AppleとHTCが11月11日に特許クロスライセンス合意を発表した後、Appleと激しい特許訴訟を繰り広げているSamsungの動向や影響が注目されている。Samsungはこれまでのところ和解の可能性を否定し、戦いを継続する意志を見せている。そして先週末、アメリカで求めていた詳細条件の開示が認められ、AppleとHTCの合意内容開示を受けることになった。
Androidスマホ1台あたり6~8ドルと報道される和解内容
HTCのCEOは来日時の質疑応答で内容を否定
HTCとAppleの発表によると、両社は特許クロスライセンスにより、今後10年の間お互いの特許利用を認めるという。しかし、それ以上の合意内容の詳細はほとんど明かされていない。一部の欧米メディアは、HTCは1台あたり6~8ドルを支払うのではという憶測を立てており、これが大きく報じられている(だが、HTCのPeter Chou氏は来日時の質疑応答でこの金額について「間違っている」と否定している)。
このライセンス合意により、Samsungの動きに注目が集まっている。Android陣営を相手に展開する一連の特許訴訟で、Appleが最初にターゲットにしたのはHTCだったが(2010年3月)、SamsungがAndroidでシェアを伸ばし始めると同時に法廷での戦いも激化し、Appleは対Samsungの方に大きなリソースを注いでいる。
HTCとSamsungはWindows Phoneなどの製品を持つが、Appleの攻撃はAndroidのスマートフォン/タブレットが争点となっている。そのため、今回のクロスライセンスに、Samsungとの係争でも問題となっている特許が含まれる可能性がある。
合意後、Appleと和解の可能性について聞かれたSamsungの社長兼CEOのJ.K.Shin氏は、「その意図はない」とコメントした。Samsungは同時に、Appleにライセンス合意の詳細を開示するように北カリフォルニア連邦地方裁判所に要求、判事はこれを認め、21日にAppleに対し早急な開示を命じた。これは双方の弁護士間での開示となり、一般の目に触れることはない。
なお、このライセンス合意の詳細の一部は、スマートフォン特許についての動向を詳細に追っている弁護士のFlorian Muller氏が「90%省略されたバージョン」を入手し、自身のブログで公開している。それによると合意は、米カリフォルニア州の法律に基づくもので、HTC側にはVIA Technologiesから取得したS3 Graphicsも含まれているという。すべての特許が該当するのかどうか、全製品をカバーするのかどうかなどは不明とのことだ。
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