昨今、業務効率化、コスト削減のトレンドを受けて、電子会議システムがあらためて注目されている。ただ、そうしたツールの課題となっているのが“臨場感”のなさだ。自席や自宅で会議に参加できるのは便利だが、その分、集中力がそがれやすい他、出された意見の共有も難しい場合が多い。そこで今回は、会議への参加感を高め、生産性向上に寄与する電子会議システムを紹介する。
電話会議やビデオ会議がビジネスの現場で一般的になって久しい。最近ではWebやSkypeを使った会議も珍しくなくなってきたようだ。社内にいながらにして遠隔地にいるメンバーとリアルタイムなディスカッションを可能にする電子会議システムは確かに非常に便利である。
しかし、何かが足りない……そう、ホワイトボードである。リアルでもリモートでもそうなのだが、どうもホワイトボードがない会議はどこか臨場感に欠けるように感じてしまう。せっかく出た良いアイデアも書き留められることなく流れていってしまいがちだ。
Web会議システムなどの中には、ドキュメントや図版などの資料を共有できるタイプもある。だが、その程度で“コラボレーションが実現”などと言ってしまうのはいかがなものかという気がする。会議の参加者全員の視線が1つに集まる先――そこにあるべきなのは、やはり会議を生産的な場に変えるツールであり、コラボレーションの象徴でもあるホワイトボードだ。
だが、ホワイトボードがまともに使える電子会議システムはこれまでほとんどなかった。あっても機能的に物足りなかったり、コスト的に見合わなかったりと、ちょうど良い感じの製品が少ない市場だったと言っていい。
そこに登場してきたのが、今回紹介するSMART Technologiesの“インタラクティブ・ホワイトボード”なる「SBID 8070i」だ。インタラクティブという名前のとおり、“対話型”の電子会議環境を提供するコンピュータスクリーンである。
今回、SMART Technologiesの日本法人である日本スマートテクノロジーズ シニア・コンサルタントの木戸裕介氏に、SBID 8070iの特徴や同社の戦略について聞いた。昨今の業務効率化のトレンドを受けて、チームの生産性向上、出張旅費の削減などのニーズから、いまあらためて見直されている電子会議ツールの1つのケーススタディを紹介したい。
SMART Technologiesはカナダ・カルガリーに本社を置く、インタラクティブ・ホワイトボード(以下、IWB)の提供企業だ。IWB市場では教育分野を中心にワールドワイドで47%という圧倒的なシェアを誇る。
同社のIWBはスマートボード(SMART Board)」という製品ブランドが冠されている。プロジェクト一体型、壁掛け型など、いくつかのタイプがあるが、SBID 8070iは70インチのLCDを備えるプロジェクト一体型の製品である。
2011年11月24日、同社はSBID 8070iとともに、世界16カ所のMicrosoft Technology Center(MTC)にスマートボードを設置する旨を発表した。これは10月28日にSMART TechnologiesがMTCのハードウェアアライアンスプログラムで合意したことを受けてのもの。すでに東京・大手町のMTCにも、SBID 8070iが2セット導入されている。
ご存知の向きも多いと思うが、MTCとはマイクロソフトの顧客が同社のエンタープライズソリューションを体感できる施設である。つまり両社は、これまで教育分野での導入が中心だったスマートボードの利便性を伸ばすことで、ビジネスシーンに本格的に浸透させることを狙っているのだ。
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