梅ちゃん

北斗 -ある殺人者の回心-の梅ちゃんのレビュー・感想・評価

北斗 -ある殺人者の回心-(2017年製作のドラマ)
4.0
艱難の旅路の果て、ようやく手にした幸せが失われた時、沸き立つ感情は彼の身体を突き動かし、凶行へと駆り立てる。

両親から激しい虐待を受け、誰にも抱きしめられることなく成長した少年 端爪北斗。
父の死をきっかけに、心ある里親に引き取られ、そこで初めて愛を知る。
その後、病に臥せった里親の死のショックと、その末期を汚した詐欺師への殺意から、北斗は無実の二人の命を奪うこととなり、裁判で極刑を求刑される。
〈IWGP〉の石田衣良による犯罪小説をWOWOWがドラマ化。
2017年60分×5話🇯🇵

【キャスト】
中山優馬
伊藤沙莉
宮本信子
村上淳
中村優子
松尾スズキ

伊藤沙莉さん目当てでのチョイスでしたが、主演の中山優馬くんの鬼気迫る演技がとにかく凄まじかった。

20日で12キロ減量というストイックさも、獄中にある北斗の迫力を増していた。

なお、U-NEXTのサムネイルは、父親にドライバーで×を刻まれた額の痕が痛ましい顔面のアップ。これは脳裏に焼き付く。

序盤の殆どを占める虐待シーンは、毒親役、村上淳さん、中村優子さんのメンタルが心配になるほど真に迫っていた。余りに惨く、目を背けたくなるシーンの連続に、言葉を失う。

宮本信子さんは里親として北斗への無償の愛を体現。そこにリアリティが伴っているからこそ、後半の北斗の凶行に説得力が増している。さすが大御所の仕事です。

お目当ての伊藤沙莉さんは三話からお姉さんポジションとして参戦。モンスター級の愛嬌を封印し、大人びた雰囲気で必死に北斗の死刑を回避しようと奔走する様がいじらしかった。文字通り全身全霊で北斗を愛そうとする姿には涙。

如何に悲惨な生い立ちであろうと罪は罪。必ず贖わねばならない。

松尾スズキさん演じる人権派弁護士が後半言及していたけれど、死刑制度の是非について考えることを促しつつも、僕らの生活の延長線上に存在し得る、辛く悲しい物語でした。

なお、亀梨和也くんの〈正体〉同様、ズバッと切れ味の良いエンディングは好みです。