今回のことば
「MVNOの検索数が急激に増加している。MVNOへの関心が高まり、ビジネスチャンスが広がっていることの証だ」(日本通信の三田聖二社長)
MVNOの認知度が高まり、ビジネスチャンスが増加
MVNOの動きが加速している。その先鞭をつけたのが、日本通信である。
同社は、1996年の創業以来、日本におけるMVNO事業の展開を模索。2008年8月にNTTドコモと相互接続協定を結び、2009年3月から相互接続によるMVNOサービスを開始した。自他ともに認めるMVNO事業モデルの生みの親だ。
日本通信の三田聖二社長は、「GoogleにおけるMVNOの検索数が急激に増加している。MVNOへの関心が高まり、認知度が急速に高まっている。これは、我々のビジネスチャンスが広がっていることの証でもある」と語る。
先頃、イオンとの協業で、格安スマホ「イオンのスマートフォン」を発売し、大きな話題を集めたばかりである。これもMVNOへの関心を高める要因になっている。
「SIMの販売だけでは、女性への販売比率は15%に留まっていた。だが、イオンを通じて販売したSIM+スマートフォンの組み合わせでは、女性比率が4割にまで上昇し、40代、50代といった層の購入が増加。8割が40歳以上の購入者。さらに、販売実績は全国に広がっている」と、日本通信の福田尚久副社長は語る。
SIMのビジネスでは、通信に知識を持つユーザーがどうしても中心となるが、SIMとスマートフォンを組み合わせ提案では多くの人が理解しやすくなる。
「SIMはあくまでも部品。知っている人もわずかであり、ターゲットとなるのは、人口全体の10%程度と限定的。だが、スマートフォンとSIMを組み合わせた『完成品』になった途端に意味合いが異なる。当然、アピールの仕方も変わってくる」(福田副社長)
変化しているのは、エンドユーザーの反応だけではない。これを取り扱いたいとする企業の反応も多いという。
「イオンと同様の取り組みをしたいという話が出ている。2014年度は、完成品としての販売を強化していくことになる」と福田副社長は語る。
イオンとの協業は、MVNOの認知度を高め、ユーザーを広げるとともに、多くの企業に、ビジネスチャンスの場を知らしめることになったといえよう。
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