【イベント参加者募集中】
CIGS 山下一仁研究主幹 講演会
「食料安全保障のために国民は何をすべきか?」

開催日:2025年1月23日(木)15時~17時
場所:一橋大学学術総合センター2階 一橋講堂

伝統的友好国とは何か

宮家邦彦のWorld Watch

-役員室から-

技術こそが環境問題を解決する 合理的な環境主義 エコモダニズムの思想

【動画】杉山大志_キヤノングローバル戦略研究所

アメリカの選挙制度の不思議、選挙人団(前編)

シリーズ:アメリカ政治、選挙をリフレーミング④

外交・安全保障グループ 公式ブログ

外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

CIGS関連出版物

研究者著作
食料安全保障の研究:襲い来る食料途絶にどう備えるか

食料安全保障の研究:襲い来る食料途絶にどう備えるか

山下 一仁 著

【著者から】
このたび『食料安全保障の研究』を日本経済新聞出版より刊行しました。
台湾有事が懸念されるなど、我が国周辺の国際情勢は混迷の度を強め不確実性を増しています。食料の輸入途絶を真剣に心配せざるを得なくなりました。
食料安全保障は、私が農林省に入省した主な動機でした。農政の目的を農家所得の向上とする人が多いのですが、私は国民への食料の安定供給が農政の第一の目的であるべきだと思います。しかし、現実の農政は国民の利益を離れ、私が農政トライアングルと呼ぶ一部の既得権者の利益のために実施されています。
農政トライアングルは、食料安全保障や食料自給率の向上を農業保護や予算の確保のための口実として利用してきました。このため、農政には無理な主張や矛盾が多くなっています。水田を水田として利用するから水資源の涵養などの多面的機能を発揮できるのに、水田を水田として利用しないことに(減反)補助金を払うなどは、その一例にすぎません。
食料輸入が途絶して国民が飢えるという事態の下では、米の減反など直ちに廃止されます。しかし、危機が発生してから全ての水田に米を作付けしても収穫は1年以上後になります。今の米の生産量では国民は危機が発生してから半年以内にほとんどが餓死します。
さらに、仮に今減反を廃止することができたとしても、危機が長引けばより困難な問題に直面します。本書では日本が経験した戦中・戦後の食料政策を分析するとともに、それを参考としながら、現状においてどのような政策をとるべきかを危機の段階・局面に応じて検討しました。
私は令和7年3月当研究所を去ります。本書は完全なものではありませんが、キヤノングローバル戦略研究所におけるこれまでの私の研究や活動をまとめたものです。残念ながら現実の農政は世界の農政の潮流からますます遠ざかり、減反・高米価、農協法、農地法という農政のアンシャンレジームは、綻びを見せません。これが将来我が国民に多くの禍をもたらすことを心配します。