Piroshi

スター・ウォーズ/フォースの覚醒のPiroshiのレビュー・感想・評価

4.2
「フォースの覚醒」を最初に見た時、こんなことを思った。

「なんでガンダムみたいなことしてるの?」

ガンダムは21世紀に入ってから、TVシリーズと映画で2回、最初のガンダムをなぞりなおしている。
「機動戦士ガンダムSEED」と「機動戦士ガンダムUC」だ。
どちらも最初のガンダムとほぼ同じ話を、新しい舞台と新しい登場人物で描きなおしている。

そして大成功した。
この2作品は、数あるガンダム作品の中でも最も成功した2作品だ。

なぜか?

初代こそが本質だからだ。

ルーカスからスターウォーズも任されたJ.J.エイブラムスも、同じ結論に達したに違いない。

「初代こそがスターウォーズなのだ」

スターウォーズのテーマを最もうまく表現した物語がエピソード4であり、小賢しいオリジナリティを発揮したところで、初代を超えることはできない。必要なのは愚直なまでの神話の語り直しであり「フォースの覚醒」は、まさしくその考え方の具現化だ。

新しい三部作の幕開けでありながら、
見慣れた宇宙船、馴染み深い惑星、そして原点回帰を強く意識させる物語がそこにはある。レイア姫、ハン・ソロ、チューバッカといった旧世代の英雄たちが再びスクリーンに登場し、新たな世代の主人公であるレイ、フィン、カイロ・レンが彼らと出会い、成長していく。

(旧世代の英雄が若干ダメっぽいのも「ガンダム」っぽい)

エピソード7は創造的ではない、みたいな意見は無視していい。原点には本質がある。若者たちが最初に見るスターウォーズは原点でいい。
2030年代になったら、またエピソード4の語り直しだ。

(エピソード10に相応しい物語を開発できなければ、世代が一巡するのを待って、エピソード4をやればいい)

偉大な物語を継承していく上で、原点回帰という手法は非常に有効な手段だ。なぜなら原点回帰は、単なる焼き直しではなく、新たな解釈を加えることで、作品に新たな命を吹き込むことができるからだ。

神話とはそういうものだ。
口伝を経るたびに、ストーリーが磨かれ、より面白いものになっていく。

レイ、フィン、カイロ・レンの3人は、ルーク、ハン・ソロ、ダース・ベイダーと似ているようで、違う。そこが新しい物語になる。エピソード7の路線で8、9を作っても良かった。

エピソード8みたいに破壊的なものにする必要はなかったのだ(挑戦する姿勢は常に必要だが、他のタイトルと違い、失敗したからといって「なかったこと」にできないスターウォーズのナンバリングタイトルでそれをやるのはチャレンジブルすぎた)。

ガンダムがもっとメジャーだったら、ケネディ社長もケーススタディとして得るところがあっただろうに……。

というのは冗談だが、「ガンダムUC」で語り直しに大成功した福井晴敏さんも「ヤマト2202」では大炎上しているので、神話の再生とは、ことほどさように難しい仕事なのだな、とは思う。
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    No Movie, No Life. レビューというより、感想文です。 映画を観て感じたことや正直な気持ちを、素直な言葉で記すことができたらと思っています。 よろしくお願いします。