なぜSNSでは「こんなにも話が噛み合わない」のか? その「思いがけない理由」

人間の「認知」が原因かもしれない

近年話題になっている、SNSの普及による社会の分断。考え方が違う人たちが異なる考え方を受け容れられず、それぞれ集団を形成します。その集団どうしが理解し合えず、社会の中の対立が激化しています。それも、バイアスという観点から説明ができます。『バイアスとは何か』の一部を再構成したものから、SNSによる社会の分断について見ていきましょう。

フィルターをかけて世界を認識する

目を開き、耳をそばだてれば、現実はありのままに見える。普通、そのように感じがちですが、実際にはそうでもありません。

私たちは、頭のなかにある知識、期待、思い込みなどをフィルターとして、目の前の世界からくる情報をふるいにかけたうえで世界を認識しています。これは少し困ったことのようにも思えますが、逆に、認識のための枠組みや知識がまったくないとすれば、私たちは現実を認識することもできないでしょう。

〔PHOTO〕iStock
 

このように、私たちが自分なりに現実を認識するための知識、そしてそれを現実に当てはめていく方法は、周囲を認識するために必要なものですが、バイアスとして働くことがあります。その一つが確証バイアスです。

確証バイアスというのは、仮説が本当かどうか検討する際に生じるバイアスです。仮説というと、まず思い浮かぶのは科学研究でしょう。研究するには仮説を立て、観察し、仮説が現実と合っているかを検証します。仮説と観察結果が合わなければ、仮説を作り直してまたやり直しです。ビジネスでもこれを応用して、事業上の課題の解決策について仮説を立て、施策を行い、結果を観察し、仮説を修正する、ということが行われます。

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