監督であるサッシャ・ギトリが自分の名前をホワイトボードに書き、それが逆再生で消えていきます…コクトーの作品によく似たスタート…。
タイトルクレジット、制作スタッフや俳優の紹介も斬新で遊び心がいっぱい…かなりお茶目な監督さん…。
カフェのテラスで回想録を綴る男(サッシャ・ギトリ)…今作面白いのは、ほぼ無声映画に監督自身がナレーションで語る異色作品…。
このナレーションが実に流麗で魅力的…ギトリの活弁の巧さはまるでフランス版の落語のようです…。
雑貨屋の子供だった主人公…12歳のある日、ビー玉が欲しくて、店のお金を盗んでしまいます…。
父に見つかり、夕食は…お・あ・ず・け!!
翌日…12人家族のうち主人公を除いた11人が亡くなります…(「๑•₃•)「 ʷʱʸ?
死因は毒キノコ…昨夜の夕食です…ს
« Oui, j’ai dès vivants parce que j’avais volé de la conclure !! »
僕が助かったのは盗みのおかげ…!!
その後青年に成長した主人公は職を転々としますが…行き着いたところはモナコのカジノ…。
« Ah, ce casino!! Il a l’air d’une gare où l’on délivrerait de billets que pour des directions inconnues. »
カジノよ!! …
行き先の分からぬ切符を売る駅のようだ…。
彼はカジノでディーラーとして勤めることになり…イカサマに手を染めます…。
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今作はひとりの男の数奇なピカレスク人生の回想録…歳上の伯爵夫人とのアヴァンチュール、同性愛、戦争、金儲けの為の契約結婚…そしてイカサマにギャンブル…。
鏡を使って魅せるイカサマのトリックも面白く、時計の演出もとても粋…。
表現主義的な映像手法もあったり…監督の妻でもある女優ヤクリーヌ・ドリュバックのやたら多いアップの映像…クルクル変わる変装で画面に向かってのウィンク…などなど趣向を凝らした映像は飽きません…。
オーソン・ウェルズ『市民ケーン』にも影響を与えたそうです…。
軽妙且つテンポよく進み、少年期の主人公を演じたセルジュ・グレイブのとぼけた表情にも終始ニヤニヤしちゃいます…公証人の意地悪おばさんには《べーっ!!》…ฅ(ʘ̅ʘ̅)ฅ
辛辣な皮肉もサラッとユーモアに変えるギトリのナレーション…オチも洒脱です…ෆ*