キャストに惹かれて観ることに。
彷徨える魂たちの物語
幻想奇譚というのはこういうものを指すのでしょう。
本来は苦手分野なのに、不思議と今作は見入ってしまいとても魅力を感じたし響くものがありました。素敵でした。
佐渡の美しい風景を存分に使った美しい映像と、厳かな能の舞・危うげな少年の粘っこいフォルム・長い坑道・長いトンネル・合わせ鏡の中のように永遠に続くように見える廊下
キイ、アカ、クロ、ミドリ、アオ、ムラサキ………と名前がない彼らの存在
記憶のない二人
残っているような気がする淡い記憶
それを微かな拠り所に一緒の時を過ごす。
二度は死ねない
猫すら死ねるのに死ねない二人。
館長は使者なのか
爛れた男はアオの行く末なのか
この世には
彷徨える魂が
ここかしこに
いるのだろう
松田龍平と小松菜奈が演じた二人の淡く不確か不安定で不思議な存在が絶妙でした。
対照的なのが大竹しのぶと田中泯の納得の存在感
そして強烈に印象的だったのが、透を演じた片岡千之助(素敵だった………)とその母役内田也哉子(どんどん母君に似てこられた)。役名がちゃんとある二人の役割とそこに描かれた現実。
全てひっくるめた構成が見事だと思いました。上手い。
最初と最後に同じシーンで二人が着ているブラックコートが素敵だった………。衣装であざとくならずにあの幻想的な雰囲気が出るの、素晴らしい。
音楽はちょっと意外な野田洋次郎
奥行きのある厳かな雰囲気もでる綺麗な劇伴でした。
富名哲也とプロデューサーでありパートナーの畠中美奈は覚えておこう。