Windows 7はWindows Vistaと比べて、動作に必要なメモリーやHDD容量が小さいため、リソースの少ないネットブックでも動作する。Windows 7 RTM版がリリースされたあとに、筆者もさまざまなプラットフォームで試したが、「ネットブックでも十分に使える」という実感を持った。
そこで、今回は各種ベンチマークテストを実施し、ネットブックにおけるXPとWindows 7のパフォーマンスを検証してみたい。
ベンチマークに使用した環境
今回のベンチマークには、日本エイサーの「Aspire one D250」を使用した。Aspire one D250の主な仕様は、CPUにAtom N280(1.66GHz)、グラフィックス機能にはGMA950(Intel 945GSE Expressチップセット)、メモリーはDDR2-533 1GB、HDDは160GB、ディスプレーは1024×600ドットとなっている。非常にスタンダードなネットブックと言える。
OSは、標準ではWindows XP Home Edition(ULCPC版)が入っていた。Windows 7は、筆者がWindows 7 Ultimate 32bit(RTM版)をインストールした。ちなみにWindows 7のインストール時に、ドライバーなどが足りなくトラブルが起こることはなかった。Windows 7のRTM版とWindows Updateで、すべてのドライバーがインストールされた。
SiSoftware Sandra
SiSoftwareのハードウェア/OSチェックツール「Sandra 2009 SP3」を利用して、XPとWindows 7上でのCPUの基本的な演算性能差をチェックしてみた。基本的には、同じCPUであるため、OSが違ってもほとんど差はないと予測していた。
その予想どおり、Arithmetic(整数演算)や浮動小数点演算、Multi-Media(SSEなど)のどれも、ほとんど性能は変わらなかった。ただし、すべてのベンチマークにおいて、Windows 7の方がわずかに好成績だ。
すべての項目でWindows 7が優っているのは、誤差と言い切るのもためらわれる。Sandraのベンチマークの内容を考えれば、XPとWindows 7でCPU性能差が出るとは思えない。もしかすると、OSのチューンナップの度合いがWindows 7の方が進んでいるためかもしれない。ただ、あまりにも差がないため、一概に「Windows 7の方が速い」とまでは言えない。
PassMark Performance Test V7
次に豪PassMark社の統合ベンチマークソフトツール「PerformanceTest V7.0」で計測してみた。テスト前は、「Windows 7の方が速いか」と予測していたが、結果はXPに軍配が上がった。なお、XPの「3D Graphics Mark」は、いくつかのテストがエラーになったためか、スコアがでなかった。
CPU、2D Graphics、Memory、Diskのどの項目を見ても、XPの方がスコアが高い。CPUやMemory、Diskなどは5~10%の差だが、2D Graphicsに関しては60%も差がある。
そこで、Windows 7側のグラフィックドライバーを確認してみた。すると、使用しているドライバーは、マイクロソフトが提供しているWDDM1.0ベースのドライバーだった。
Windows 7では最新のディスプレードライバーモデルが「WDDM1.1」に改良されている(関連記事)。Windows 7上でWDDM1.0ドライバーを使用したため、XPよりも低いスコアになったのではと考え、インテルのウェブサイトから最新ドライバーを入手してみたものの、こちらもWDDM1.0だった。テスト結果もほぼ変わらない。
このことから考えられるのは、Windows 7でWDDM1.0ベースのディスプレードライバーを使うと、XPよりもグラフィックパフォーマンスが悪くなってしまう可能性があることだ。そのうえ将来も、GMA950用のWDDM1.1ドライバーはリリースされないかもしれない(関連記事)。その意味でも、ネットブックにWindows 7を導入しても、グラフィックのパフォーマンスは向上しそうもない。
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