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戦略的カテゴリーへの経営資源配分

楢村 文信(StratModel)
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iStock/da-kuk

 戦略策定のためのターゲットショッパーの設定、そして前回は競合について紹介してきた。今回はそれらの内容も交えた「戦略的カテゴリーの設定と経営資源配分の考え方」を紹介したい。

 日本でどう実行するかは前々回、前回でもデータの問題などがあることに触れたが、まずは教科書に沿いながら整理していきたい。

優先カテゴリーは何か?

 ここでは戦略立案の流れとして、いったん決めたターゲットショッパーに対して戦略的なカテゴリーは何かを検討する。戦略策定のアウトプットの一つは、自社が競争上のエッジとするカテゴリーを決めることである。まずどこのカテゴリーが実際に購入されているのかを、市場と自社の観点による分析から行う。

 戦略的に優先するカテゴリーの候補を絞り込む分析軸として、「世帯当たりの支出額」と「購買頻度」(≒訪店頻度)を使う。顧客を取り込むという観点では必然的に頻度が高く、かつ支出額の大きなカテゴリーが重要カテゴリーとなる。

 日本の場合は生鮮3品が上位に来ることが多いが、ここで考えるのは顧客の来店動機(目的)となるカテゴリーを決めることであるので、生鮮3品よりも少し細かいレベルで考える必要がある。

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顧客の来店動機(目的)となるカテゴリーを決める際、「世帯当たりの支出額」と「購買頻度」でみると日本のSMは生鮮3品が上位に上がることがほとんどだろうが、生鮮3品よりも少し細かいレベルで考える必要がある。たとえば生鮮とセットで購買されるものも検討対象に含める必要がある ※写真はイメージ(Yagi-Studio/iStock)

 生鮮も重要だが店舗が密集した商圏では、「生鮮はあの店で、加工食品は近くの別の店で」となってしまう。生鮮とセットで購買されるものも検討対象に含める必要がある。また近年、自宅で調理をしない層も増えており、場所によって生鮮の重要度は低くなるケースも考慮してほしい。

 教科書では、カテゴリーの平均支出と購入頻度について、市場と自社との比較をターゲット顧客レベルで行い、そのギャップから重要カテゴリーを決めるとしている。単純なモデルでいえば、ターゲットショッパーの支出規模の大きなカテゴリーで、自社顧客の購入頻度が市場より低ければ戦略的にこのカテゴリーの強化をまず考えるべきであるとなる。

 しかし、比較する市場の範囲の広さによって、自社の購買状況とのギャップが生じることを考慮しなければならない。先ほどの例で考えるなら、生鮮3品において、ある地域では豚肉の支出が多く購入頻度も高く、根菜の支出も多く頻度も高い。

 だが、自社の都心の店ではこれらが低いとしよう。考えられるのは調理品や総菜への支出が多い、家で調理をしない層が主要顧客である可能性だ。

 表層的な平均データの罠に陥らないように、最終的には「生活」という視点からショッパーを理解する必要がある。筆者の小売時代の経験でも、実際に消費者モニターの自宅を訪問し、長時間一緒に過ごしながら生活スタイルと購買活動の関係を理解するための調査を行った。

多角的な評価から優先カテゴリーを決定

 候補となるカテゴリーを絞り込んだら、それらを再度多角的に評価する。評価軸は、

#1 市場でのそのカテゴリーのパフォーマンス

#2 自社におけるそのカテゴリーのパフォーマンス

#3 ターゲットショッパーのカテゴリーの利用状況

 の3つである。

 ここでのゴールは、顧客獲得・維持のためにどのカテゴリーに優先的に注力をして、どのぐらい伸長させるかを決めることである。一つずつ前述の評価軸ごとに指標を整理するが、最終的に注力するカテゴリーは自社の売上構成比の10%を目安とする。細かい分析を行っていくとどれも大事に見えてくる。

 そこで、

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