2014.08.06

中国人急増で外国人旅行者の「国内外需」が急拡大
「地方創生」のカギは観光客呼び込みにあり

京都は、アメリカの『 Travel + Leisure for 2014』で世界一の都市に選ばれた photo Getty Images

日本にやってくる外国人旅行者による消費が急拡大している。日本国内で宿泊したり、飲食するだけでなく、都心の百貨店や郊外のアウトレットで高級ブランド品を買うなど、多額の資金を日本国内に落としている。外国人による国内消費は輸出つまり「外需」と同じ効果を持つ。いわば「国内外需」が景気回復に大きく寄与し始めている。

「旅行収支」は44年ぶりに黒字に

財務省が発表している国際収支統計では、今年4月の旅行収支が、1970年7月以来およそ44年ぶりに黒字化した。訪日外国人が国内で使った金額から日本人が海外で支払った金額を差し引いたものが「旅行収支」。日本人の海外旅行ブームとともに赤字が常態化していたが、ここへきて外国人旅行者が急増したことで、一転、黒字になった。

つまり、日本人が海外旅行で落とすおカネよりも、外国人旅行者が日本国内で消費して落とすおカネの方が上回ったのだ。

日本政府観光局(JINTO)の推計によると4月の訪日外国人数は前年同月に比べて33%も増え、123万人と過去最高となった。桜の名所はどこも外国人観光客の姿が目立った。

訪日外国人数はアベノミクスによって円高が修正されたことで、2013年の初頭から増え始めた。2012年秋に尖閣諸島を巡る問題で日中関係が冷え込んだことから、2012年7月には月間20万人を超えていた中国人観光客が5万人台にまで激減するが、今年1月以降再び急増している。月間ベースで20万人を突破するのも時間の問題とみられる。

また、台湾からの旅行者も急増しているほか、日本政府によるビザ要件の緩和もあり、東南アジア各国からの旅行者も増えている。こうして、日本の魅力に惹かれてやってくる外国人が、全国の観光地でおカネを使うことで、予想以上の景気刺激効果が生まれている。

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