米パラレルズ(Parallels)社は27日、インテルMac用の仮想マシンソフト『Parallels Desktop for Mac』(以下、Parallels)のアップデート版(ビルド3186)を発表した。
価格は79.99ドル(約9550円)で、15日間の試用が可能。既存のユーザーは無償でアップデートできる。なお、(株)プロトンから発売されている日本語版のシリアルキーは、英語版では使えない。
“0.3”の差とは思えぬ大幅なアップデート
今回のアップデートでParallelsのバージョン番号は“2.5”となった。昨年6月にリリースされた最初の製品(ビルド1848)は、先行リリ−スされていたWindows/Linux版と合わせるためバージョンが“2.1”となっていた。さらに同年秋に“2.2”(ビルド1940/1970)にアップデートされている。
バージョン表記だけを見れば、今回のアップデートはやや大きめのマイナーバージョンアップに見えるが、実はメジャーバージョンアップにも匹敵するほどの大幅な機能強化が行われている。数ある新機能のうち、今回は以下の3つを紹介していこう。
- Boot Camp用ボリュームからWindowsを起動
- “Coherence”モードでWindowsのデスクトップを表示せずにWindowsアプリケーションを使用
- ホストOS/ゲストOS間をドラッグ&ドロップでファイルコピー
Boot Camp用のWindowsも起動できる
本バージョンでまず注目したいのが、『Boot Camp』用のボリュームをParallelsの起動ディスクとして指定できるようになったことだ。
Boot Campとは、インテルMacでMac OS XとWindows XPのデュアルブートを実現するアップル純正のβ版ツール。Boot Campでは、Macの内蔵HDDにWindows専用のボリュームを新たに作って、そこにWindowsを組み込むことになる。
一方、ParallelsもインテルMac上でほかのOSを動かせるようにする仮想マシンソフトなので、Windowsなどを使うには別途OSを用意してインストールする必要がある。
Parallelsのバージョン2.2以前では、このWindowsなどのOSを、“ホーム”フォルダー以下にある専用のディスクイメージ内に保存していた。最新版ではこのディスクイメージに加えて、Boot Camp用のボリュームも選べるようになったわけだ。
起動ボリュームの設定方法
ここで「なぜBoot CampとParallelsを併用するのか。Windowsを起動できるなら、片方だけ使えばいいのでは?」と疑問に感じる人がいるかもしれない。
Parallelsには、Mac OS X上でWindowsを起動し、両OSを同時に使えるというメリットがある反面、現状ではビデオカードの3DアクセラレーションやデュアルコアCPUの能力を活かすことができないデメリットもある。
つまりインテルMacでWindows用の最新3Dゲームなどを楽しむには、Boot Campを利用してWindowsを直接起動するほかなかったのだ。
今までParallelsとBoot Campを併用するには、両方の環境に対してWindowsのインストールと初期設定を済ませなければいけなかったが、今後はそのような手間が必要なくなる。
なお、マイクロソフトカスタマーインフォメーションセンターに確認したところ、Windowsのライセンスは、「インストールされたWindowsのコピーの数」だけ必要になるとのこと。つまり、Boot Camp用ボリュームにあるWindowsをParallelsで併用する場合はライセンスは1つでいいということだ。
一方、Boot Camp用パーティションとParallels用ディスクイメージの両方にそれぞれWindowsをインストールする場合は2つのライセンスが必要になる。
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