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大人と子どもに「マシュマロ・チャレンジ」という工作課題をやらせると、幼稚園児の創造力はCEOよりも優れている。イノベーションに取り組むリーダーが、忘れていた創造力を取り戻すにはどうすればよいか。アンソニーは「未知の経験」と「人脈の多様化」を勧める。
部屋には30名の人々がいて、6つのチームに分かれている。各チームには次の物が配られる――スパゲッティの乾麺20本、90センチのひも、粘着テープ、マシュマロが1つ。そして18分間で、頂上にマシュマロを載せたできるだけ高い自立式の構造物を作る。これが「マシュマロ・チャレンジ」として知られる演習だ。多くのデザインスクールで必須の課題となっており、ラピッド・プロトタイピングの意義を教えるにはうってつけの方法である。そして当社イノサイトでは、これはリーダーシップ開発のワークショップに欠かせないものとなっている。その理由を説明しよう。
オートデスクの特別研究員トム・ウージェックは、TEDでの7分間の見事なプレゼンで下図のデータを紹介している。これを見ると、演習における塔の高さの平均は約20インチ(50センチ)だが、ビジネススクールの生徒の成績はそれよりも格段に低い。
私はその状況を直接見たことがある。部屋に集まった初々しい顔の大学院生たちは、まず最初の数分間でチーム内での支配権を得ようとする。やがて誰かがリーダーとなり、次の数分間は作戦会議に当てられる。そして残り時間が8分をきる頃、塔の作成が始まる。残り1分というところで、きれいに建てられた塔の頂上に誰かがマシュマロを置き……そして崩れてしまうのだ。
MBAの学生たちがぱっとしない一方、幼稚園児たちの成績は平均以上だ。幼い3人の子の父親として、私はこの結果にまったく驚かない。子どもたちは躊躇せず、ただ試してみる。それがうまくいかなければ、また別のことを試す。もちろん、チームが混乱状態に陥ることも時にはある(私の6歳になる娘ホリーの担任の先生は、チームにマシュマロを何個でも与える。1つだけ渡すと、塔が完成する前に誰かが食べてしまうかもしれないから)。だが、子どもたちの成果には目を見張るものがある。
このデータから得られる教訓は何だろうか。私たちは皆、創造性と好奇心を生まれつき持ち合わせている。しかし多くは、学校教育を受けるにしたがって、または会社組織で上へと進む過程で、規則的にそれらを忘れていく――こう結論づけざるをえない。