真魚八重子さんの映画レビュー・感想・評価

真魚八重子

真魚八重子

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近畿地方のある場所について(2025年製作の映画)

4.3

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あの散文調の原作を、主役を二人立てることで見事に一本のドラマ仕立てにしている。さすが手練れの白石晃士。原作のオムニバス的な魅力も様々な映像を駆使することで、きちんと活かしているのも感心した。ましらさま>>続きを読む

ムーンハート(2021年製作の映画)

-

無声映画。シニカルな要素があって救いもないが、どことなくユーモアを感じる。主演の女優さんが素晴らしい。仕事で観たけど拾い物だった。

パルテノペ ナポリの宝石(2024年製作の映画)

2.5

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主人公の女性が鑑賞物という、他の人の感想と印象は同じ。男性の老人たちとヒロインの関係性も、男性の理想過ぎないか。老いが見える女性の醜悪さに比べると男性に優しすぎる。ソレンティーノの何を訴えようとしてい>>続きを読む

バレリーナ:The World of John Wick(2025年製作の映画)

3.3

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ジョン・ウィックの荒唐無稽な殺し屋の世界観に、ついていっている人は面白いと思う。才能のある女性が殺し屋デビューする。彼女は殺された父親の仇を見つけるが、それは自分が所属する殺し屋グループと、休戦の取り>>続きを読む

ジュラシック・ワールド/復活の大地(2025年製作の映画)

3.5

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恐竜は大きくて面白かった(バカみたいな感想)。空を飛ぶ翼竜もスピード感があって、狙われたら助からない絶望感があった。全体に結構残虐度高めな印象。子どもが酷い目に遭うのはこの路線の特徴。

途中、ケープ
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LOVE(2024年製作の映画)

3.7

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フェリーで移動することが目立つ映画。泌尿器科の女医と、看護師でゲイの男性。2人はフェリーで乗り合わせ、マッチングアプリの話をする。ゲイ特有の”クルージング(ハッテン場)”について、フェリーで話す面白さ>>続きを読む

SEX(2024年製作の映画)

3.2

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煙突掃除に行った先で、男性に誘われたから思わず関係を持ってしまった男性従業員。家庭があり、男と肉体関係を持つのも初めてだし、考えたこともなかったのに、自分が欲望されているということに欲情を覚えて、思わ>>続きを読む

DREAMS(2024年製作の映画)

4.5

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17歳の女生徒が、フランス語の新任女教師に恋をする物語。編み物が得意な先生に、編み物を教えてもらいに自宅まで通い詰めるが……。

この17歳の子の祖母は詩人で、こういった恋にも理解があるし、孫が自分の
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ジュリーは沈黙したままで(2024年製作の映画)

4.0

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ダルデンヌ兄弟が製作に名を連ねるように、本作もリアリズムを追及している。主人公のテニスのジュニア選手ジュリー役は、実生活でも12年の経験があるテニス選手テッサ・ヴァン・デン・ブルック。15歳のジュリー>>続きを読む

ひとりで生きる(1991年製作の映画)

4.5

意外にアングラというか、寺山修司っぽさを感じる。顔を白塗りにしたり、裸の人が這い回っていたり。全裸の女性が普通に船の中にいたりするのが、演劇的だと思う。
ロシアは下半身だけ裸になれる俳優が多いのか。寒
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バード ここから羽ばたく(2024年製作の映画)

-

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悪い映画ではないと思った。少し緩慢な印象は受けたけれど。14歳の少年が14歳の少女を妊娠させる世界。貧困層が住み、恐ろしいほど落書きされた団地の映画。

主人公は12歳の少女ベイリー。異母兄である14
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THE MONKEY/ザ・モンキー(2025年製作の映画)

3.2

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こういうホラーコメディは、作品によって好き嫌いがすごく分かれるんだけど、これは嫌いじゃなかった。かなり馬鹿馬鹿しく、悪趣味に大量の死人が出るので、引く人は引くと思う。でも景気が良くてわたしは好き。イラ>>続きを読む

三日葬/サミルチャン(2024年製作の映画)

3.9

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韓国映画のホラーで一つの潮流である、悪魔祓いもの。キリスト教徒が多い国ならではのジャンル映画で、根付いていることに違和感がない。日本では神父を見かけないから、悪魔祓いもののホラーは神道や仏教になる。>>続きを読む

アイム・スティル・ヒア(2024年製作の映画)

4.5

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独裁政権下のブラジルを描いた映画は少ない。実際には多くの被害者が出ているのに、あまりに知られていない問題の印象があるので、この映画がもたらす情報は大きいと思う。幅広い人に観られて、知られるべき内容の映>>続きを読む

九⽉と七⽉の姉妹(2024年製作の映画)

3.9

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姉のセプテンバーと妹のジュライの姉妹。インド系の母親は写真家で、姉妹を被写体にして評価も得ている。
ジュライはぼんやりしていて、学校では虐められている。虐めっ子の首謀者が車椅子の少女なのが、多様性の時
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男神(2025年製作の映画)

-

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『来る』を思いだす映画だった。設定は面白くて、古代の神でもはや名前もない存在は良い。儀式が少しダサいのは仕方ないけど、美術なども凝っていて良く出来ている方だと思う。美しい風景や動物の目は魅力的とはいえ>>続きを読む

見える子ちゃん(2025年製作の映画)

4.0

中村義洋監督の相変わらず器用なことよ。特に脚本の伏線回収の仕方が上手すぎる。なんでも撮る節操のなさはあるけど、とにかく『残穢』の監督でありながら、これは青春ホラーコメディとして完璧に仕上がっていて、全>>続きを読む

ハイポ(2022年製作の映画)

-

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ユングのグレートマザーを物語にしたような映画。ラストが切なくて良かった。

愛はステロイド(2024年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

愛とは偉大なり。「出会わなければ良かった」と思う恋の切なさが、普遍的で良い。

DROP/ドロップ(2025年製作の映画)

2.3

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最初に発想ありきで、そこに無理な展開を当てはめているので破綻してしまっている。第三者が気づいて何か手を加えたら、あっという間に成立しなくなる話。もしウェイターが視界を遮って長話を始めたら、もうダメじゃ>>続きを読む

白い野獣(1950年製作の映画)

4.0

パンパンをしていた女性たちの更生施設、白百合寮。新しく入ってきた湯川啓子(三浦光子)を中心とした群像劇。

まだ若い寮長の山村聰と、そこを担当している女医の中原(飯野公子)は惹かれ合っているが、清純な
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女優と詩人(1935年製作の映画)

3.0

古いのでコメディ的な部分は面白くないんだが、妻が夫を尻に敷いている家庭の、倒錯した感じが良い。久々に観ても、布団の中から妻が「ごはんまあだ?」と尋ねているシーンしか覚えていなかった。ここだけとても好き>>続きを読む

NEW RELIGION(2022年製作の映画)

2.0

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意味がわからない。全然相関性が見えてこない。俳優陣が主演以外残念なのもかなりの痛手。

エレベーション 絶滅ライン(2024年製作の映画)

3.5

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小品といった長さと規模だが、世界観はなかなか広くて面白かった。すごくコンパクトな映画で、中篇より長い程度の感触で終わってしまう。

地底で眠っていた化け物が、人口の95%を殲滅してしまった世界。しかし
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怒りの街(1950年製作の映画)

2.9

光クラブ事件に憧れを持つ大学生たちの、悪徳とためらいを描いた作品。自身の美貌を利用し、女性を踏み台にしてのし上がりたい原保美と、途中までは共犯関係だったのに、純朴な少女に見抜かれて正義に目覚める宇野重>>続きを読む

サタンがおまえを待っている(2023年製作の映画)

4.0

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催眠療法らしきもので、5歳の時の記憶を思いだし、母親によって悪魔信者たちの会で、供物にされたと言い出した女性と、そのセラピストの話。

虚偽記憶と実際の記憶の問題。たとえば神父に性的虐待を受けた話は、
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アスファルト・シティ(2023年製作の映画)

5.0

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『センチュリアン』を思いだす。過酷な現場といえど、救急救命隊員という仕事を生きがいにしている男と、その現場に初めて踏み込み心が荒廃する青年の物語。

タイ・シェリダンが見事だった。ニューヨークのハーレ
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舞姫(1951年製作の映画)

3.2

高校の頃、現国の授業で川端康成の掌編小説が取り上げられたことがあった。川端の隣家が葬式で、手洗いが川端の家から見えるんだけど、隣家のお嬢さんが泣きはらした目を手洗いで拭っていたあと、鏡に向かって突然ニ>>続きを読む

くまをまつ(2024年製作の映画)

2.5

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イマジナリーラインがめちゃくちゃすぎる映画は好きじゃないかも。あとiPhoneが出てくるから現代が舞台のはずなのに、祖父が戦争に行っているのは時代設定がおかしすぎる。せめて、ややこという登場人物の曽祖>>続きを読む

噂の娘(1935年製作の映画)

2.9

酒屋の姉妹の物語。妹はモガで遊び歩いており、少し不良少女じみている。姉は和服で店を切り盛りして勤勉な古いタイプ。妹が姉の見合い相手と親密になっていき、それを目撃した姉にどういうことか質問されると、ニヤ>>続きを読む

ハルビン(2024年製作の映画)

3.8

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自然の撮影がとても美しい。冬の韓国、ロシアの森閑とした寒さが捉えられている。
非常に硬質なお話だが、戦争シーンの激しさはホラー並みだった。日本人として、過去に日韓併合を行おうとした罪悪感で、後ろめたい
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乙女ごころ三人姉妹(1935年製作の映画)

3.5

ワイプ的なピントぼやかしが印象的。物語は原作未読なので、どこまで川端康成に準拠しているかわからないけど、確かに川端っぽい話。
信じがたい三姉妹の逆シンデレラ設定。でも不幸な姉二人は妹の幸福をすこやかに
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ルノワール(2025年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

小学五年生の、個性的な少女が体験する夏の出来事。

舞台は1980年代。父親は末期癌で自宅療養も難しく、病院にいる。母は女性でも出世をした仕事一筋の人で、そのため部下に無意識に厳しく接してしまい、会社
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雪崩(1937年製作の映画)

3.5

唐突に身勝手な男の厭な話が始まる。妻を大事にしない息子と、息子をたしなめる父という構図が『山の音』に似ている。

婚約中に他の女性と結婚した男。しかし一年で妻が物足りなくなり、以前婚約していた女性と交
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ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)

3.8

楽しい。創意工夫による無人島サバイバルは、人がやっている姿を観る分には面白いもの。壺まで焼く。時代性に従って、人食い人種をフライデーと名付け、平然と奴隷にする描写も遠慮がない。
宗教の上滑り感。神が存
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恋人たちの曲/悲愴(1970年製作の映画)

5.0

やはり素晴らしい。ケン・ラッセルの代表作のひとつだと思う。最初から躁状態な演出。現実と夢想が同じラインで描かれるので、一瞬は混乱するものの、ちゃんと理解はできるストーリーになっている。

チャイコフス
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