2013.05.10
NTTはどこへ行くのか
【第6章】NTTグループが抱える経営課題(2)
日本の光ファイバー整備は本当に成功したのだろうか
米国のFTTHサービスFiOS(スクリーンショット、光ファイバー設置工事、モデム、ローレル・マッカダム会長)
第6章(1)はこちらをご覧ください。
ネットワークとサービスの分離が頭痛の種
前回述べたように、グループにおける東西NTTのポジションは、決して良いものではありません。現状は縮小均衡という言葉が当てはまります。では、東西NTTに将来はないのでしょうか。
ここで先ほど紹介した江部社長の「将来、(我が社の)生命線が固定ブロードバンドにあるのなら『光で勝負するしかない』とも考えました」という言葉が気になります。NTT法(電気通信事業法)で新規分野に参入できないNTT東西にとって、光ファイバー・ビジネスを拡大することは欠かせません。つまり、光ファイバー・サービスで成長戦略を描く必要があります。
しかし、NTTの光サービスは苦戦しています。なぜ契約数が伸びないのでしょうか。私は魅力的なサービスが不足していると感じています。確かに、現在でも高速で安いインターネット・サービスが提供されています。しかし、ネットサービスだけに利用するには、光ファイバーは高すぎる投資です。魅力的なサービスを増やさないと契約は伸びないでしょう。これでは巨額の投資をして設置したネットワークがダメになってしまいます。
しかし、NTT東西は魅力的なサービスを投入することができません。そこには「サービスとネットワークの分離」という制度的な障害があるからです。