情報]の項目へと進みます。
[アプリの権限]をタップすると、位置情報にアクセスできるアプリの一覧を確認できます。設定を変更したいアプリをタップし、設定を「このAppの使用中のみ許可」にしておきましょう。
オフラインマップを利用する
山奥などでは電波状態が悪く、バッテリーをすぐに消耗してしまいます。そのため、自分の現在地や登山ルートを確認しようとマップアプリなどを利用すると、充電残量が急ピッチで減ってしまうことも。
それを回避するためにオフライン対応の「Googleマップ」や「YAMAP」は大変有用です。あらかじめ地図データをダウンロードしておけば、機内モードなどオフライン状態でもマップの利用が可能になります。
オフライン状態でもGPS機能は使用できるので、電波の悪い場所でも充電を気にせずルートを確認できるでしょう。
検証端末:iPhone XS(iOS 13.6.1)、Google Pixel 3a(Android 10)