概要
機動戦士ガンダムUCにてフル・フロンタルが語ったサイド、スペースコロニーの経済圏構想。「コロニー共栄圏」ともいう。
地球の経済活動がスペースノイドへの依存に成り立っていることを逆手にとって、ジオンが統括した月とサイド1からサイド7までの7つのサイドを中心に地球を排除した経済圏を確立させ、それによる地球連邦政府の孤立と衰退を目的としていると言うかつてのジオン・ズム・ダイクンやザビ家、ネオ・ジオンなどでさえも思いつかなかった構想と言える。
ジオン共和国が自治権を放棄する宇宙世紀100年間近である宇宙世紀0096年のアースノイドの総人口は約20億人とされているが、地球単体ではアースノイド達の生活を補うことは非常に困難を極めていた。そんな中で連邦政府がスペースノイドの自治権を認めてしまったら、宇宙と地球、スペースノイドとアースノイドで主従関係が逆転してしまうとして自治権を認めることをしなかった。
モナハン国防大臣はこの構想の中心足り得るのは曲がりなりにも連邦政府から自治権を与えられたジオン共和国であると考えていた。袖付きとその首魁であるフロンタルがラプラスの箱を求めていたのも、このサイド共栄圏構想を実現させる時間稼ぎとして、連邦政府にジオン共和国の自治権返還延長の交渉カードとして利用する為であった。
話だけ聞けば宇宙移民者の独立の手段としては効率的かつ効果的な手段ではある。しかし仮にこの経済圏構想が実現した場合もアースノイドが自活していく為にかつての西暦時代のように地球の再開発を加速させる事が予見されている。また、貧困の中で育ったアースノイドの中にはやがてスペースノイドへの報復を考えるのではないかという危惧が成されており、調和も革新もなく弱者と強者が立場を入れ替えながら争いが続く未来を創るとして、ミネバ・ラオ・ザビは、フロンタルの口から語られたこの構想を否定。バナージ・リンクスもまた「空っぽ」「他人事のよう」と断じている。
実際この構想でスペースノイドの自治権が確立したとしても各サイド同士が手を取り合えるかどうかは疑問が残るところであり、そもそも一年戦争を引き起こしたジオン公国の後継国であり、国力が少ない一国家に過ぎないジオンに全てのサイドやコロニーを統括するなど土台無理な話である。
ラプラス事変後もモナハンはこの共栄圏確立を諦めてはおらず、地球連邦の「不死鳥狩り」作戦に極秘裏に介入し、それを嗅ぎ付けたミネバらと腹の探り合いを展開している。
そしてジオン共和国は予定通りに自治権を放棄したが、その後のコスモ・バビロニア建国戦争を契機にコロニー毎の自治権が有耶無耶の内に認められ、連邦政府もフォン・ブラウンに遷都。これによって地球が政治的・経済的な中心地でなくなり、結果としてこの構想は形骸化してしまった。