嗚呼、ニッポンの人手不足はここまで深刻になっていた!
「人手不足倒産」が起こる可能性も…正社員が増えている
人手不足が深刻化する中で、契約社員やパートよりも「正社員」を雇おうとする動きが強まって来た。
総務省の労働力調査によると、「雇用者数」は2013年1月から今年2月まで50カ月連続で対前年同期比での増加が続いているが、昨年10月から「正規雇用」の伸びが5カ月連続で「非正規雇用」の増減率を上回った。非正規雇用から正規雇用へという流れが鮮明になってきた格好だ。
2月の正規雇用者数は3397万人と前年同月比1.5%増加、これに対して非正規雇用は2005万人と0.5%の減少となった。非正規雇用者数が減ったのは2015年11月のマイナス0.1%以来15カ月ぶり。契約社員が16万人減、嘱託が5万人減となり、パートや派遣社員も各2万人減った。一方、アルバイトは8万人増えた。
非正規雇用の中でも、男性の契約社員の減少が目立った一方で、常用雇用者で「無期の契約」の増加が目立った。統計を見る限り、有期の契約社員を無期の正社員に変える動きが強まっていることを示している。
企業が「正社員」の雇用にウエートをかけはじめている背景には、人手不足が一段と深刻化していることがある。
2月の完全失業率は2.8%と1月の3.0%から0.2ポイントも低下。1994年6月の2.8%以来、22年8カ月ぶりの低水準になった。少子化による若者の人口減少が鮮明になっている。
「これまで派遣や契約社員でも20代、30代の女性の採用が主だったが、最近は40代、50代の女性を紹介されるケースが増えた」と東京・大手町に本社を置く大手企業の人事担当者は言う。
仕事を早く覚えてもらうには若い人材が好ましいというが、なかなか非正規では採用が難しく、正社員の採用を増やしている、という。
今後も少子化による新卒者の減少が見込まれるほか、2020年の東京オリンピックを控えて、企業の採用数はさらに増えるとみられる。長期にわたって働いてもらえる正社員採用にシフトすることで、人手不足を切り抜けようとしているわけだ。