「野生のプロ」と「プロの犯行」が奇跡の出会い
MMD、最新ホログラフィー技術が融合した舞台を見逃すな!
この夏、初音ミクの5周年を記念し、「39's CARAVAN」と名付けられたさまざまなイベントやコラボ企画が各地で開催されている。9月23日まで実施している「夏祭り2012 in 横浜・八景島シーパラダイス」もそのひとつ。シーパラダイスの園内でボーカロイド曲が流れ、水族館の水槽内やメリーゴーランドなどあちこちにボーカロイドのキャラクターが登場するなど、さまざまな催し物が企画されている。
筆者的に注目なのは、初音ミクのライブ「HATSUNE Appearance」だ。過去4年間、初音ミクのライブは様々な場所で行なわれてきたが、今回は「MikuMikuDance」(MMD)で映像が作られていること、「EYELINER」という投影システムを導入したことの2点が新しい。
ASCII.jpでは先日まで、初心者向け解説、ミクモデル、MMD杯優勝作品、クリエイターインタビューと、4回にわたってMMDの短期連載を掲載してきた。ついでに言うと、世界最大級のアニメライブ「Animelo Summer Live 2012」に出演したMMDのミクもレポートした。
野生のクリエイターが、みんなをあっと言わせる3Dアニメを作れる時代がきたことを実感するだけで胸が熱くなる……。そんなMMDスキーのASCII.jpが、MMDライブを取材しないわけにはいかない! ということで、今回も現地を直撃して、クリエイターさんにお話をうかがってきましたよ!
「わかむらPの指示で太ももが細くなった」
ライブ会場は、シーパラダイスのB棟2階に設けられている。席は最大で60と少なめだが、その分、どの場所でもミクが見やすいのがうれしい。
上映が始まると「千本桜」など、ボーカロイドの名曲をバックにミクが歌って踊りまくる! バックバンドがいないだけステージ背景に凝ることができ、桜や障子などさまざまなイメージを投影してミクを引き立てていた。上映時間は約30分で、見入ってるとあっという間に終わってしまう。
3D moderled by ままま
(C)ANGEL Project
(C)Crypton Future Media, Inc. www.crypton.net
気になったのは、やっぱり初音ミクそのものだ。3Dモデルはこのイベントのためにゼロから作り起こされたもので、元々の初音ミクより顔が大きくて、頭身が低く、ちょっと幼めな印象。制作を担当したのは、3Dクリエイターの「ままま」さん。MMDの世界では「ままま式GUMI」で知られる人物で、かわいいモデル作りに定評がある。
丸っぽい顔と大きな瞳がかわいい「ままま式GUMI」。GUMIの代表的な3Dモデルとして多くの動画に登場している。 |
今回、なぜ顔を大きくしたのかと言えば、「ステージにたったときに顔を大きく見えるようにしたかった。顔の大きさから全体を決めていった感じです。個人的には小顔が好みなんですがね」(まままさん)。
まままさんだけでなく、ほかのクリエイターの意見も反映されている。いちばんフィードバックをもらったのは、ニコ動出身の映像クリエイター「わかむらP」さん。
しばった髪の毛(ツインテール)部分のボリュームが普通のミクより少ないのは、わかむらPさんから「大きすぎるから普通のボリュームにしてほしい」という要望があったからだ。さらにミクのブーツはつるつるなのが通常だが、わかむらPさんとしては「それは許せない」とのことで、一部にシワを入れている。
「わかむらPさんの指示は的確なんでびっくりします。太モモももっと太かったんですが、わかむらPさんと(モーションを担当された)ラジPさんから細い方がいいと言われて削りました。結果的に幼い見た目に合ったので、細くしてよかった」(まままさん)
MMDを使って3Dを作っている作家(MMDer)には、キャラクターへの愛を原動力に作品を作っている方が多い。要するに「俺の考えた最強のミク」を動画で表現するわけだが、その厳しい目線が今回のモデルにも反映されて、かわいさが洗練されていったのだろう。
ちなみに映像の3DCG制作チームは以下のような感じ。まだ公演中のため誰が何の曲を担当したかは秘密だが、多くの人の思いがミクを動かしているのだ。
HATSUNE Appearance 3DCG制作チーム
コンテンツディレクター:kawaraさん
アートディレクター:まさたかPさん、わかむらPさん、魔汁Pさん
モデル制作:まままさん、エナメルPさん
振り付け:ラジPさん、Yumiko先生、紫音リアさん、てぃ☆イン!
モーション制作:ラジPさん、せっけんPさん、菖蒲Pさん
モーション/モデルアレンジ:アラン・スミシーさん