昨年の10月から、タイでインラック首相辞任を要求する反政府デモが起きている。
タクシン元首相派の反独裁民主戦線と、反タクシン派のステープ・トゥアクスパン元副首相が反タクシン派政権の樹立を目指して主導しているデモである。このデモにより、一部が暴徒となったほか銃撃事件も発生、また1月からはバンコクの中心部の大通りにデモ隊が集結する「Shutdown Bangkok」がスタート、一部交通がマヒしている。
一方、ITの側面から国際都市バンコクでのデモについて見てみると、その関わりは大きかった。中進国の世界的な大都市でデモが起きるとどうなるか、そのひとつのサンプルとなるバンコクのデモでのIT利用実態を紹介していく。
スマホ普及率が急速に拡大するタイ
タイの首都バンコクは、世界でも屈指の日本人が多く滞在する街だ。スクンヴィットやシーロム通りでは日本人をこれでもかと見かけるし、東急百貨店や伊勢丹もあれば「8番らーめん」や「大戸屋」など、日本食も充実している。
日本人だけでなく、世界各国の人々が多く滞在する世界有数の国際都市でもある(しかも居心地もいい)。所得も高く、バンコクの人々の平均月収は1万5000バーツ程度。それ以外の地域が1万バーツ程度であり、1.5倍ほど所得が高い(1バーツ=3.1円)。加えて、それだけでは生活が難しいので、家庭内の複数人の稼ぎで生活し、その中からIT製品購入資金も捻出する。
一方、スマートフォンやタブレットの価格はというと、タイでは日本や中国のようなキャリアによる端末費実質無料がないため、1万円台からの価格で購入することになる。
日本よりも製品購入のハードルは高いけれど、それでも涼しいショッピングセンターに入ったり、地下鉄や高架鉄道に乗ったりすると、日本の地下鉄車内同様にスマートフォンやタブレットユーザーばかり目につく。
調査会社のTrueHitによれば、タイのインターネットユーザーは昨年7月の段階で2386万人で普及率は35.8%だという。この調査を受け、タイ情報産業省トップは「スマートフォンの普及が加速していることから、年末にはこの倍は普及するのではないか」と発言。オーバーな表現にしろ、それほどまでにスマートフォン普及の勢いはすごい。
タイのインターネットユーザーの27%がバンコクに集中しているという。そのバンコクではSNSも積極的に使われており、なんでもバンコクは世界で最もFacebook利用率が高い都市であると言われている。
またInstagramもまた世界でニューヨークに続き、使われている都市なのだそうだ。LINEも人気で1800万ユーザーが、Twitterは258万ユーザーが利用している。年越しの「あけおめ」データ通信量は昨年比で3倍にもなった。
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