毎年毎年進化を続けるスマホのカメラなんだけど、2021年春モデルであるサムスン電子の「GALAXY S21 Ultra 5G」が実にウルトラだったのである。
なんとカメラがリアルに4つ。超広角カメラ・広角カメラ・望遠カメラ、という構成はもはやハイエンドモデルでは当たり前なのだけど、望遠カメラにさらに望遠のカメラが追加されたのだ。ひとつは3倍の望遠。これは普通。4つめは10倍の望遠。基準となる広角カメラが24mm相当なので10倍というと240mm相当。
デジタルズームを駆使して望遠撮影ができるってスマホカメラは珍しくもなんともないが、光学的に240mm相当となるとデジタルズームとはクオリティーが全然違うのだ。

GALAXY S21 Ultra 5G。大きな3つのカメラは13mm相当の超広角、24mm相当の広角、そして240mm相当の10倍望遠。横にある小さなカメラは72mm相当の3倍望遠。クアッドカメラが当たり前の時代が来た
スマホカメラってどうしても望遠に弱いので、警戒心が強い街でふらりと出会うような猫を撮るには向いてなかったんだけど、これならイケるかも。
ということで出撃だ。10倍ズームってだいたいこんな感じ。奥に見える黒猫をここまで大きく撮れる。
ちなみにこの黒猫。撮影画面を撮ろうとあれこれやってるうちに、にゃあと鳴きながらこっちへ来ちゃったのだ。近くへやってきたらさっと広角カメラに切り替えて撮影。
そしたら赤い車の向こう側から車に沿って白い猫がとことことやってくるではないか。これは黒猫目当てに違いない。黒猫がわたしの近くに来たので、それにつられたのだ。何か貰えると思ったのかも。そこで2匹の接近遭遇を狙うチャンスと待ち構えたところ、普通に頬こすりつけて挨拶するだけかと思いきや、白猫の方がシャーッと威嚇したのである。をいをい。
いかん、2匹とも近すぎる。このあと派手な展開(じゃれ合いがはじまるとか)になったら捉えきれない、とカメラを超広角に切替え。
そして黒猫は白猫の勢いにまけて後ずさりし、白猫は車に頭をごつんとぶつけて舌を嚙んだのだった。いや舌嚙んだわけではないけど、そうみえない?

白猫の勢いに負けた黒猫があとずさり。白猫は赤い車に頭をこすりつけてたのだった。このあと白猫は路肩にごろんと転がったので撫でてあげたのだった。2021年5月 サムスン GALAXY S21 Ultra 5G
とまあ、猫との距離に応じてカメラを切替えながら撮る、って感覚がスマホならではで楽しい。コンパクトカメラの「ズームレバーでズーミングしながら」、とかデジタル一眼の「左手でズームレンズをコントロールしつつ右手で」撮る、のとはちょっと違うのが面白い。
そんなGALAXY S21 Ultra 5Gであるが、やっぱこれの特徴は望遠カメラなので、ここからは望遠特集。冒頭写真は駐車場で寝てた2匹の猫。これ以上暑くなると涼しい場所を求めて日陰にはいっちゃうのだけど、この日はそこまで暑くならず、いい感じに明るいところで寝てくれてた。
猫たちを起こさないよう遠くからそっと望遠で。路肩でごろごろ転がってる猫も望遠で。
さらに路地を歩いてたら目の前をとととっと横切った白い物体。あれは猫に違いないと探してみると、民家の玄関先で立ち止まってこっちを見てる。互いに距離を保ちつつ、まずは3倍の望遠で門の上から。
で、これは門の下から猫目線で10倍で撮ったらカッコ良さそうと思ったので、さっと切り替えてしゃがんで下から狙ってみたのである。
スマホの場合、メインカメラとなる広角カメラが一番高画質で、望遠カメラはどうしてもボディーをあまり厚くできない関係でセンサーサイズも小さめで性能的にはちょっと落ちるのだけど、それでもここまでぐぐっと寄れちゃう時代が来たのはすごいのだ。ウルトラなカメラは猫を撮ってもウルトラなのだった。
ハイエンド機なのでお値段もそれなりにするけれども、ここまで撮れるならちょっと欲しくなりますよ。いつもポケットに入っててすぐ取り出せるスマホひとつで近くの猫も遠くの猫も撮れちゃうのだから。
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筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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