「Bluetoothスタンバイ」「おすそわけ充電」など電源関係にも工夫
電源はACアダプターと内蔵リチウムイオンバッテリーの2電源式。両機種ともバッテリーのフルチャージまで約4時間。バッテリー駆動時間はBluetoothオンの状態で、SRS-BTX500は約6時間、SRS-BTX300は約8時間となっている。
面白いのは「Bluetoothスタンバイ」機能で、スマートフォン側の入力で自動的に電源が入り、音が止まった状態が20分以上続くと電源が切れるオートパワーオフ機能もある。だからBluetoothスタンバイをオンにしておくと、音を出すたびに電源をオンオフするわずらわしさから開放される。
ただし、Bluetoothの入力待機状態になるのでバッテリー動作時は消耗は早くなるので、ACアダプターの接続時以外はオフにしておいたほうがいいかもしれない。なお、SRS-BTX300はスタンドを閉じると同時に電源が切れ、Bluetoothスタンバイ機能もオフになる仕組みもある。
もうひとつ面白いのは、両機種とも背面にUSB端子があり、ここからスマートフォンなどへの「おすそわけ充電」ができること。バッテリー動作時にも、おすそわけ充電は可能だが、充電する相手の容量によっては限界もあるだろう。このUSB端子の機能は充電のみで、音楽の再生には対応していない。
オーディオ入力はBluetoothの他に、ステレオミニのAUDIO IN端子もあり、入力は側面のボタンを操作して切り替えられる。
磁性流体サスペンションを使ったユニットの音質は?
SRS-BTX300は、70mm径のフルレンジスピーカーが左右に1発ずつ、そして約103×60mmのパッシブラジエーターが1発という構成。パッシブラジエーターはメインユニットの背圧を受けて共振し、低音を増強する効果がある。アンプのパワーはACアダプター接続時は10W+10W、バッテリー駆動時は4W+4Wが実効最大出力で、電源によって異なる。
SRS-BTX500は、48mm径の磁性流体サスペンションを使ったユニットが左右に1発づつ、そして80mmのサブウーファーが1発、そしてパッシブラジエーターが2発という構成。ACアダプター接続時は10W+10W+20W(サブウーファー)、バッテリー駆動時は4W+4W+8W(サブウーファー)が実効最大出力となる。
気になる音質だが、まず両機種とも、これまでのBluetoothスピーカーにあったノイズはまったく感じられない。Bluetoothスピーカーと言えば、無音時には「ジリジリジリ」という残留ノイズのようなものが消えず、便利さとは裏腹に興ざめということもあったが、まずそれとは無縁なのが素晴らしい。※1
そして両機種の音質の違いだが、同じメーカーの姉妹機とはいえ、正直言って比べるのが酷なくらい差があった。やはり高域側の伸び、中音域の解像感で圧倒的にSRS-BTX500の方が上に立つ。音場の立体感や定位のシャープな感じは、いかにも適切な駆動力にしっかりレスポンスしているユニットのそれで、単体のアクティブスピーカーとして見ても相当にレベルは高い。
低域の音圧感はそれほど差はないように感じられるが、やはりSRS-BTX300は無理をして持ち上げているような印象で、低域側の余裕もSRS-BTX500の方が上手。両機種とも低音を強調する「MEGA BASS」、音場感を拡張する「SURROUND + MEGA BASS」がSOUNDモードで選べるが、SRS-BTX500ではそれらを積極的に選びたい場面はなかった。
こうした印象はBluetoothとAUDIO INの有線接続を切り替えても変わらなかった。SRS-BTX500はアクティブなサブウーファー付きだから、低域に差がつくのは当たり前。だが、中高域の差は、やはり磁性流体サスペンションを使った左右スピーカーの差にあるのではないか。SRS-BTX500にのみクリアフェーズがおごられているとはいえ、他の製品でこの機能を試した経験では、それほど差がつくとも思えない。ともかく音質について言えば、価格差を超えた想像以上のものだった。
※1 ただBluetooth接続時に、どのコーデックで接続しているかをスピーカー側で確認する方法がない。テストにはAACの接続に対応したiPadやiPhone、aptXの接続に対応したMacbook ProやMacbook Airで試したが、SBCでしか接続できない端末を使えば、印象が違う可能性があることはお断りしておきたい。
