爆速ストレージで超快適!!
RAID 0でさらなる高みを目指す
次は、複数台のストレージデバイスにデータを分散して読み書きすることで、アクセス速度を高速化するRAID 0(ストライピング)を128GBモデル×2台で構築して、アクセス性能をチェックしてみよう。
最近のマザーボードの多くは、標準でRAID機能を備えているので、SSD以外の追加投資は不要。OSの再インストールは必要になるものの、RAIDアレイはマザーボードのUEFI(BIOS)とRAID BIOSから簡単に構築できるので、自作PC初心者もチャレンジしてみよう。ただし、RAID 0は速度と引き替えに、アレイ構成に含んだストレージが1台でも故障すると、すべてのデータが失われる危険がともなう。HDDと違い可動部分が一切ないSSDは故障率が低くなるが、日々のバックアップはマストになる。
また、SSDの性能を最大限に引き出せるRAIDアレイを組めるのは、チップセット制御下のSerial ATA3対応ポート数の2台までとなる。マザーボードによっては、Marvell製などのRAID対応Serial ATA3コントローラーを別途搭載しているが、チップセット制御下と比べるとアクセス速度は、かなりダウンする。必ずチップセット制御下のSerial ATA3対応ポートに接続しよう。ちなみに、RAID構築時もSerial ATA2対応ポートは通常通り利用でき、HDDや光学ドライブも接続、単体使用できる。
RAID 0を構築する
RAID 0を構築するには、RAIDアレイを組む2台のSSDをチップセット制御下のSerial ATA3ポートに接続して、マザーボードのUEFI(BIOS)にあるSerial ATAの動作モードを「RAID」に設定する。
再起動後に起動するRAID BIOSに「Ctrl」と「I」キーを同時に押して入ったら、「MAIN MENU」の「1.Create RAID Volume」を選択し、RAIDアレイの名前や構築するRAIDのタイプ(「RAID 0(Stripe)」)、RAIDアレイに含んだドライブなどの項目を順番に設定していくだけと簡単だが、性能が若干変わってくる「Stripe Size(ストライプサイズ)」の項目は注意が必要だ。
ストライプサイズは、ストレージに並列アクセスするRAID 0やRAID5などで必須の設定で、データを各ストレージに分割するサイズになる。すべてのデータが指定した単位で分割され、RAIDアレイを構築したストレージに分散保存される。そのため、設定したストライプサイズより書き込むデータのサイズが小さいと、データは分散保存されず、アクセスは1台にしか行なわれない。ストライプサイズの変更は構築時にしかできないため、変更する都度OSの再インストールが必要になるが、頻繁にアクセスするデータのサイズに応じて、いろいろ試してみよう。なお、今回の計測では、ストライピングサイズは32KBに設定している。
RAID 0で2倍近くアクセス性能がアップ!!
RAID 0を構築した各SSDの性能を「CrystalDiskMark 3.0.1」とOS+アプリケーションの起動、ZIPファイルの解凍時間で見てみよう。各種ベンチマークの計測は、システム領域のイメージ化や丸ごとのコピーに対応するフリーソフトの「EaseUS Todo Backup Free」を使って、同じ使用容量、内容のOSで行なっている。
Samsung「MZ-7PC128」
Plextor「PX-128M5S」
Plextor「PX-128M5P」
単体時の結果と比べると、その性能向上率は圧巻のひと言で、ランダム読み書き速度の「4K」の項目以外は、1.5~1.8倍のアクセス速度を叩き出している。各SSDで速度向上率に違いはあるものの、RAID 0との相性はグッドで、Samsung「MZ-7PC128」ではランダム「512K」が単体の2.7倍も高速化している。希にRAID構築に向かないSSDもあるが、今回試した3製品なら問題なくRAID 0の恩恵を存分に受けられると言える。
最速、最強を目指すなら単体と同じく、「PX-128M5P」がベストバイだが、ランダムの「512K」と「4KQD32」の値が良く、2台で1万8400円前後となる「PX-128M5S」も、なかなか魅力的な値になっている。
起動とZIPファイルの解凍時間は、3製品でほぼ横並びで、ベンチマークのような差は出なかった。とくにOSとアプリケーションの起動時間は、3製品でまったく同じで、Crucial「CT064M4SSD2」によるSRTとも僅差になっている。なお、ライト性能が400MB/s台となる「PX-128M5S」は、約3GBのZIPファイルの解凍に、2秒余計に必要だった。大容量ファイルのライト時に、若干差は出てくるだろうが、体感で感じられるレベルではない。
予算にあわせてSRT&RAIDを活用しよう
低コスト、OS再インストール不要で高速化を図れるSSDキャッシュソリューションの「Intel Smart Response Technology(スマート・レスポンス・テクノロジー)」と、2万円前後の投資や日々のバックアップなどが必要になるが、とにかく爆速な128GB×2台によるRAID 0は、どちらを選んでも満足ゆく高速性をPCに導入できると言える。
次期OSのWindows 8も見えてきているこの夏は、激下がり真っただ中のイチオシ激安SSDをゲットして、サクサク動作するPC環境を作っておこう。