かまくら型をした猫用の炬燵である。銀次郎さんは冬は炬燵に籠もることが大好きだ。その様子を見ていると羨ましくなり、たまに内に手を突っ込ませて貰うことがある。夢のような暖かさである。ちなみに一度、足を突っ込もうとしたら、入口で阻止された。炬燵は猫の聖域なのである。X-PRO3/XF35mmF1.4R炬燵の住人(もとい住猫)
レンズという窓を通じて見えるもの。あるいは見えざるもの。
写真自体そのものよりも、寧ろそこから喚起される「もの」に意味があると考えています。全てのものは消え去っていきます。それでも、この儚い時間を、ほんのひと時だけでも繋ぎ止めてみようと思います。 ※機材紹介ブログではありません。撮影した写真を掲載するブログです。
フィルムシミュレーション「クラシックネガ」、レンズはノクトン23㎜、WB固定(5900K)。もはやこれはフィルムで撮った写真そのものだ。少し前にメッセージで批判を受けたという話を書いた。批判内容を確認すると①トーンが暗い、②色が濁っている、③被写体が廃れている、だった。これを僕流に解釈して、①Dark(暗い))、②Dull(濁った)、③DieOut(廃れた)と言い換えよう。3つのD、つまりは3D写真である。X-PRO3/VoigtlanderNOKTON23mmF1.2AsphericalLikeaFilmCamera~私的3D写真
地域タグ:由利本荘市
最近、ブログにAi関連の記事を載せた。ひとつは熱海のジャズ喫茶で隣に座ったオジサンを女性に差し替えたし、もうひとつは拙い作詞にAiで曲をつけた。凄いなあと思いつつ、それは本物ではないことも理解している。でも理解しない人もいるだろうし、その比率はどんどん高まっていくだろう。僕自身もその線引が揺らいでいくだろう。実は写真の世界にもAiはガッツリ入ってきている。広告業界などでは当たり前のツールだし、個人用途でも簡単に使うことができる。我々は古くから、自分の見た世界をどうやって伝えるかに苦心してきた。長くなるので技具体的な説明は割愛するが、それは多くの場合、撮影段階の技術で対応してきた。デジタルになると後処理の可能性が格段に向上したが、それでも撮影段階が重要なことに変わりはない。それが削除したいアイテムを簡単に削...マジックアワーの海にて
地域タグ:由利本荘市
写真は裏庭の空。突然寒くなり、ストーブを用意したところ、何故か暖かい日が続くようになった。猫の性格みたいな気象だと思う。さて、少し前にも道祖伸人形の写真を掲載した。以下リンクの9月24日の記事である。雨振りで川が増水していて、越水しそうだった。もし道祖神人形が流されてしまったら悲しむ少女がいるだろうか、と思いつき、ジョークの作詞をした。川に流された道祖神人形を嘆く歌で、まあまあの出来だった。でも考えてみれば秋田県は大雨災害の直後であった。大雨の被災者の方がいるのに不謹慎ではないか、そう不安になった。ネタにする話ではない。その時点では被害情報は入っていなかったが、丁度能登地方が大雨に襲われていたタイミングだった(後に大被害が判明する)。そこで僕は詞を相当マイルドなものに変更した。面白味は消えたが、リンク先の...裏庭の空、そして楽曲発表
地域タグ:秋田県
僕は鉄道に乗ることは好きだけど、いわゆる鉄道の知識は皆無である。これまで鉄道ファンだったことはないし、車輌の名前なども全く知らないし、興味もない。旅情としての鉄道には共感はしている。今回の写真は秋田県の由利高原鉄道の前郷駅での一コマだ。運転手さんと駅員さんのやっていることは、タブレット交換というらしい。お互いの持つ「輪っか」をタブレットといい、それを互いに交換する。単線路線なので、交差する駅でこれを交換しないと先に進めないということだろう。僕は当初、駅員が「輪っか」を運転手に渡す行為だと思っていたが、実際には交換する。現在は殆どの鉄道で電子制御で行っているだろうが、こういうアナログの手順が確実な場合もある。ちなみにこの時はタブレット交換のことは頭になかったが、駅員さんが「撮られるのだろうな」と身じまいを整...タブレット交換
地域タグ:由利本荘市
猫「おい!これは誰ニャンだよ?」僕「誰って、お前だよ」猫「まじ?」僕「まじ。とりあえず編集の邪魔だからどいてくれ」新作の写真が全くないので、こんなネタ写真でお茶を濁している。お茶濁しでも、休まず掲載しようと努力するところが、これまでと異なる。猫の疑問〜お前は誰だ?
地域タグ:秋田県
オークションでカメラ関係のものを2つばかり処分した。もう自分の家にお宝なんかないと思っていた。お宝はなくても思わぬ利ざやを稼ぐことができた。家の中の不用品を再度チェックしようと思った次第である。今回の処分は以下の通り。一つは上段のMamiyaRB67である。6x7版で撮影できる大型カメラだ。むかしカメラのキタムラでたたき売りされていたものだ。確か2万円のものを試しに値切ってみたら、1万5千円になったのだと思う。その店にはRB67が4〜5台並んでいたので、写真館などが一斉処分したのかもしれない。普通のフィルムカメラと一線を画する120フィルムの描写。素晴らしい描写だけど、田舎故にフィルム撮影は困難となってしまった。しかも無駄に大きなカメラなので、防湿庫の中で広大な空間を占有している。最後に使ったのは2〜3年...利は川下にあり
今年の我が家の裏庭は色々と変化があった。最大の変化は無花果(いちじく)の大量収穫である。生で食べたり、コンポートを作ったり、チーズとオリーブオイルと合わせワインの肴にしたり、かなりの数を食べた。もう終わり、もう終わりと思っても、今だに実が熟すから弱っている。最近では鳥でさえ飽きたのか、盗まれることもなくなった。もう一つは、何故かアケビが大量収穫されたことだ。アケビは勝手に生えてきたもので、例年何個か実をつけてはいた。それが今年は一気に大量発生。先日十数ケ収穫したが、まだまだ大量に実をつけている。これまた食べるのに困るので、人にあげたりしている。試しに食べてみたところ、ほんのりとした素朴な甘みが口に広がった。料理に応用するまでは至っていない。そんな「団子」の豊作をよそに、例年咲く向日葵は咲かなかったし、昨年...花よりアケビ
地域タグ:秋田県
初めて大東町に来たのは何時のことだったのか、それは覚えていない。確かなことは、僕が最初に来た頃と今では多少の変化はある。何かが失くなったり、どこかが変わったり・・・。それでも大きく捉えれば、ここは紛うことなく大東町であり、本質的なことは変わっていないようにも見える。こうして撮っている自分はどうだ?。進歩がないとも言えるけど、自分では何も変わっていないと思ってはいる。でもそんな訳はない。町が経年するように、僕という一人の人間も同じだけ歳を取っていく。以前はその事実に焦燥感が募ったが、今ではそれも別に悪くないと考え始めた。ああこうやって僕は歳を取っていくのだな。町を歩きながらニヤッとした。MakiAsakawa浅川マキ「こんな風に過ぎて行くのなら(歌詞付)」X-PRO3/VoigtlanderNOKTON23...あの頃の大東町(終)〜こんな風に過ぎて行くのなら
地域タグ:一関市
岩手県の旧・大東町大原地区である。丁度、昨日掲載したラーメン屋さんの周辺だ。大東町には、大原、猿沢、摺沢という3つの町並みがあり、どれも魅力的な町並みだから困る。岩手コンプリート達成後、訪問機会が減っているが、それは飽きたからではない。なまじ町の魅力を知ってしまったから、生半可な気持ちで来ることが難しくなっているのだ。どうしても本腰を入れて歩かざる得なくなる。前後の予定とか、帰宅時間とか、色々なことに支障が出る可能性がある。支障が出たとしても歩くことを選ばされてしまう、そういう危険な町なのである。この日はラーメン屋さんに行くことありきで訪れたけど、正直「面倒なことにならないだろうか」と腰が重かったのも事実である。とにかく摺沢や猿沢には近づかないようにして、大原地区だけを歩こう。上原師匠の写真から岩手の街道...あの頃の大東町①〜君子、危うきに近づく
地域タグ:一関市
暑かった(秋田県ではそうでもなかったけど)夏が嘘のように、急に冷え込んできた。気づけば10月も半ば。本来は秋真っ只中であり、東北地方では雪を想定してスタッドレスタイヤのCMも増えてきた。こんな季節になると岩手県花巻市の竹駒の中華そばが無性に食べたくなる。でももう竹駒は閉店してしまった。現代の技術を持っても、味だけはアーカイブのしようがない。これは現地に行って現物を食べ、自分の身体と記憶に残すしか方法がない。そんなことを考えているうちに、「そうだ大原の中華そばを食べに行こう」と思い付いた。大原といっても京都ではなく、岩手県の旧・大東町(現・一関市)の大原地区のことである。そこでは金物屋さんの奥に併設された食堂で、素朴な中華そばを食べることができる。暖簾こそ掛かっているものの、ここがラーメン屋さんとは一見では...幻の中華そば食堂は健在だった
地域タグ:一関市
青森県の大鰐温泉。大鰐温泉には2~3回泊まったこともある。でも多くは弘前方面へ出かけた際の帰り道に立ち寄ることが多い。クルマで行くにしても、鉄道で行くにしても、秋田から弘前とか青森方面に行くのであれば必ず通過する場所だからだ。温泉街だけに限らず、日常生活の町並みも魅力的で、いくら歩いていて飽きない町である。今回立ち寄ったのは久しぶりのことだった。イメージなので実際は違うかもしれないが、大鰐温泉を歩くときは、曇りの日、雨の日、雪の日が多い。それが似合っている町並みだと思う。からっと晴れた日に歩くことは滅多にない。一般的には秋晴れの休日には大鰐温泉を歩くよりも、別のことをした方が良い。でも今回は秋晴れだった。予想に反し、青空の下の大鰐温泉も悪くなかった。この微妙な違和感は表現が難しい。バリバリの演歌歌手がジャ...青空の下に大鰐温泉
地域タグ:大鰐町
今回は所用があって弘前に行った。それを済ませ、スナックホテルに泊まれば目的は達成されたも同然だ。とはいえ僕は写真撮リなので、行く以上は街を歩いて写真を撮る。前週に伊豆に行っているので、体力的にも財力的にも控え目な夜の写真撮影となった。弘前という街は、夕刻に差し掛かっていく時間帯が最も魅力的だ。定点観測のように過去に撮影した古い建物を探していると、街はあっという間に暮れてゆく。今回は二次会など行かなくても、ホテルに戻れば良い。そこは前回の記事の「スナック」なのだから。そんなわけで弘前の短い夜は終わったのである。それにしてもフィルムシミュレーション「クラシックネガ」と弘前は相性抜群だ。以前はオリジナルのプロファイルをLightroomで作成していたけど、いまはクラシックネガに頼り切りだ。弘前アフターダーク
地域タグ:弘前市
まず一枚目の写真を見て欲しい。誰がどう見ても、これはスナック街というか、スナックの入ったビルの内廊下と見えると思う。実際、少し前までは本当にそうだった。でも、今ではホテルとなっている。つまりここはホテルの廊下である。そして各スナック店舗が、そのままホテルの客室となっている。ここは青森県弘前市の「GoodOldHotel」と言い、「じゃらん」とか「楽天トラベル」などにも掲載されているれっきとしたビジネスホテルである。スナックが営業していたビルの1フロア丸々をホテルに改装してあり、廊下を歩く限りスナックそのもの。とてもホテルとは思えない。以前から気になっていたが、今回泊まる機会があったので報告する。僕が泊まったのは、「ニューうさぎ」である。三枚目の写真、スナック時代そのままの木製ドアが、すなわち部屋への入口と...衝撃の泊まれるスナック街〜GoodOldHotel
地域タグ:弘前市
先般の伊豆道中の帰り道、東京に立ち寄った。そして原宿にある「GRSPACETOKYO」に行った。僕も愛用しているリコーのコンパクトカメラ「GR」についての情報発信をするギャラリーである。目的は同時開催されている「森山大道写真展」だ。僕が原宿を歩く姿など想像できないかもしれないが、実は学生時代を含めて10年近く東京で生活したことがある。最初に住んだのは代々木上原だった。駅前の粗末なアパートから原宿までは、代々木公園を突っ切る形で徒歩25~30分くらいだったと思う。お金もなかったので、よく散歩代わりに歩いたことを思い出す。まあでも、もう原宿は歩きたくないな。田舎暮らしに慣れると、こんなゴチャゴチャしたところは落ち着かない。歩きながら、早くここを脱出したいとばかり考えていた。そんな思いまでして行った「GRSPA...GRSPACETOKYOに行った
地域タグ:東京都
繁華街の猫は、僕の大好物の被写体である。ここ数年は繁華街にあまり出なくなった上に、猫の数自体も少なくなったような気がする。猫との遭遇も減っているので、千載一遇のチャンスだった。日々、僕は猫たらしになるべく努力している。何度も往復して少しづつ猫との距離を詰めてゆく。「何だよ?、」が徐々に「またか?」に変わっていく。気を許す猫もいれば、最後まで頑なの猫もいる。今回の猫たちは、やさぐれというには品があった。X-PRO3/VoigtlanderNOKTON23mmF1.2Aspherical繁華街の猫〜やさぐれとは呼ぶには品がある
地域タグ:弘前市
<帰宅直後の彼岸花><翌日>以下にリンクを貼ったのは、昨年10月に裏庭で彼岸花が咲いたときの記事だ。裏庭で彼岸花が咲くのは、いつも僕が出かけた時であるという内容だ。大抵は他の場所で彼岸花を撮ったときであり、まるで花が嫉妬しているようだとも書いている。今年は僕が伊豆に行っている間に咲いた。昨年よりも多少早いとはいえ、ちょうど彼岸花が咲く時期ではある。だから僕が出かけて不在の時に、花が咲いても全く不思議はない。頭では分かっているけど、どうしても偶然とは思えない。何かの力のように思えてならない。事前に連絡をがあり、彼岸花が咲いたことは知ってはいた。それでも旅から戻った夕刻、薄暗い中で彼岸花が浮かび上がっている姿を見ると、少し怖かった。翌日に明るい陽の下で見れば、普通の彼岸花ではあった。◯2023年10月18日「...今年も妖しい彼岸花が咲いた
地域タグ:秋田県
①<ジャズ喫茶ゆしま>まずは「ジャズ喫茶ゆしま」。昭和27年創業の老舗中の老舗のジャズ喫茶である.四半世紀以上前に何度か来たことがある。多分ほとんど変わらない店構えである。無粋となると思って聞かなったけど、なんとママさんは103歳にしてご存命であり、最近まで店に出ていたそうである。以前に来たときは、エセ文化人みたいな輩がドヤ顔を芸術論を語り合っていた。やたらとエピゴーネンという単語を乱発していた。使いたかったのだろうなと生暖かくスルーしていた記憶がある。今回はそういう輩もおらず、コージーでリラックスした雰囲気が漂っていた。なおマスターに写真を撮っても良いかと尋ねたところ、何故か僕のスマホで写真を撮ってくれた。隣に座っていたのは、本当のところは近所のオジサンで、PhotoshopのAi画像処理で美女に差し替...熱海(番外編)〜ジャズ喫茶とストリップ劇場
地域タグ:熱海市
熱海の繁華街は、「熱海銀座商店街」周辺に位置している。JR熱海駅から距離にして1kmちょっとだが、坂道や曲がりくねった道の先にある。隣のJR来宮駅から行った方が若干近いようだ。今では熱海に来た観光客の多くは、ほJR熱海駅周辺、海岸付近、ホテル内で過ごすので、繁華街に繰り出す人は減っている。しかしながら僕のような人間からすると、ここは天国だ。まさに昭和の真空パック。居ぬきで改装された飲食店の中には、「新鮮な魚料理」を売りにした今風の店もあった。正直、ファミレスと大差はないようだった。滅多にない機会なので、そういう店ではなく、きちんとした職人のいる料理店で食べた。生シラスに煩い僕も納得の味だった。若者の姿はファミレスのような飲食店にチラホラあるだけで、時間と共に町を歩く年齢層も高くなる。みんな気になるであろう...それぞれの熱海(終)~昭和の夜は続いている
地域タグ:熱海市
熱海に来た。熱海という街を語ることは難しい。首都圏に住む人の大半は、一度や二度は熱海に行ったことがあるだろう。当然それぞれの胸に、それぞれの熱海がある。その分、最大公約数を算出し難い街なのである。僕は伊豆で育ったので、当然ながら熱海には何度も行ったことがある。伊豆を離れてからも訪れている。僕にとって熱海は、地元圏内の町であると同時に、観光地でもある。そして東北に移住した現在では、遠く離れた地にもなった。これから書く熱海は、あくまで僕にとっての熱海である。それが貴方にとっての熱海と少しでも共通点があれば嬉しいし、異質であったとしても何らかの示唆が含まれていればと思う。さて、今回いつもと違う点は鉄道で熱海入りしたことだ。まず驚いたのは、熱海駅の改札付近の混雑状況だ。これはもう都会並みではないか。調べたところ、...それぞれの熱海①~栄枯衰退の果てに
地域タグ:熱海市
僕が学生の頃、静岡県には「高校学区」が存在していた。というか、それが無くなっていることは最近知った。詳細は忘れたが、先の記事の下田市であれば、下田市と賀茂郡が一つの学区となっていた。僕が進学する高校は、三島市、駿東郡(うち清水町、長泉町)、田方郡、熱海市、伊東市が一つの学区であったと思う。確か、地理的要因で、下田市周辺では例外も認められていたように思うが、基本的には学区は厳守された。三島市と沼津市は隣接しており、互いの通学には便利だが、越境は認められない。そんなわけで、僕が通った高校には、熱海とか伊東から通学する生徒もいた。伊東なんて、僕からすれば夏休みに遊びに行く観光地であり、日常の生活圏がクロスするなど考えられなかった。でも伊東から三島、あるいは伊豆箱根鉄道沿線の高校には十分通学が可能であった。そして...かつて伊東には伊藤君が住んでいた
地域タグ:伊東市
心の中で必要以上に肥大化した町、下田。前日の午後には、その肥大化した町の一端を見て、日が暮れてからはシャボン玉が弾けるように幻想から解き放たれた。翌朝の別れの刻、町はどんな顔を見せたのだろうか。多分、知ってはいけない秘密を見たことで、親密さは消え失せ、ギスギスした朝を迎えることになると思っていた。ところが実際には、下田は普通の魅力的な町となっていた。このご時世に表現することが憚られるが、初めて一夜を共にした女性と共に迎える朝みたいなものだ。がっかりすする(される)こともあれば、望外の親密さを感じることもある。それは相性としか言いようがなく、そうなってみないと分からないものだ。下田で迎えた朝。生活感のある町並みも、観光的な外面も、ペリーが来航した歴史的な地形も、すべてが普通にそこにあった。何の衒いもなく、気...下田幻影(終)〜和解の朝
地域タグ:下田市
この日は用事を済ませてから下田に来て、市内の温泉ホテルに宿泊した(朝食のみ付いたプラン)。普通の町でビジネスホテルに泊まるよりも格安だった。下田に着いた時点では青空が残っていたが、歩いてホテルに向かい、チェックインしてから温泉に浸かり、街に出る頃になると日が暮れ始めていた。それが前回の記事で、その続きとなる。商店街を抜けて辿り着いたのは市中観光の目玉である「ペリーロード」だ。最後に来たのは小学校の時だと思う。平日の夕方なので、もう観光客は殆どいない。日が暮れるのと比例して、町は静かになっていく。明るいうちは大きく見えた町が、段々と狭く小さくなっていく。これは当たり前のことなのだ。下田市は人口でいえば約2万人の町だ。観光客が沢山来るし、港町の賑わいがあるにしても、そんなに大きな町である筈はない。考え方によれ...下田幻影②〜日暮れとシンクロ
地域タグ:下田市
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かまくら型をした猫用の炬燵である。銀次郎さんは冬は炬燵に籠もることが大好きだ。その様子を見ていると羨ましくなり、たまに内に手を突っ込ませて貰うことがある。夢のような暖かさである。ちなみに一度、足を突っ込もうとしたら、入口で阻止された。炬燵は猫の聖域なのである。X-PRO3/XF35mmF1.4R炬燵の住人(もとい住猫)
僕の知る何人かの人たちが闘っている。状況は様々だけど、命を巡る闘いを続けていることに変わりはない。何もできないけどエールを送りたい。不安に慄き、泣き言も言いたくなるだろう。空虚な前向きな言葉や、中途半端な慰めに怒りを覚えることだってあるだろう。その先に何があるのかは誰にも分からない。立ち止まっても、後退りしても、とにかく道が続く限り進んでいくしかないのだと思う。一歩でもその先へ。一歩でもその先へ
ここ数年、「ネオン球」を撮影することがマイブームとなっている。「ネオン球」とはキャバレーの電飾看板のネオン電球のことである。以前はそういう看板を持つ店舗が幾つかあった。今では写真の店しか残っていない。いつもはアップの写真だけを掲載しているが、年始のサービス(?)で全景をアップした。僕はこんなところで電球を接写している。ネオン球を接写する僕を、車のドライバーが胡散臭そうに見るというシュールな光景が繰り広げられている。撮影は営業開始前の昼間にだけ行う。いつの日か電球が灯るネオン球の本当の姿を見たいものである。X-PRO3/XF16-80mmF4ROISWR2025年の秋田市②〜ネオン球の総本山
深い意味はない。2025年になってから撮影した町並みの写真であり、山形県鶴岡市に初詣に出かけたことを除けば、秋田市でしか町並みの写真を撮っていない。1月4日の街の光景を掲載した。まあその「街」は僕の好みの場所だけれど・・・。X-PRO3/VoigtlanderNOKTON23mmF1.2Aspherical2025年の秋田市①〜好みの場所の光景
由利高原鉄道の曲沢駅。今回はカラーで撮ったが、モノクロで撮っても大体同じ感じの写真になる。ここでの冬景色は別格で、今後更に冬景色は深まっていくと思う。例によって列車は写っていない。写真を撮ったのは10:02(AM)であり、次の列車は10:11発となる。入線時刻を10:10とすれば8分前ということになる。道路上に車を停めるしか待機方法はなく、外はとんでもなく寒かった。僕の車をパスした軽トラが横滑りで事故を起こしそうなったりもした。病み上がり(病み最中?)の身でもあり、その8分を待ち切れずに撤退した。次の機会を待とう。X-PRO3/XF16-80mmF4ROISWR雪原の駅〜入線8分前
年末に風邪をこじらせた(コロナ、インフルエンザ陰性)。養生が効き、大晦日にはほぼ熱が引いた。例年は浴びるように酒を飲む年越しでも、殆ど酒を飲まなかった(飲めなかった)。熱が引いても咳が残り、まともに喋ることが出来なかった。不本意ながら正月の夜も早々に寝たところ、体調はかなり改善した。さあ初年度一発目のブログ更新をしようと思ったら、サイバー攻撃によりGooBlogがダウンしていた。身体だけでなくブログですら脆弱だった。それでも1月2日は初詣の日である。少々遠いが、山形県鶴岡市の善寳寺に初詣に行った。商売繁盛を願い、毎年行っている。ついでにモノクロで写真も撮るの恒例だが、病み上がりにつき、今年はGRⅢを片手に持って歩くことにした。今後はこれで良いのではないか。GRⅢの存在感が日に日に増している。元旦らしい画像...GooBlogが止まった日に初詣に行った
昨日と今日の違いは僅かだけど、その僅かの違いをどこまでも積み上げて我々の人生は成り立っている。新年あけましておめでとうございます。今年が良き年となることを心から願っております。ちなみに本当のところ、この日の出は新年のものではなく、12月30日のものだ。丁度、大掃除で窓ガラスを拭いた後であり、取り切れていない汚れが見つかった。照らされて初めて分かることもある。ちなみに猫は今回の写真と同じタイミングで撮ったもので、同じ陽に照らせれている。人間にとっても、猫にとっても、健やかな一年でありたい。GRⅢ陽はまた登る、陽はまた照らす
折角、年末年始の休みに入ったのに、風邪でダウンしている。治ったと思えば、ぶり返して弱っている。とにかく安静にして人に伝染したりしないように気をつけている。猫は「寒いから風邪をひくんだよ。こっちでストーブにあたれよ」という。でも風邪の原因は猫に布団を取られてしまい、布団も掛けずに寝ていたからだと思う。僕は何故か年末年始に体調を崩すことが多い。風邪だとか、胃腸炎だとか・・・。年越しまでもう少し、不本意だけど静かに過ごすことにする。皆様も体調にお気をつけ下さい。X-PRO3/XF56mmF1.2RWR風邪と共に年末が迫る
岩手県西和賀町の「道の駅錦秋湖」である。近代的な道の駅ではなく、手作り感満載の道の駅である。規模も小さい。錦秋湖付近では、国道107号線が山肌を縫うように走っている。周囲には商店はおろか、民家も何もない。一時期、付近の道路は地震による地滑りで通行止めとなり、秋田自動車道の一部区間を迂回路として無料開放した。道の駅には岩手側からアクセス自体は可能だったが、その先は袋小路であり意味を成さなかった。其の為、仮設橋が完成するまでの11ヶ月間、道の駅の営業は休止された。自然が相手とはいえ、非常に気の毒な話である。さて、その「道の駅錦秋湖」に花巻に行った帰りに立ち寄った。本当に小さな道の駅だから特別な物は売っていない。でも正面入口から入ろうとすれば、嫌でも眼に入る「うめぇものあるど」のポップ。その下には幟が何本も立っ...ツキノワグマよ、錦秋湖を目指せ
それにしても酷いタイトルだ(笑)。今回、石鳥屋に来たのは久々の定点観測に加え、お酒を買うためである。石鳥谷は南部杜氏の里と呼ばれ、日本酒造りが盛んな町でもある。少し前にブロ友さんの記事を拝見し、七福神という酒を飲みたくなった。お正月用に購入した。こうなると「酒を買うことをダシに、街で写真を撮る」のか、「街で写真を撮ることをダシに、酒を買う」のか、自分でも分からなくなる。石鳥谷の町には清々しいほど誰も歩いていなかった。この町は亡き上原師匠推薦の町であり、ここに来るたびに僕は少し緊張する。もうフィルムカメラを使うことは滅多にないが、気持ちだけはネガフィルムに寄り添って撮影した。X-PRO3/XF23mmF2RWR石鳥谷で街撮りや
24日の午後から、今朝まで風邪でダウンしていた。コロナとインフルエンザは陰性。喉が痛くて飲み物を飲むのも辛かった。全快ならずも、今朝は大分マシになった。普段は珈琲を飲みながらブログをアップするけど、ホットミルク片手に更新している。さて、花巻編の最終回(作成済なのにアップロードする気力がなかった)です。僕は花巻の中心部を大きく3つに分けている。①駅前周辺、②市役所周辺、③マルカンデパート周辺、の3エリアである。本当は更に細分化しているので、いささか乱暴な区分けにはなる。でも大まかには3つだ。3つ全てを歩けば、丸一日コースとなるので、大抵は一つか二つのエリアを歩く。悪いことに気になる物件は均等に分散しており、①のエリアを歩いているときに、突然③のエリアの物件の写真を撮りたくなったりする。写真撮りにとっては幸せ...花巻温故知新(終)~エトセトラ、エトセトラ
ここも恋焦がれる花巻スポットである。街中のエアポケットのような立地にあり、いくらGoogleマップ(ストリートビュー)を眺めても決して検索することは不可能な場所だ。縁がなければ一生足を踏み入れることはないだろう。僕は何かの縁に導かれ、初めて花巻の街を歩いたその日、わずか十数分で此処に辿り着いた。それはちょっとした奇跡だと今でも思っている。小っ恥ずかしいけど、僕が花巻と恋に落ちた瞬間だった。初めて見た時点で、テル美容室は閉店してから長い時間が経っていることは明らかだった。それでも、その佇まいからすぐに分かった。少しだけ昔、お洒落な花巻娘(今では大々お姉様)は、この店に集っていた。新しい髪型、流行のセットをここで整えていたに違いない。花巻の流行はこの場所から発信されていたのだ。今では店は眠りにつくけど、往時の...花巻温故知新②~花巻モード
みな食堂(昨日掲載)に限らず、花巻には以前から気になっていて今でも変わらず気になっているものが多い。その幾つかを紹介しようと思う。まずは旧マルカンデパート近くの三田商店。地元民以外、この店に用事がある人はまずいないと思う。それでも建物の壁面に描かれたロートレックを彷彿されるペイントは誰の眼も奪う。一体何故、これを描いたのか。店主が本当は画家になりたかったけど家業を継いだ。その交換条件が壁面にペイントを描かせて貰うことだった、とか。まあ勝手に妄想を働かせている。マルカンデパートは廃業し(別形態で復活した)、周囲の建物も変化した。それでも花巻のロートレックは変わらずここにある。X-PRO3/VoigtlanderNOKTON23mmF1.2Aspherical花巻温故知新①〜ベルエポック
タイトルは、あの橋本真也の名言から引用した。僕がこういう言葉を使う場合、大抵それは店が廃業したとか、建物が解体されたケースになるが、今回違う。みな食堂で食事をしたという話である。みな食堂というのは、岩手県花巻市の食堂であり、食堂前の路地を勝手に「みな食堂の路地」と呼び、もう10年以上前から写真を撮っている。鉛温泉で泊まった帰路で立ち寄ることが多いので、時間が合わず一度も利用したことがない。そういうチャンスに巡り合っても、混み合って入店できなかったり、違う店に行ってしまったりしていた。みな食堂の近くにはライバル店(?)の高権という店があり、そちらに行ってしまったのである。その高権も閉店して久しい。そんなわけで、今回とうとう「みな食堂」に入店した。客は僕ともう一人だけだった。ラーメンと半チャーハン(更に少なく...時は来た、それだけだ〜みな食堂で過ごす時間
茶色とマゼンタが入り混じった光景が、東北の町には溢れている。一口に茶色といっても、そのバリエーションは実に豊富である。一つの物の色だってグラデーションのように色の幅を持っている。「◯◯色」と単純に言い切ることは出来ないし、10色の基本カラーで表現することも難しい。そこで今回の3枚の写真。どの部分を取るかで判断は分かれるだろうけど、一応はどういう色なのかを調べた。上から順に、①栗皮色、②土器色、③駱駝色、が最も近いようだった。カメラの設定や画像処理エンジンによっても異なると思う。ご注意戴きたいことは、街の色が豊富であることの例えで使った色名である。一般論でいえば、奥方やパートナーに向って「その土器色のセーター良いね」等とは言わない方が良いだろう。・・・。誰もそんな風に言わないか。X-PRO3/XF23mmF...土器色の愛しい人
東北では、特に北東北では基本的に冬季は傘を差さない。僕は不安なので常に傘を持っていくが、殆どの人は傘すら持たない。一つには傘があまり役に立たないからである。どっちにしろ雪を防げないし、傘自体に雪が積もって重くなる。視界が悪くて足下が危険だし、積雪で狭くなった歩道などでは行き違いも困難である。またもう一つには、そもそも外を長距離歩かないからでもある。クルマで目的地まで行き、駐車場から建物までは早足で歩く。かつての商店街にはアーケードなど屋根付きのものが存在したが、老朽化と共に消えていった。人々は郊外のショッピングモールに集中し、本来は便利だったはずの中心地の商店街は廃れていった。・・・。その辺の話は長くなるので割愛する。では傘を差さずにどうするかといえば、フード付きのダウンジャケットなりで歩き、建物に入ると...モノクロの街に雪が降る
ポール・オースターの「4321」を楽しんでいる。まだ3分の1くらいしか読んでいない。実はこの本は、どんな読み方をするかを自分で選ぶことが出来る。その仕掛けが分かったので、250頁くらいのところで最初の1頁に戻り、また読み直している。日曜日は可能であれば1日中読んでいたかったが、人類には読書をするうえで最大の敵、猫という存在がある。その敵は我が家にもいて、あの手この手で邪魔をする。テコでも動かなかったり、本を読み始めたり、飽きて寝てしまったり・・・。先日、猫がPC作業の邪魔をするという投稿をした。猫はそれ以上の熱意を持って読書の邪魔もする。日曜日は猫にとっては飼い主と遊ぶ日なのだから、仕方がない。果たしていつになったら読み終わるのだろうか。読書を阻止する者
昨年は記録的な少雪だった。個人的にも色々あり、雪の街を歩いて写真を撮ることは殆どなかった。今年度の冬季シーズンの始まりにあたり、手順確認を兼ねたリハビリ的な撮影を行った。色々なことを忘れていた。フードなしのダウンジャケット姿で、傘も持たずに歩いたので、早々にびしょ濡れになる。手袋もニット素材なので雪が染み込み使い物にならなくなった。歩き始めたときは薄日の刺す曇り空で、歩いているうちに雪が強くなった。レンズの前玉(フィルター付き)に水滴が着いたが、拭くものも持っていなかった。諦めてクルマに戻り帰りかける頃に、また薄日が差した。そんなこんなのすべてが懐かしい感覚だった。雪の街を歩く高揚感、冷たさ。それ故に感じる暖かい場所の有り難さ。数年前までは地吹雪が吹こうと町で撮影していた(嘘です、大げさに言いました)。今...東北の町には冬が似合う
秋田県横手市にて。とうとう雪が振り始めた。天気予報の大げさな報道については一家言持っているが、それは別の機会にする。横手市は豪雪地域である。本格的な積雪シーズンになると、街歩きは困難となる。今のうちに今年の撮り納めとばかり、出かけてきた。この写真は僕が勝手に「さばきの商店」と呼ぶ廃業した店である。「死後さばきにあう」のキリスト看板が目印だ。雪のなか、フィルムシミュレーション「クラシックネガ」で粒状度(強+大)で撮ると、表現のしようもない写りになった。これを若い人たちは「エモい」と言うのだろうか。多分違うな。X-PRO3/XF23mmF2RWRさばきの商店
先日、「こうはらの舞昆」のCMをテレビで見た。あまり(殆ど)テレビを見ないので、まさか大村崑先生が今でもCMに出演中とは知らなかった。調べたところ、御年93歳。この現役感はどういうことだろうか。時代感覚がバグってしまう。あ、大村崑先生はオロナミンCの琺瑯看板に写っているあの人です。オロナミンCの看板は昭和40年代から日本中に貼られているそうだ。つまり軽く50年以上、大村崑先生は日本中にその顔を晒し続けている。昭和40年代の時点で既にオジサンなわけで、その先生が今でもCMに出ているのは驚き以外の何物でもない。今年も昭和の大スターが何人も亡くなった。何ともいえない喪失感があるが、大村崑先生が健在であれば大丈夫。そういう気持ちになることができる。先生、いつまでもお元気で。X-PRO3/XF23mmF2RWR大村崑は不滅です
いつも拙ブログを拝見頂き、また沢山の応援クリックを頂きありがとうございます。誠に勝手ながら少しの間、当ブログは休止します。例によって意外と早く復帰するかもしれませんし、もうちょっと長く掛かるかもしれません。しれっと復活した際は(それが明日でも)、生暖かく見てやって下さい。大げさなことを書かなくても、ブログだから更新間隔は自由なので、告知は不要かもしれません。でも「天然松茸だよ!奥さん!」がトップページに居座るのも耐え難いし、「お前いつまで休むんだよ」とのメールも頂きましたので、お知らせします。可能なときは皆さんのブログは閲覧、応援クリックします。その間、皆さまが素敵な写真ライフ、ブログライフを過ごされることを!ではまた。追伸:このブログは僕の縮図的なところがあるので、更新されなくても「やめる=廃止する」こ...ブログ一時休止のお知らせ
岩手県の西和賀町、ほっとゆだ駅近くの商店にて。岩手県では松茸がよく取れる。花巻周辺の「小さな」温泉旅館では、松茸の土瓶蒸しが名物メニューとなっている。何故「小さな」を付けたかというと、どこからか大量に(かつ安定的に)仕入れるような類の食材ではないからだ。宿の親父が一子相伝の秘密の場所を持っているか、地元の松茸名人から買い付けるのである。大江戸温泉的な大型旅館で出すには馴染まない。今回は神社に参拝するために花巻に行った。行ったからには台温泉に宿を取った。神社に近い土沢の町と、大迫の町を歩いた。途中で何軒か農産物直売所とか道の駅を覗いてみたけど、「松茸」は売っていなかった。もう諦めた帰路、西和賀町で松茸を見つけた。二軒の店が並んでいたが、松茸は一軒の店だけで売っていた。正真正銘の西和賀産の松茸。店主は鼻高々だ...天然松茸だよ!奥さん!
諸条件によって異なるけど、町で写真を撮れば一日あたり大体300〜400枚以上の写真を撮る。土沢の町の写真も累計でいえば軽く千枚以上はあると思う。何のために撮るのか。正直、何のためということはない。ただ好きだから撮る。上原師匠は「可能であれば全部持ち帰りたいけど、それは無理なので写真に撮って持ち帰る」と仰っていた。僕は元々、昆虫採集の延長に写真撮影があると思っていたので、その言葉に激しくうなずいた。網で昆虫を取るように、レンズで写真を撮る。表現の違いはあれど、同じことだと思う。さて、一つの町で長い期間、写真を撮り続けることが増えた。町の中の特徴的な建物や施設が失くなっていく様もリアルタイムで見てきたし、これからも見ていくだろう。その町を離れた人から、「懐かしい」というコメントやメールを頂くこともある。大抵は...土沢AGAIN(終)〜記憶の管財人になりたい
AGAINどころか、もう何度目か分からない土沢の町である。実は丹内山神社(2日前に掲載)は、土沢の町から近い場所にあった。距離的には8〜9kmしかなく、クルマで行けば10分と掛からない。田舎の論理でいえば、目と鼻の先、否、同じ場所と言っても良いだろう。そんなわけで当然、帰りに土沢の町も歩いてみた。参拝以外は何もする予定はなかったけど、何だか急に忙しくなった。神様が、「お前はもう一度、土沢の町を歩け。そして町歩きを続けろ」と言ってくれているのかもしれない。僕は「東北コンプリート」と称し、東北六県の全ての市町村(旧市町村単位)で写真を撮ることを目指している。これまでに実に多くの町を歩いてきた。それぞれの県に、それぞれの特色があり、どの町が良いのかは簡単には言えない。断言できるのは、町の濃度で言えば岩手県の町が...土沢AGAIN①〜もう一度歩け
花巻の神社に行ったのであれば、当然温泉に立ち寄るべきだ。それが古からの習わしに違いない。花巻には「定宿」と称す鉛温泉があるが、この時期には「しっとり、ひっそり」した台温泉を愛でたくなる。嗚呼、台温泉。川沿いの細い道に何軒もの温泉旅館が軒を並べる。かつて存在した商店も飲食店も閉店し、温泉街には何もない。享楽目当ての観光客もいない。ただ静かな時間が流れる。台温泉のお湯は熱い。それは刺激的な熱さではなく、一度身体を沈めれば馴染む優しい熱さである。川のせせらぎ以外の音は存在せず、まるで胎内に籠もるが如く時間を過ごすことが出来る。この日、温泉街は秋色に染まっていた。ちなみに台温泉は袋小路状になったどん突きに位置する。その奥には行くことができず、そこに来た人は例外なく来た道を戻っていく。妙に安心するのは何故だろう。※...秋色の台温泉
いま僕には神頼みしたいことがある。神頼みだけで解決するとは思わない。それでも神様という神様にとにかく頼みたい。あらゆる機会を通じて祈りの時間を作っている。今日の写真は岩手県花巻市の丹内山神社である。奥州藤原氏(藤原清衡)が篤く信仰した神社だという。坂上田村麿とも関係(因縁)が深い。元々はアラハバキという土着の神様を祀ったものともいわれ、境内には数々の不思議な伝説が残っている。ガイドブック的なものには殆ど載っていないにも関わらず、東北最強のパワースポットとして注目されているそうだ。僕は「パワースポット」という表現があまり好きではない。祈りや信仰の場所を軽薄に扱う言葉のように感じる場面が多い。パワースポットという言葉自体ではなく、それを受け止める側の態度に問題があるのだと思う。でも幾つかの場所では表現のしよう...聖なる場所で聖なるものを見た
フィルム写真は殆ど撮らなくなった。一応35mmとブローニ(645と67)のカメラはまだ保持している(フィルム現像用具と引き伸ばし機もある)。いつか再開したいとは思っている。でも今やフィルムはかなり高価となってしまったので、どうなるか。フィルム撮影したものは殆どの場合、スキャナーで取り込んでブログに掲載したり、インクジェットプリンターでプリントしたりしていた。そのスキャナーも一般的なフラットベッドタイプからフィルム専用機まで、色々な機種を使った。直近ではエプソンのフラットベッドタイプを使っていた。先日、家の片づけをしていると昔の未整理のポジフィルムが出てきた。そこで久々にスキャンをしてみた。多分数年ぶりだと思う。何枚かは順調にスキャンできたが、ある瞬間に「プツッ」と電源が切れ、そのまま二度と電源は入らなくな...スキャナー逝く
「漁港の猫」は、当初は象潟漁港という場所で撮った猫の写真を掲載していた。でも最近では他にも数か所の猫漁港がある。今回は第二の漁港であり、たまたま近くを通ったので、少し立ち寄ってみた。なんか猫が増えていた。あまりよろしくない事態かもしれない。猫たちは総じて人間に親密だった(だから切ないし、良くないことを考えてしまう)。一方で猫同士の関係は微妙でもあった。黒い猫が2匹いて、どちらも人間には懐いている。というより一匹が異様なほど人間にすり寄ってくる。多分餌を貰えるのであれば独占しようと考えているのだろう。僕が動く度に付いてくる。一方で他の猫が僕に近づくと威嚇したりもする。黒猫(一匹)以外の他の猫達は仲が良さそうに見える。まあ僕は餌もおやつも持っていないので、早々に退散した。X-H2/XF56mmF1.2RWR漁港の猫〜微妙な関係
海は写っていないけど、季節外れの海岸にて。青空。紛うことない青空だった。X-H2/XF10-24mmF4ROIS青空
「建物インパクト」シリーズ、2回めにして最終回。今回は工場である。何の工場かといえば、路線バスの整備工場であり、しかも現役工場である。それにしては年季の入り方が違うと驚く。戦後すぐとは言わないまでも、「仮面ライダー」、否「明日のジョー」くらいの時代感に見える。正面側に廻れば多少は内部を除くことも出来ると思う。でもこういうものは、謎のままにした方が楽しいに決まっている。また街中でインパクトのある建物を見つけたら掲載したいと思う。LEICAM10MONOCHROME/SummicronM35mmASPH建物インパクト②〜工場の場合
名所旧跡でもなければ、文化財でもない。それでも何故か強烈なインパクトを残す建物がある。町で見つけたそんな建物をモノクロで撮ってみる。シリーズというほどではないけど、今日明日の2回掲載しようと思う。まずは元は商店だった建物である。現役世代の頃は知らない。でも今でも店舗の前にはタバコの自動販売機が置かれ、それはまさかの稼働中だった。この建物はカラーでも素晴らしい色をしている。それは色というより、積み重ねてきた年月が折なす彩の化粧という方がぴったりくる。もちろんモノクロで撮っても凄い。この迫力に気圧されつつ、いつも僕は撮影している。午後の光を浴びて、色濃い影を織りなす建物。生半可な気持ちでは対峙できない。キリスト看板が異様な存在感を発揮している。「さばきにあう」。さばきハウスと密かに呼んでいることは秘密にしてお...建物インパクト①〜商店の場合
秋田県美郷町の「道の駅美郷」である。すぐ南側に「後三年街道」が走り、横手市と接している。後三年の役の古戦場もすぐ近くである。また道の駅に隣接し、アウトドアメーカーの「モンベル」の大型直営店が営業しているなど、田舎の割に充実した地域でもある。さて、今回はここでランチを食べた。「みさとのごはん」という店で、文字通り「ごはん=米」を主役にしたレストランである。僕が注文したのは「釜炊き銀シャリ御膳」であり、一人用の釜でご飯を炊いて提供される。おかずは品数、ボリュームとも絞られているが上質なものだ。ご飯そのものの味を楽しめる趣向であり、足りない方には追加オプションも豊富にある。これで確か950円だったと思う。僕は通常の味噌汁を、300円払って芋の子汁にアップグレードした。米は「秋田こまち」と「サキホコレ」を選ぶこと...とにかく米が美味しいレストラン
結果的には単に公園を歩いたという記事である。でも以下のように本来はカワセミ探鳥目的だったのである。僕が毎日拝見しているブログのなかで、カワセミの撮影をライフワークにしている方がいる。それはもう見事なカワセミの写真が連日掲載され、感嘆しながら拝見している。僕には同じことは到底できる筈もなく、そこに至るまでのプロセスを考えると尊敬の念しか湧かない。そもそも僕は撮影どころか、まともにカワセミを見たことがないのである。昔、京都嵐山近くの沼で数時間張ったことがあるけど、見つからないし、飽きるし、お腹は空くし、トイレにも困るで、もう二度と挑戦しないと思ったものだ。今回は秋田県某所の公園内にカワセミがいると聞き、見に行った。一応大きな望遠レンズも持参し、可能であれば撮影はしてみようと考えていた(まともな写真をすぐに撮れ...幻のカワセミ探鳥記とハンチング帽
今年は全国的に熊の出没が多く、かつてないほど人的な被害も多い。僕が住む秋田県も同様である。幸いなことに、僕は熊に襲われそうな状況になったことはない。でも実感として今年の状況を考えると、ある日突然襲われるても不思議ではなくなった。ツキノワグマによる被害は枚挙に暇亡く、毎年のように死者だって発生している。それは、山菜やキノコを採るために山奥に入るような、どちらかというと熊の生息地に人間が入っていくケースが多かった。あるいは山里での農作業など、人間と熊の活動領域の境界線で発生している。逆にいえば、熊の出そうな場所に行かない限りは起こりえる可能性は極めて低かった(熊の出そうな場所に行くことを否定しているわけではありません)。ところが今年は様相が全く異なる。これまでも多少は市街地に入る熊だっていたとは思う。今年はそ...熊、やばいです
引き続き料理修行は続いている。「うちのごはん」シリーズのような専用合わせ調味料があるので、どうしても中華料理が多くなる。揚げ物はできないので、炒めもの中心となり、煮物を始めたばかりといった具合だ。先日は合わせ調味料を使わず、豆板醤とか甜麺醤を自分で合わせて麻婆豆腐を作ってみた。正直微妙な出来だった。近いうちにリベンジしたい。これからの季節に向かい、栄養バランスが整い、免疫力をあげる料理を作りたい。市販の合わせ調味料に慣れきる前に、野菜の切り方や、食材の処理(洗う、切る、)、調味料の使い方などの基本を習得していこう。そのうえで時短のための方法(冷凍野菜など)を模索していきたい。まだiPhoneで記録写真を撮っているだけだが、最近の料理はこんな感じです。左上から「豚肉とニラの卵炒め」、その右が「ペペロンチーノ...料理修行は続く
一応断っておくと、僕の体調は問題ありません。血圧が若干上昇気味だけど、他はコントロール出来ていて、服薬ゼロが継続している。いまのところ病気が再発する気配もない。それでも生活全般に眼を向ければ、自分ではコントロールできない物事は余りに多い。途方に暮れることだってある。そんな時、猫がいつも通りの平常運転をしていると、それだけで嬉しくなる。X-H2/XF35mmF1.4Rいつも通りで有難う
裏庭で彼岸花が咲くことがある。位置を微妙に変えながら咲いたり、咲かなかったりを繰り返している。5年以上咲かなかったこともあれば、連続で咲いたりもする。拙ブログで確認したところ、直近では2020年、2021年と連続して咲いている。昨年は咲かなかった。そして今年2023年には開花した。それは良い。問題はそのタイミングであり、不思議なこともあると思っている。この3回の開花はすべて、僕が他の場所で彼岸花を撮影した直後に開花しているのである。もっといえば、それまで咲く気配すらなかったのに(見落としていた可能性もある)、撮影から帰った当日または翌日に裏庭で開花するのである。極端なケースでは僕が他で撮影している最中に、家人から「裏庭で彼岸花が咲いた」とメールが来たこともある。同じ花が同じ時期に咲くのは当然ではある。それ...彼岸花の怪
大した内容のない中途半端な能書きを垂れている今回のシリーズ(二作)も終わりとなる。要は商店街の一定範囲を往復する30分ほどの時間に、写真を撮りながら思ったカメラの設定の話である。極論すればどちらでも良い事柄である。そのどちらでも良い事柄を重大事のように語るのが写真ファンのお約束ムーブだ。以下、とくに役にも立たないので、読まなくても問題ありません。X-H2では、フィルムシミュレーション「クラシックネガ」は殆ど使ったことがなかった。本格的に使うのは今回が初めてだ。同じクラシックネガでも、X-PRO3の描写とは異なる部分もある。センサーが違うから当たり前ではある。中判のGシリーズで撮るクラシックネガを見ると、X-PRO3と比べ余裕のある描写で驚いたことがある。それに比べれると、PRO3の描写はピーキーになる。X...地方都市の旧市街(終)~クラシックネガに戻る
X-H2を購入以来、色々な場面で試してきた。結論からいえば、町の写真を撮る際は、今後もX-PRO3かライカM10モノクロームを使いたい。レンズはやはり単焦点レンズということになる。そうなるとX-H2を使う場面は減ってくると思う。猫とか風景とか、それくらいだろうか。それでも久しぶりの一眼レフスタイルのカメラを楽しんではいる。ところでX-H2には、X-PRO3にはないフィルムシミュレーション」が幾つか搭載されている。その一つが「ノスタルジックネガ」である。ネガフィルムを思わせる描写で、乱暴なくらい大雑把にいえば、クラシックネガは「彩度は低くて硬調」な表現であり、ノスタルジックネガは「彩度が高くて軟調」の表現となる。今回は秋田県の大曲(花火で有名な町)の旧市街で、両者を使い分けて撮影した。・・・。本当のことをい...地方都市の旧市街①〜ノスタルジックネガの描写
京都旅行という例外があったものの、基本的には遠出を控えている。その分、身近な自然に接する機会が増えている。この日見つけたススキは美しかった。残念ながら、その美しさをうまく写真に収めることは出来なかった。こういう機会に自然美に対する感度を上げていかなければと思う。考えてみれば、ススキとは不思議な植物だ。日本全国津々浦々に生えている。珍しい植物ではないし、希少性とか神秘性みたいなものも感じない。誰もが知っている植物なのに(が故に)、普段は特に意識することもない。それが秋の一時期だけ、斜光を浴びて黄金色に輝き出す。時に息を呑むほど美しい瞬間もある。その昔、広い草原で、どこまでも黄金に輝くススキの群れを見たことがある。あれはどこだっただろうか。場所は忘れたが、その光景だけは覚えている。あれをもう一度見てみたいもの...小さな自然〜ススキについて想う