【速報】Twitter社が全ツイートにアクセスできるAPIをベンチャーに開放!その真意を探る
日本時間の3月2日6時に発表されたほやほやのニュースをひとつ。
Twitter社が自社ブログにて,一部ベンチャー向けにFirehose(ツイッターが蓄積している全ツイート,ただしダイレクトメッセージを除く)にアクセスできるライセンス契約を7社のベンチャー企業と締結したことを発表した。
・ Enabling A Rush of Innovation (Twitter, 2010/3/1)
このFirehoseを現在利用できるのは,Google,Microsoft,Yahooの3社のみ。3社合計で推定約30億円という巨額な年間ライセンスを支払うことでTwitter社から得た権利だ。
それに対して,新たに契約したと発表されたベンチャー企業は次の7社だ。
いずれも,Twitter APIを利用して検索を核に独自のアプリケーションを提供しているベンチャー企業(Chainn Searchはサービス準備中)である。
これらの企業とTwitter社が締結した契約内容はオーブンにされていないが,Twitter社は新しいイノベーティブなTwitterエコシステムを創造することが目的だとしている。
従来のTwitterAPIでは,1時間あたり150回までしかAPIを実行できない,1アカウントあたり最新3200ツイートまでしかアクセスできない等の規制があり,それがアプリ共通の制約になっていた。この7社は,5万種類あると言われているTwitterアプリとはレベルの異なる,リッチなアプリケーションを開発できることになる。
そしてこの狙いが近日登場するであろうTwitter広告と関係しているのは間違いないだろう。
・ 広告も140文字以内に=Twitter広告の概要明らかに (Tech Wave, 2010/2/27)
Googleは検索キーワードに関連する広告を検索結果のページに表示するが、Twitterも同様に検索の結果にのみ広告を表示する考えのようだ。(中略)
TwitterはこうしたTwitterクライアント向けにも検索結果上の広告の「つぶやき」も流す考え。ただこれを表示するかどうかはTwitter クライアント側の判断になる。広告の「つぶやき」を流した場合は、広告収入をTwitterとTwitterクライアント側で分配する契約になるという。(中略)
ただTwitterの検索機能は、現状では使い勝手が非常に悪い。単にキーワードで検索できるだけで、検索結果の表示速度もあまり速くない。Googleのように過去の検索履歴を基に、検索結果を個人個人にパーソナライズされるようにはなっていない。検索結果に広告を掲載するのであれば、検索機能の改良が不可欠だろう。
示唆に富むTech Wave記事から抜粋させていただいた。湯川氏の洞察の通り,Twitter社自身もプアな検索機能に問題を感じているはずだ。また検索こそ広告価値を最大化するキラー機能であり,その部分をエコシステム全体として強化し,パートナーと利益シェアするビジネスモデルを構築するのが目的だろう。
おそらくGoogle, Microsoft,Yahooのように独自の広告配信システムを持つ企業には巨額の年間ライセンスで提供し,有望なベンチャー企業とはレベニューシェアの形態で提供するという二段構えでTwitterワールドを拡大する目算ではないか。
なお,Twitter社は,興味あるベンチャー企業に次のようにオファーしている。
If you think there may be a potential partnership involving access to the Firehose, let's start a conversation. Our email is api@twitter.com.
日本は全ツイートの14%を占める世界第二位のツイート大国だ。しかも成長率は世界トップだ。日本の若きベンチャーもぜひこのTwitterエコシステムに参加し,この巨大なビジネスチャンスをゲットしてほしい。
【参考カテゴリー】
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