めっっちゃいい。松本大洋大好き。どれくらい好きかというとインスタのプロフィールをピンポンのスマイルにしているくらい好きなわけで、当然この作品も好き。
物語の主人公は二人、クロとシロ。子供ながらにしてホームレスのような生活をし、スリを生業にして生きている。
クロは主にシロのお世話役と生活費稼ぎ。いうなれば、「黒」といった闇の部分であるので殺し、強盗、全然できちゃう。そしてこの幼さにして生きるということに絶望しておりどこか達観している。物質主義が蔓延した世の中で、誰にも気づかれずに育ってしまった。遊園地で家族連れが遊んでいるシーンでは、彼らと黒を比較してしまい
、悲しい気持ちになった。
シロは純粋で正直。こいつ、めちゃくちゃかわいい。びっくりするくらいかわいい。なんか今思い出しながらでも自分からセロトニンが出ているのを感じる。そんな守りたくなってしまうような存在。
以上のように、この二人は正反対である。そしてクロがシロのお世話をしているというところから、シロがクロに依存しているかと思いきや、逆の依存関係もある。シロが入院をしたとき、クロは意気消沈し、離れてしまったときには精神を崩壊してしまう。そして「イタチ」というさらに深い部分の闇に飲み込まれそうになってしまう。しかしそんな時、彼を引き留めてくれるのはシロであった。彼の純粋さ、いわば「善」の部分に救われるのである。
私たちの感情に、「善」と「悪」などといった白黒はっきりしたものは存在しない。グレーの部分も必ず存在するはずなのである。それをこの物質主義が蔓延した近現代を舞台に非常によく描かれていると感じる。
そしてなにより、アニメーションが素晴らしい。驚くほどの滑らかさ。20年前知覚の作品とは思えない。アジアの文化が混合した街を素晴らしく、開始5分でこのアニメの世界観に巻き込まれた。
しかし、少し難解な部分があることも事実。自分の中でかみ砕けてない部分も多いので4.7というところ。