アダプテックがPMCシエラに統合されて、ほぼ1年が経ち、年始は統合後初となる「Adaptec RAID 6シリーズ」を投入した。最新動向について、PMCシエラ チャネル・ストレージ事業部のトム・フラジョレット氏に聞いた。
ユニークな付加価値を盛り込んだRAID 6シリーズ
アダプテックがPMCシエラに買収されたのは、2010年の6月。関連記事「アダプテック、相思相愛のPMCシエラとの関係を激白!」を読んでいただければわかるとおり、もともとPMCシエラ自体はネットワークやストレージの半導体をメインに事業を進めており、ここにRAIDカードを手掛けるアダプテックが加わったことで拡大を続けているエンタープライズストレージの領域が大幅に強化されたという。
アダプテックのビジネスを推進するチャネル・ストレージ事業部のトム・フラジョレット氏は、「アダプテックは強力なブランドとRAIDのコードを持っている。既存のPMCシエラの事業と重なるところもないので、ベストなパートナーシップだ」と、まさに「カンチャンずっぽし」というマッチぶりをアピールした。チップやカードでのOEM供給のほか、チャネル経由での販売、さらにはデータセンターという新しい市場にもチャレンジしている。
こうしたPMCシエラとアダプテック統合後、初の製品となるのがSAS 2.0に対応する「Adaptec RAID 6シリーズ」である。PMCシエラのチップを搭載したハイエンドRAIDカードで、SASとPCI-Express 2.0の帯域を最大限に活かす高いパフォーマンスが売りとなっている。「16台のドライブをつないで、RAID5、6、10などで測った顧客のベンチマークを見ると、ファイルサーバー、Webサーバー、データベース、ワークステーションなど、あらゆる用途で競合の製品より速いことがわかる」(フラジョレット氏)という。
Adaptec RAID 6シリーズの大きな売りが、スーパーキャパシタとフラッシュメモリを用いて電源障害時のキャッシュを保護する「ZMCP(Zero Maintenance Cache Protection)」である。交換や廃棄の手間のかかるリチウムイオンバッテリが不要なので、ゼロメンテナンスを謳う。ZMCPを搭載したRAID 5Zシリーズが好調であることから、RAID 6シリーズではオプションとして提供する。
もう1つの特徴が、SSDとHDDを用いたハイブリッドRAID1、10である。通常、SSDとHDDを組み合わせてRAIDを組んでも、HDDから読み込むとHDDのスピードにひきずられてしまう。これに対してAdaptec RAID 6シリーズでは、「SSDとHDDを自動認識し、ミラーリングの場合は自動的にSSDからのみリードを行なう。ユーザーはなにも考えないでよい」(フラジョレット氏)という。アダプテックは以前からSSDの活用に積極的だが、「以前に比べ顧客の関心も高くなり、チャネルでの引き合いも多い。いまはリードだけだが、ライトに対応して欲しいというニーズもある」(フラジョレット氏)と話す。
アダプテックの強みはチャネルパートナー
こうしたAdaptecブランド製品の強みは、やはり強力なチャネルブランドだという。「エンタープライズやOEMからのフィードバックは、どうしても時間がかかる。しかし、弊社はチャネルからの要望をいち早く取り入れ、製品をブラッシュアップし、データセンター市場に投入していける。これが実現できるのも、チャネルにコミットしている大きな理由だ」(フラジョレット氏)。細かいところだが、エアーフローやコネクタの位置なども顧客の要望を取り入れ、改善を進めてきた。また、ドライブやマザーボードの互換性テストも力を入れており、ユーザーが安心して使える環境を整えているという。